『家族シアター』(講談社文庫)は家族をテーマにした短編集で、収録作品は7編。
真面目な姉をうっとうしく思う妹。趣味の合わない姉に何かとバカにされつつ黙って甘受する弟。真面目で頭のいい娘を理解できない母。息子の夢を守ろうとする父。宇宙に夢中な妹を理解できない姉。微妙な年頃の孫娘の扱いに戸惑う祖父。息子の誕生と共に両親や祖母との距離が近くなったとしみじみする父。
どのエピソードにも兄弟姉妹関係や親子関係の棘がありますが、それでも家族の絆が生暖かく存在し、ちゃんと歩み寄れてる、ほっこりするホームドラマです。ちょっとうらやましくなるくらいですね。
うちはどちらかというと家族関係が希薄ですし(まあ母親との衝突はかなりありましたが)、弟とは年が離れているので確執ができるような子供時代を共有することもありませんでしたし、子供もいないので、「そうそう」と共感できるようなお話は一つもなかったのですが、こういう心温まるお話は嫌いではないです。