徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:松岡圭祐著、『ミッキーマウスの憂鬱』(新潮文庫)

2021年12月05日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行


続編の方を先に読んでしまいましたが、シリーズ第1作『ミッキーマウスの憂鬱』を遅ればせながら読みました。

ディズニーランドに夢を抱いて派遣・準社員として働くことになった21歳の後藤大輔。美装部に配属された初日、勝手がわからずにあちこちで白い目で見られ、冷たくあしらわれ、早くもディズニーランドのバックステージは他のバイト先と変わらない「普通の職場」であることに幻滅し始めます。
そんな中、ショー用のミッキーマウスの着ぐるみが紛失し、職場の空気が一層悪くなります。

当たり前と言えば当たり前ですが、夢の国ディズニーランドも一企業。会社としての側面も人間が集まるところには必ずある軋轢もないわけがないのですが、「キャスト」と呼ばれる社員・準社員たちがゲストの夢を壊さないように必死に演技をしているのが特徴的ですね。
公式にはミッキーマウスは「着ぐるみではない」というのも徹底していますね。
興味深い舞台設定の青春成長小説と言えますが、松岡圭祐の作品としては珍しいタイプの作品ですね。

ミッキーマウス紛失事件で美装部の女性にあらぬ疑いをかけて圧力をかけた嫌な調査部の正社員が最後にはちゃんと懲らしめられるところがいいですね。胸のすく思いをしました。
現実世界ではそういうことはほぼほぼ起こることはないだろうという展開でしたが、そこは、その、ディズニーランドということで。その舞台設定だからこそできたオチと言えるでしょうね。


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