徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:横山秀夫著、『影踏み』(祥伝社文庫)

2020年09月02日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行



【商品説明】
「双子というものは、互いの影を踏み合うようにして生きている」……ノビ師・真壁修一の相棒は、父母とともに炎の中で死んだ双子の弟の「声」。消せない過去を背負いながら、愛する女のために義を貫き、裏社会に葬られた謎に挑む、痺れるほどに哀切な「泥棒物語」。累計50万部を突破した著者渾身の超1級クライム・ミステリー 。

「ノビ師」と呼ばれる種類の泥棒が主人公というのも変わってますが、さらに死んだ双子の弟を中耳に住まわせ(?)語り合ったり語り合わなかったりするという設定もファンタジーっぽく、クライム・ミステリーとしては奇妙な感じがします。
本書は大きなミステリーが1冊全体で解かれていくのではなく、時系列に並んだ章ごとに小さなミステリーがあり、主人公がそれらを裏社会特有の解決法で対処していく一方、双子の弟との関係、二人で競い合ったこともある女性・久子との関係が少しずつ進展していきます。
とはいえ、クライムの方にフォーカスがあるので、その後久子さんと腰を落ち着けるために泥棒稼業から足を洗うのかどうかまでは書かれていません。
30半ば。もともとは頭脳明晰で司法試験も受けようかという優秀な人だったので、弟と両親の死によって道が逸れてしまったとはいえ、やり直そうとすればできないことはないのに、あえて将来のことを考えないようにしているところが切ないですね。





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