『紅霞後宮物語』はこの巻で本当に完結しました。
第十三幕から7年後、関小玉が皇后に返り咲くところから物語が始まります。とはいえ、新たに事が起こるのではなく、紅霞後宮物語を閉じるためだけに書かれた多くの断片的なエピソードで構成されています。
小玉は市井の人々に「ばあさん」と呼ばれて親しまれ、文林とも和やかな関係を育み、帝姫・令月を養育するという日常の中、文林の病が悪化し、やがて崩御。小玉が慈しみ育てた皇太子・鴻が即位し、小玉は文林のいない後宮で何の役にも立てないことを自覚して、後宮を出て庶民に戻る。
文林の死んだことになっている長男のその後。
隣国の實と康の世代交代。
などなど。
最後の「残照」の章ではさらに時代が下り、辰がついに滅びる。
少々長すぎるエピローグという感じで盛り上がりに欠けていました。
関小玉の影が薄すぎるきらいもあります。もう少し、彼女が後宮を出る際の経緯を詳しく語るなり、出てからの暮らしぶりを連続的に語ってもよかったのではないかと思います。
あまりにも周辺の人々の「その後」が取り上げられていて、その中には「誰?」と思い出せないような人物もあり、そうした人々のその後を番外編ならともかく本編の完結編に収録する意味があるのか疑問に思います。
このため、この巻だけを評価するなら、★5つのうち2つくらいでしょうか。