徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:夢枕獏著、『陰陽師 第10巻 夜光杯ノ巻』(文春文庫)

2017年10月01日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行

『陰陽師 第10巻 夜光杯ノ巻』はまた短編集ですが、なんと収録作品9編。

博雅の笛にまつわる話が2編:「竜神祭」、「無呪」

幽霊話2編:「菊屋敷」、「魔界物小僧」

物や生き物の精が出てくる話3編:「月琴姫」、「月突法師」、「蚓喰(みみずく)法師」

地獄の獄吏が登場する話1編、「食客下郎」

恋バナ1編「浄蔵恋始末」。

どれもそれぞれの味わいがありますが、博雅の楽器に対する愛情がもろに分かる「月琴姫」や博雅の笛は神も妖も感動させるということが語られる「竜神祭」と「無呪」がほほえましくてお気に入りです。

「浄蔵恋始末」は70歳超えた坊さんの遅すぎた春ともいうべきストーリーで、お相手の女性は60過ぎで病にかかり余命いくばくもないおばあさん。40年前に出会って一時結ばれた仲だったそうで。そうね、忘れられない恋ってあるよね、なんて思いながら読みました。

相変わらず簀子で酒を酌み交わして語り合う晴明と博雅ですが、この巻では博雅が晴明の「呪の話」をもう聞こうとしなくなってるのが面白いですね。

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