『陰陽師 第10巻 夜光杯ノ巻』はまた短編集ですが、なんと収録作品9編。
博雅の笛にまつわる話が2編:「竜神祭」、「無呪」
幽霊話2編:「菊屋敷」、「魔界物小僧」
物や生き物の精が出てくる話3編:「月琴姫」、「月突法師」、「蚓喰(みみずく)法師」
地獄の獄吏が登場する話1編、「食客下郎」
恋バナ1編「浄蔵恋始末」。
どれもそれぞれの味わいがありますが、博雅の楽器に対する愛情がもろに分かる「月琴姫」や博雅の笛は神も妖も感動させるということが語られる「竜神祭」と「無呪」がほほえましくてお気に入りです。
「浄蔵恋始末」は70歳超えた坊さんの遅すぎた春ともいうべきストーリーで、お相手の女性は60過ぎで病にかかり余命いくばくもないおばあさん。40年前に出会って一時結ばれた仲だったそうで。そうね、忘れられない恋ってあるよね、なんて思いながら読みました。
相変わらず簀子で酒を酌み交わして語り合う晴明と博雅ですが、この巻では博雅が晴明の「呪の話」をもう聞こうとしなくなってるのが面白いですね。