☆愛猫ココノスケ親ばか日記♪

約15年間家族の心を支え続けたキジネコ
ココ嬢の声はもう聞こえないけど
飼い主が思い出を綴ります

8月は過去への旅をする

2020年08月21日 | 本 / 音楽 / 映画
「8月は『6日』『9日』『15日』」
という5・7・5のような言葉があると
先日ラジオで知りました。
なるほど、それらは私たちには忘れちゃならない日なのです。

去年は戦争や原爆に関する本のことを書きました。
特に『日本軍兵士』は読みながら過呼吸になるくらい辛かったのですが、
頑張って最後まで読み通しました。
知らなければならない、知っておかねばならないことがたくさん書いてありましたから。

今年は、プリーモ・レーヴィ著『溺れるものと救われるもの』を今読んでいるところです。
著者はイタリア系ユダヤ人で、第二次大戦中アウシュビッツ強制収容所に抑留されました。
解放された後約9か月掛けて故郷に帰ることが出来ました。
彼の名を知ったのは、そのことを描いた映画『遙かなる帰郷』(フランチェスコ・ロージ監督 1996年作品)を観た時でした。
プリーモ・レーヴィはもともとは化学系の人でしたが、収容所体験を書く(書き残しておきたいという使命感から)ことで作家となり、
しかも彼の死後に名声が上がったという特異な作家です。

   ↓ その映画のパンフレットです

冒頭の写真は、彼が帰郷するまでの道のりの地図です。
イメージとしては、収容所から解放された人は、連合軍などが故郷まで送り届けてくれるのか、
と思ってしまいますが、実は皆自分の力で帰らなければなりませんでした。
地図にあるように、彼はポーランドやロシアの各地を転々としながら、その間仕事などをしながら帰郷したのですが、その様子がこの映画では描かれています。

↓そして今読んでいる『溺れるものと救われるもの』がこの本です

新聞にこの本の紹介が載っていたので興味を持ちました。
映画を観て以来、ずっと疑問に思っていたことがあり、それも踏まえて読んでみたかったのです。
レーヴィ氏はせっかく助かったのに、なぜ自死してしまったのか、
ということがずっと心の奥底に引っ掛かっていました。

収容所での出来事そのものより、その収容所での人間の精神性や尊厳が損なわれて行くことに
深い洞察力を持って思考し続けた作品です。
かなり苦しみながら描いたのではないかと思われます。
収容所体験者で生存者のほとんどの人は語りたがらない訳が、この本を読んでいるうちに分かってくるのです。
それを、レーヴィ氏は自ら掘り起こし究極まで突き詰めて考え抜いた姿勢に私は感動しています。
だから、今回も最後まで読まなければと、自分に言い聞かせています。時間は掛かっても。

収容所に入ってまずどんなことをされたのか、それによって人はどうなるのか、連帯力など生まれるのか、などなど読みながら動悸が激しくなっていく感覚です。

先日観たNスぺで、収容所のあちこちからメモが見つかったとありました。
書いて埋めた人もまた、そこでの出来事を外部の人たちに知らせたかったのです。

レーヴィ氏はいわゆるPTSDに苛まれて、それと闘いながら執筆をつづけたのではなかろうか。
それを書き上げた時に力尽きたのかも知れないと、今の時点でそう感じています。


戦時中、日本軍のしたことも原爆のこともこれらの収容所のことも、だいぶ後に明らかにされています。
人びとは戦後の生活苦から、目の前の衣食住の方を優先した時期を越えて、
経済成長期に生活が安定した後もなおそんなことを知らないまま(知らないふりをする)の人たちもいるのだろうな。
・・・などと頭の中が渦巻く日々は続くのです(-_-;)

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