「誰(だれ)のせいでこうなったと思ってるの?」佑希(ゆうき)は怒(おこ)っていた。
花梨(かりん)は泣(な)きそうな顔で、
「そんなの知らないわよ。あたしには関係(かんけい)ないわ」
「関係ないって…」佑希は開いた口がふさがらない状態(じょうたい)で、「あたしが、あなたのためにどれだけ…。それを、関係ないって、あっさり言っちゃうんだ」
花梨は吉岡(よしおか)君の影(かげ)に隠(かく)れるようにして、「佑希が、勝手(かって)にやったことじゃない」
「なにそれ? あたしのせいだって言うの? あなたが何とかしてって、あたしに泣きついてきたんじゃない。それを…、もう許(ゆる)さないから!」
佑希は花梨に掴(つか)みかかった。だが、花梨は吉岡君を盾(たて)にして…。盾にされた吉岡君は、二人の間に挟(はさ)まれてグルグルと振(ふ)り回された。しばらくすると二人とも疲れたようで、
「花梨、いつまで逃(に)げるつもりよ。――吉岡、邪魔(じゃま)なのよ。そこ、どきなさいって」
吉岡君もフラフラ状態で、どきたいのはやまやまだけど花梨が離(はな)してくれないのだ。
「吉岡君はとっても優(やさ)しいんだから。お姉(ねえ)ちゃんとは大違(おおちが)いよ」
「吉岡はね、あたしの彼氏(かれし)よ。あんたのじゃないんだから。離しなさいよ!」
「イヤよ。お姉ちゃんは、すぐ手を出すんだから。そんなんだから、いつまでも――」
ここで吉岡君は口を出した。「あの、もう止めましょう。こんなことをしても…」
佑希は吉岡君を睨(にら)みつけて、「あなたも、あたしのこと、そんな風に思ってるの?」
<つぶやき>痴話喧嘩(ちわげんか)のとばっちりだけは避(さ)けたいですね。でも、何でもめてるのかな?
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