みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0497「全球凍結」

2019-03-25 18:38:40 | ブログ短編

 テレビのニュース番組(ばんぐみ)が、いま地球規模(きぼ)で起こっている異常気象(いじょうきしょう)について解説(かいせつ)していた。地球の平均(へいきん)気温が最大1度下がっていると。しかも気温(きおん)低下の割合(わりあい)が徐々(じょじょ)に増(ふ)えているらしい。このままでいくと、あと半年もしないうちに地球の様子(ようす)は一変(いっぺん)してしまうだろう。
 大学の研究室(けんきゅうしつ)でニュースを見ながら、山崎(やまさき)は頭を掻(か)きむしった。気温低下(ていか)の原因(げんいん)が全くつかめなかったからだ。そこへ、同僚(どうりょう)の斉藤(さいとう)が駆(か)け込んで来て叫(さけ)んだ。
「最新(さいしん)のデータが届(とど)きました。いまモニターに出します」
 斉藤がパソコンを操作(そうさ)すると、大きなモニターに地球が映(うつ)し出された。人工衛星(じんこうえいせい)からのデータを元(もと)に作られた地球の大気(たいき)の様子(ようす)を現したものだ。それを見た山崎は息(いき)を呑(の)んだ。
「何だこれは…」山崎はモニターに近寄(ちかよ)り、「オゾン層(そう)が…。そんな馬鹿(ばか)な――」
 オゾン層が虫食(むしく)いの跡(あと)のように、ところどころで薄(うす)くなっていた。山崎は呟(つぶや)いた。
「これが原因なのか…。地球の熱(ねつ)が、どんどん宇宙(うちゅう)空間に奪(うば)われているんだ」
 研究員の一人が言った。「じゃあ、氷河期(ひょうがき)が来るってことですか?」
「それですめばいいが…。下手(へた)をすると、全球凍結(ぜんきゅうとうけつ)ってこともあり得(え)る。そうなったら、人類(じんるい)は…。いや、地球上の生物(せいぶつ)のほとんどが死滅(しめつ)するかもしれない」
 研究室の空気(くうき)が張(は)りつめた。斉藤が反論(はんろん)して、「でも、温暖化(おんだんか)に向かっていたんじゃ」
 山崎はデータを食い入るように見つめ、「何が引き金だったんだ。それさえ分かれば…」
<つぶやき>地球規模(きぼ)で起こる異変(いへん)を止めることはできるのか。とっても難(むずか)しい問題(もんだい)です。
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