みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0492「隠蔽工作」

2019-03-19 18:37:49 | ブログ短編

 男たちが居酒屋(いざかや)の片隅(かたすみ)で何やらひそひそと話しをしていた。
「いいか、絶対(ぜったい)黙(だま)ってろよ。もしこんなことがバレたら、どうなるか…」
「そんなこと無理(むり)だ。あいつに黙ってなんか…。俺(おれ)には、自信(じしん)が無い」
「なに言ってるんだ。大丈夫(だいじょうぶ)だ。俺たちは別にやましいことなんか。なぁ」
「そうだ。俺たちは、たまたま得意先(とくいさき)から手に入れた割引券(わりびきけん)を使っただけだ。これは、いわば接待(せったい)だ。得意先からの接待だと思えばいいんだ。そうだろ?」
「でも、お前だって知ってるだろ。うちのがどういう奴(やつ)か。俺、恐(こわ)いんだよ」
「まあ、確(たし)かに、お前(まえ)んとこのかみさんは別格(べっかく)だからな。でもな、お前が落ちたら、俺たちまで芋(いも)づるのように…。分かってるだろ、かみさんネットワーク」
「心配すんなって。何の証拠(しょうこ)もないんだ。バレるはずないよ」
「そ、それがな…。無くなってたんだ。ポケットに入れといた名刺(めいし)が…」
 男たちは唖然(あぜん)となった。お互(たが)い顔を見合わせて、
「何だよそれ。まさか、キャバ嬢(じょう)の名刺を家に持って帰ったのか?」
「それは確かなのか? ほんとにお前のかみさんに…。やばいだろ、これ。どうすんだよ」
「落ち着け! 名刺は店のティッシュと一緒(いっしょ)に配(くば)っていたことにしよう。店には行ってない。たまたま店の前の路上(ろじょう)で配ってたんだ。いいか、何としても白(しら)を切るんだ!」
<つぶやき>いくら隠蔽(いんぺい)してもバレちゃうよ。隠(かく)しごとはしない。夫婦円満(えんまん)の秘訣(ひけつ)です。
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