みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0562「偽りの仮面11」

2019-06-04 19:13:13 | ブログ短編

 主人(しゅじん)の顔色(かおいろ)が変わった。それを見てとった女はふてぶてしく言った。
「あら、あなたも娘(むすめ)のことになると心配(しんぱい)ですか?」
「何をした? 娘には関係(かんけい)ないだろう。もし娘に何かあったら――」
「あたしの父も、家族(かぞく)のことを心配しながら死んでいったのかしら? 神谷慎次(かみやしんじ)。あなたに横領(おうりょう)の罪(つみ)をきせられて自殺(じさつ)した…。あなたに殺(ころ)されたようなものね」
「神谷慎次…。まさか、神谷の…、娘だったのか?」
「そうよ。父は、あなたの上司(じょうし)だったのよね。あなたがしていた横領を…」
「何を言ってる。私が横領だと。そんな証拠(しょうこ)、どこにあるんだ。いい加減(かげん)なことを言うな」
「あたしが何のために、あなたのいる会社(かいしゃ)に入ったと思ってるの。あなたに会社の金を使わせるためよ。一度味(あじ)をしめると、止(や)められなくなるのよね。あなたのしてきたこと、今ごろ、会社の社長(しゃちょう)さんの耳(みみ)にも入ってると思うわ」
「バカな…。どうして、そんなことに…。そんな証拠、俺(おれ)が残(のこ)すわけないだろ」
「さあ、それはどうかしら…。今に分かるわ。あなた、どんな顔をするのかしら?」
 その時、憔悴(しょうすい)しきった顔をして妻(つま)が戻(もど)って来た。手には包丁(ほうちょう)が握(にぎ)られている。ゆっくりと女に近づくと、包丁を突(つ)き出して妻は言った。
「もう出てって! あなたなんかに…、何で私の大切(たいせつ)にしてきた子供(こども)たちを――」
<つぶやき>これはとっても危険(きけん)なことになってきました。この先、どうなっちゃうの?
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コメント
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