みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0577「海賊島11」

2019-06-21 19:03:00 | ブログ短編

「ちょっと待てよ」一人の青年(せいねん)が言った。
「もし変な噂(うわさ)が立ったら、観光客(かんこうきゃく)どころか誰(だれ)も来なくなるぞ」
 リーダーはニヤリと笑ってみんなの顔を見渡(みわた)すと、
「そこでだ。試(ため)してみようと思うんだ。ちょうど、この島にやって来ている連中(れんちゅう)で…」
「それでか、あいつらを見張(みは)ってろって言ったのは。俺(おれ)はてっきり可愛(かわい)い――」
 リーダーは少し慌(あわ)てて、「違(ちが)うぞ! 俺は、この島のことを考えてるんだ」
 みんなはクスクス笑(わら)いながら、誰が言うともなく、
「そうだ、そうだ。お前の女好(おんなず)きは昔(むかし)からだから。誰も何とも思ってないさ」
 リーダーは不機嫌(ふきげん)な顔をしたが、そこは気心(きごころ)の知れた連中(れんちゅう)である。リーダーはすぐに話を本題(ほんだい)に戻(もど)して、「あいつらは昨日(きのう)一日、島の中を調(しら)べて回っていた。宝(たから)を見つけようとしているのに間違(まちが)いないだろう。そこで、ちょっと脅(おど)かしてやろうと思うんだ。もう、民宿(みんしゅく)のおばちゃんには話をつけてあるから。今夜中に準備(じゅんび)を終(お)わらせるぞ」
 リーダーはみんなにこれからの手順(てじゅん)の説明(せつめい)をはじめた。離(はな)れた所からその様子(ようす)を見つめていた久美子(くみこ)は、何だか怒(おこ)っているような顔をしていた。すぐ横にいた伊集院(いじゅういん)は、彼女の気持ちの変化(へんか)に気づいているのか、いないのか…。何か考えごとをはじめていた。
<つぶやき>何だか、肝試(きもだめ)し的(てき)なことをするんでしょうか。これからの展開(てんかい)はいかに…。
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