みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0582「海賊島14」

2019-06-26 18:58:51 | ブログ短編

 リーダーは久美子(くみこ)の前まで来ると言った。「なあ、お前って、久美(くみ)ちゃんだろ?」
 久美子は立ち上がって、しばらく黙(だま)っていたが、「そうよ。やっと気づいた?」
 二人の様子(ようす)を窺(うかが)っていた伊集院(いじゅういん)が口を挟(はさ)んだ。
「なるほど。これでやっとわかったよ。どうして君(きみ)が、俺(おれ)のことを誘(さそ)ったのか」
「ちょっと待てよ」林田(はやしだ)は話が分からずに、「どういうことだ? お前ら、やっぱり――」
 久美子と伊集院は同時に答えた。「付き合ってません!」「付き合ってないよ!」
 林田は口を閉(と)ざすしかなかった。伊集院は話を続けた。
「君がなぜ、俺をこの旅行(りょこう)に連れ出したのか。ずっと疑問(ぎもん)だったんだ」
 久美子は、「あたしは、そんなことしてないわ。変なこと言わないで」
「でも君は、俺にこの島の観光案内(かんこうあんない)のパンフレットを見るように仕向(しむ)けた。俺が、いろんな財宝(ざいほう)について調(しら)べていることを知ってね。俺がパンフレットを手にしたとき、君の方から声をかけてきたんだ。『わぁ、きれいな海ねぇ。あたしも、行ってみたいぃ』ってね」
「あたし、そんなふうに言ってないでしょ。それじぁ、まるで――」
「そうだ。君はそんな尻軽(しりがる)女じゃないはずだ。いくら同じ大学の学生(がくせい)でも、俺みたいな変人(へんじん)に声をかけるはずがない。だから、俺は君の誘(さそ)いに乗(の)ってみることにしたんだ」
<つぶやき>えっ、そうなの? 何か急に話の展開(てんかい)が…。いよいよ最終回へと舵(かじ)を向け…。
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