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“保育園落ちた”から1年 ― 安倍「待機児童対策」進まず

2017-02-05 | 教育・保育・子育てを考える

保育士の処遇改善程遠く

 「保育園落ちたの私だ」と国会前で保護者らが待機児童問題の解決を訴えてから、1年が経過しようとしています。安倍首相は「待機児童ゼロを必ず実現する決意だ」(16年3月11日、参院本会議で吉良よし子議員への答弁)といってきましたが、対策はどこまで進んだのでしょうか。

整備は不十分

 17年度予算案では、「待機児童解消加速化プラン」に基づく受け皿拡大として4・6万人分が計上されました。市町村の整備計画を積み上げたものだとしていますが、大問題になっている“隠れ待機児童”(6万7千人、16年4月現在)への対応策はありません。

 総務省行政評価局が昨年末、整備目標を達成しても待機児削減となっていない自治体は調査の66市町村中7割を超えると指摘し、「より正確な需要把握に基づく計画の作成」を勧告しています。

 厚労省は、9月から待機児童の定義見直しを議論していますが、4月1日の待機児童数の確認には間に合いません。

 各自治体で扱いが異なる、育休中▽特定の保育園のみ希望▽求職活動を休止―のケースについて検討していますが、認可保育所に入れない子どもはすべて待機児として数える2000年以前の定義に戻す考えはありません。数を少なく見せるために待機児から除外できるケースを増やしてきた国の責任が問われています。

 認可保育所の整備が不十分な一方で国が進めてきたのが、規制緩和による詰め込みです。

 昨年3月の緊急対策では、定員19人までの小規模保育で21人までの受け入れを認めました。認可保育所より基準が低い「企業主導型保育」を創設し、認可保育所並みの補助金をつけて、2年間で5万人分を計画。17年度予算案では513億円増の1313億円を計上しています。

 待機児対策として育休を2年まで延長できる雇用保険法改定案を提出していますが、「保育所整備がまず先だ」との声が上がっています。

実効性に疑問

 17年度からは、育休後の入所枠を予約できる制度を始めます。しかし、受け皿が抜本的に不足するなか確実に入所できる保障はなく、実効性に疑問の声が出ています。

 待機児対策にとって欠かせない保育士の処遇改善は、17年度予算案で月約6000円にとどまり、全産業平均から10万円も低い賃金改善には程遠いものです。

 経験7年以上の保育士(施設長、主任保育士除く)には月4万円上乗せしますが、4万円増が確実なのは施設で1人だけ。該当する他の保育士の分は施設の裁量で他の保育士にも配分でき、確実な処遇改善とはいえません。「安心して働き続けるために、すべての職員に月5万円の引き上げが必要だ」(全国民間保育園経営研究懇話会)との声が上がっています。


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