志位委員長が撤回求め談話
安倍晋三政権は11日、国の中長期のエネルギー政策の指針と位置づけるエネルギー基本計画を閣議決定しました。原発ゼロを求める圧倒的世論にそむき、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、永久化することを宣言しました。日本共産党の志位和夫委員長は同日、「新たな『安全神話』にもとづく原発推進路線の撤回を求める」とする談話(全 文)を発表しました。
計画の冒頭には、与党協議で削られた「安全神話」に対する「深い反省」の言葉が復活したものの、原子力規制委員会の審査に合格した原発について「再稼働を進める」と明記するなど、“審査に合格した原発は安全だ”とする新たな「安全神話」をふりまくものとなっています。
計画は、原発を安定性と効率性に優れ、運転コストも低い「低炭素の準国産エネルギー」だとしています。原発輸出も進めるとしています。
使用済み燃料を再処理する核燃料サイクルを国の「基本的方針」だとして、プルサーマルの推進、六ケ所再処理工場やむつ中間貯蔵施設の竣工(しゅんこう)を明記。重大事故が相次ぎ、実用化のめどが立たない高速増殖炉「もんじゅ」は、放射性廃棄物の量を減らすための「国際的な研究拠点」と位置づけました。同炉での発電計画の記述がないことについては、「(計画を)捨てたわけではない」(経済産業省担当者)としています。
計画は、原発依存度を可能な限り低減させるとしながら、「確保していく規模を見極める」とし、新増設にも含みを持たせています。2月25日の政府原案にはなかった、次世代原発・高温ガス炉の研究開発推進も盛り込まれました。
将来のエネルギーミックス(電源構成)は明記せず再生可能エネルギーの数値目標も示しませんでした。脚注に2030年に発電量全体の20%とする4年前の見通しを示し、「さらに上回る水準の導入を目指す」としただけです。
12年の総選挙で、自民党は「原子力に依存しなくてもよい経済・社会」を、公明党は「可能な限り速やかに原発ゼロ」を掲げました。今回の基本計画は国民への公約を投げ捨てるものです。