配備許さぬ連帯を
最悪の事故率 低空・夜間訓練も
米軍は今なお、日本を植民地だと考えているのでしょうか
米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイ12機が岩国基地(山口県岩国市)へ陸揚げされるのとほぼ同時に、米太平洋空軍のカーライル司令官が29日、空軍仕様のCV22オスプレイの有力な配備候補先として、首都圏のど真ん中にある横田基地(東京都福生市など)を挙げました。
三十数機が日本の空に
米国では、オスプレイの配備にあたっては数年にわたる環境影響評価が義務づけられています。ニューメキシコ州では住民の反対運動を受け、CV22の低空飛行訓練が棚上げされるなど、米軍の自由勝手な振る舞いは認められていません。
米空軍は2015年前後に、CV22を10機程度、日本に配備する計画です。そうなれば、普天間基地のMV22オスプレイ24機と合わせ、三十数機が日本の空をわが物顔で飛ぶことになります。
米空軍は数年前から、沖縄の嘉手納基地(嘉手納町など)へのCV22配備を計画しています。今年1月には、米空軍省のドンリー長官(当時)が、記者会見で「沖縄か日本への配備計画はあるのか」と聞かれ、「ある」と言明しました。ただ、具体的な配備先については言葉を濁していました。
今回のカーライル司令官の発言の背景には、沖縄の強い反発があります。ドンリー長官の発言後、嘉手納基地を抱える自治体は反発を強め、4月21日には配備反対の住民大会も開かれました。このため、嘉手納を主軸としつつ、あえて横田基地に言及することで、周辺住民や自治体の反応を見ようとしたものと思われます。
オスプレイが横田基地に配備されたら、どうなるのでしょうか。
CV22は「特殊部隊の(戦地への)潜入、救援、再補給」(米空軍資料)を主任務とします。戦地への兵士の投入のため、危険な降下訓練やタッチ・アンド・ゴーを横田基地で行う恐れがあります。
低空飛行訓練も不可欠となります。三沢基地(青森県三沢市)に飛来して、東北地方に広がるとみられる空軍の低空飛行訓練ルートを利用する可能性もあります。特殊作戦は夜間に行われることが多く、夜間訓練の拡大につながります。
はるかに高い事故率を記録
加えて、CV22はMV22と比較して、はるかに高い事故率を記録しています。防衛省の資料によれば、被害額200万ドル以上の「クラスA」の事故率は10万時間当たり13・47(2012年6月15日時点)で、米軍機の中で最悪です。
最近も、2010年4月にアフガニスタン南部で作戦中に墜落して20人が死傷、昨年6月に米フロリダ州で訓練中に墜落して5人が負傷しています。
日本全国の問題として
オスプレイ配備は沖縄だけではなく、文字通り日本全国の問題です。「沖縄がだめなら東京で」というもくろみを許さず、日本全国どこでも配備を許さないために、沖縄と本土の連帯が今ほど重要なときはありません。
首都圏一帯命を脅かす
米太平洋空軍(ハワイ)司令官の横田へのCV22オスプレイ配備の発言は、人口の3分の1を占める首都圏の上空一帯が同機の訓練空域となり、住民の生命や財産を危険にさらすことにつながります。
横田基地には、すでに米空軍のC130戦術輸送機14機が常駐し、日常的に訓練飛行を繰り返しています。
基地周辺では、夜10時近くまで爆音を響かせながら離着陸訓練を繰り返し、「テレビの音が聞こえない」「会話ができない」など周辺住民のくらしを脅かしています。
北関東地域では、横田基地を飛び立ったC130が編隊で低空飛行をしていることが確認されています。
CV22の乗員訓練のための米空軍訓令(2011年1月)では、パイロット1人あたり離陸・着陸を含む通常の飛行訓練だけでも半年間で16~20回、夜間飛行2~3回が課せられています。同機の部隊が配備されれば、日常的な訓練が実施されることになります。
CV22は、戦闘地域奥深くへの特殊作戦部隊の投入と撤収、敵地や海上に取り残された兵員救出など最も危険な任務を担当。兵員のロープ降下、つり上げ、低視界下での着陸進入、夜間編隊飛行、山間部の夜間低空飛行なども行います。
CV22オスプレイ 米空軍のMH53特殊作戦ヘリの後継機として50機の配備を計画。機体は海兵隊のMV22と同じですが、レーダーなどが付加されています。米南部フロリダ州のハルバート・フィールド空軍基地などを拠点とし、英国へも配備。日本への配備も狙っています。2009年にイラクへ実戦配備され、アフガニスタンにも配備されましたが、10年4月に墜落事故を起こしました。