「マスメディアは総選挙の開票を受けて、いっせいに『自公圧勝』などと報じています。確かに議席の上では、自民294、公明31で両党合わせて衆院の3分の2以上を獲得しました。しかし・・・」(赤旗12月18日付)
そうです、し・か・しですっ!
まず第一に、党の名前で投票するので、各政党に対する支持・不支持がストレートに出る比例代表での得票率ですが、自民党の得票率は、「自公政権ノー!」の嵐が吹き荒れた’09年の衆院選の時と、ほとんど変わっていないのです!(’09年:26.73%→今回:27.62%、比例での議席数も55人→57人と、2議席増えただけ)
少なくとも比例では、「歴史的敗北」を喫した時とほとんど同じ支持率しか得ていないのです!それなのに「圧勝」なんて・・・!
だからこそ、当の安倍自民党総裁でさえ、「自民党に対してまだ完全に信頼が戻ったということではない。うんぬん」と言ったのです。(実際はほとんど戻ってないじゃないか、とツッコミを入れたくなりますが)
民意をストレートに反映する比例代表では、歴史的敗北を喫した時と同じくらいの割合の人しか「自民党」と書かなかったのです。それなのに、なぜ圧勝できたのでしょうか。
その最大の原因が、今日の本題の「小選挙区制」です。
下のグラフは、小選挙区で自民党が何パーセント支持されて、何パーセント議席を占めたか、という数を比較したものですが、43パーセントしか支持されていないのに議席の79パーセントを自民党の議員が占めています。
仮に支持率43%という民意が忠実に議席数に反映されたとすると、小選挙区の定員300×0.43=129議席!実際の237議席と、大きくかけ離れているではありませんか!(ちなみに日本共産党の場合は300×0.078=23.4議席!それが実際は小選挙区での当選者はゼロ!)
これを「ごまかし」と言わないで、何を「ごまかし」というのでしょう?
各々の小選挙区ごとに、一位になった候補しか当選できないため、どんなにたくさんの人たちが支持していようが、ニ位以下の候補は当選できないのです。このカラクリが、43%→79%という、支持率は大して高くなくても、小選挙区が沢山あるために第一党になりさえすれば沢山当選してしまうという「虚構の(圧倒的)多数」をつくりだしているのです!
そして、第一党以外の意見は数の論理で押しつぶされてしまう危険性が大きくなるのです!(たくさんの民意が押し殺されて選ばれた国会。そこでの多数決が、当然、民意とはかけ離れる可能性が高いだろうということは、誰でも想像できるじゃありませんか。)
・・・「消費税など国民につらくて苦しいことを訴えるのが選挙制度改革の本質」。石破茂現自民党幹事長は1993年当時、国会で小選挙区制導入の狙いをこう述べました。国民に痛みを強いる政治をすすめるうえで、それに反対する声を締め出すのが小選挙区制導入でした。・・・(’10年9月6日付赤旗より。石破氏の言葉を、わりと正直な告白だと感じるのは私だけでしょうか。)
「小選挙区によって民意の集約を図っていく」と、小選挙区制を正当化しようとした細川政権。(この政権が小選挙区・比例代表並立制を導入しました。)集約、というより、歪曲以外のなにものでもないと思うのですが。
彼らの「民意集約論」に対して、日本共産党の志位委員長は、「結局、国民の少数の支持しかなくても国会で多数を握り、政権をつくれる。少数の支持しかなくても政権をにぎりつづけようというのが民意の集約論だ」と、小選挙区制を正当化する論理を批判したのです。
こんなやりかたで選挙をしていては、少数意見どころか二番目、三番目の意見も黙らされてしまう可能性が高いし、それこそ一党独裁に近くなってしまいます!
いまどき病院にかかるにしても、「セカンドオピニオン」を聞くじゃないですか。一国の重大問題を決めるのに、セカンドオピニオンも押しつぶされてしまうなんて、そんなのが民主主義と言えるでしょうか。
日本共産党は、この問題だらけの小選挙区制に断固反対してきましたし、これからも反対していきます。(その事は、ウィキペディアにも載っている位です。)
このように、少数意見どころか、二番目、三番目の意見をも押しつぶす恐れのある小選挙区制に、抗議していきましょう!