韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は9日、「慰安婦」問題をめぐり日本と韓国が2015年12月に交わした「日韓合意」への対応方針について記者会見しました。日本政府に再交渉は求めないと表明する一方、「『慰安婦』被害者がいちずに望むのは、自発的な真の謝罪だ」と語り、「日本が真実をありのままに認め、被害者の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしに向けた努力を継続するよう期待する」と述べました。
康氏は会見で、「この合意では真の解決にはならない」としつつ、「両国公式の合意だったという事実は否定できない」と言明。日本政府が合意に基づき拠出した10億円については、韓国政府の予算で負担し、基金の今後の処理については、日本政府と協議すると述べました。
この10億円は、合意によって韓国が設立した「和解・癒やし財団」に日本政府が拠出したもので、同財団が、被害者らへ現金支給などを行ってきました。合意時点で存命だった47人のうち36人が受け取ったか、受け取る意思を示しました。しかし被害者の中には「お金がほしいわけではない」「安倍首相は、日本が戦争中、何をやったのか真実を話してほしい」と受け取りを拒否、返還を求める声も上がっていました。
康氏は、直属の作業部会を設置し、合意の結ばれた経緯などを検証。昨年12月に、合意の過程で被害者の声が反映されなかったと作業部会が結果を発表したのを受け、被害者らと面談をしてきました。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの結果を受け、後続措置をとるよう関係部署に指示していました。