複雑な世界の動き
― 底流に政治の現状打ち破りたい国民の思い
富の象徴、マンハッタンの5番街にそびえ立つトランプ・タワー。次期米大統領が住む超高層ビルの前には、いまバリケードの代わりにトラックが並び、上空は飛行を禁じられています
物々しい安全対策ですが、偏見や差別をふりまいてきた人物だけに反発は激しい。大統領選の結果が出ると国内では大都市を中心に抗議デモがひろがり、警戒感や懸念をにじます他国の首脳も
高級マンションやテナントが入るタワーが建てられたのは1983年。若き不動産王は買い手のサイクルから世界経済の動きがわかったと自伝に書いています。最初の頃はアラブ人が一番の上客。そのうち日本人も加わってきたと
商売相手についてトランプ氏はこう語っています。「日本は何十年もの間、主として利己的な貿易政策でアメリカを圧迫することによって富を蓄えてきた。アメリカの政治指導者は日本のやり方を十分に理解することも、それにうまく対処することもできずにいる」
30年近く前の意見とはいえ、印象は今も同じか。そのトランプ氏はTPPからの離脱を公言していますが、日本の安倍政権は自由貿易をけん引すると批准へ強行を重ねています
「自由貿易」か「保護主義」かという単純な話ではない―そうただした共産党の紙智子議員。多国籍企業の横暴から各国の国民の命とくらしを守る重大なたたかいなんだと。複雑な世界の動き。しかし底流にあるのは政治の現状を打ち破りたいという国民の強い思いです。それは私たちの国でも。