日本共産党の志位和夫委員長は10日、衆院本会議での環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案の採決強行を受け国会内で記者会見し、「安倍内閣は、世界の動きを全く見ずに暴走し、そのうえモラルハザードを引き起こしている」と厳しく批判しました。
志位氏は、沖縄県東村高江の米軍オスプレイパッド建設に反対する市民に対し機動隊が「土人」と差別発言をした問題で、鶴保庸介・沖縄北方相が「差別だとは断定できない」と国会で答弁したことについて「驚くべき認識だ」と批判。「沖縄県民に対してこのような暴言をしたという罪は非常に重いものがある。それを沖縄北方相が差別的とは言えないと述べたというのは、問題の深刻さ、性格を全く理解しないもので、大臣の資格はない」と強調しました。
志位氏は、山本有二農水相がTPPの強行採決を議会にけしかける暴言をするなど閣僚から暴言が相次いでいると指摘。「しかも、そうした暴言に内閣として自浄能力がない。モラルハザード内閣になっていると言わざるを得ない。こういう姿勢を衆参で3分の2を持っているということで続けるなら、必ず国民から厳しい審判を受けることになる」と断じました。
志位氏はまた、安倍政権が「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」といいながら、TPP撤退を表明しているトランプ氏が米国大統領に当選した直後にTPPの採決を強行し、地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」では立ち遅れ、唯一の戦争被爆国でありながら核兵器禁止条約の締結交渉を来年開始する国連決議に反対するなど、「世界の動きが全く見えていない」と指摘。「この内閣を本当に倒さなければいけない。その意味でも、野党共闘の話し合いをしっかり前に進めたい」と表明しました。