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きょうの潮流

2017-10-31 | コラム

ちょうど100年前の10月、岩手の一寒村の14戸が、地主を相手に入会(いりあい)権をめぐり裁判を起こしました。小繋(こつなぎ)事件とよばれ、住民3代にわたる、半世紀におよぶたたかいとなりました▼盛岡の北約50キロにある小繋村(現在一戸町)は1500ヘクタールの山林を抱えていました。村民は昔から自由に出入りし、まきや炭用の木を切り、牛馬を放牧するなどして暮らしてきました。しかし明治になり、村民の知らない間に所有権が山師に渡り、入会権が認められなくなりました▼木を切ろうとすると「盗伐だ」と妨害。地主の用心棒から暴行を受けたり、警察の急襲を受けたりしました。それでも、村民は貧しい中から訴訟費用を工面し、入会権を守るたたかいを続けました▼裁判では負けましたが、ここ10年近い間に、苦難に満ちながらも輝かしい歴史を風化させないとりくみが。ドキュメンタリー映画「こつなぎ―山を巡る百年物語」(中村一夫監督)と小説『こつなぎ物語』(野里征彦)が世に出ました。地元では、記念碑をつくる計画がもちあがっています▼映画で原告の一人が語っています。「山でも川でも地球の一部分でしかないでしょ。誰のものというのは変なんですよ。地球があって初めてわれわれが生きているわけだから」▼地球の環境を守ろうと、第三世界での乱開発に対し「コモンズ」(共有財産)という名で、入会型の保護運動を支える動きが広がっています。その中で小繋事件が注目されています。小繋は世界ともつながっています。

 

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