母がやってきた。
私は母が恐い・・・。いまだに恐い・・・。
「恐い」の意味が違うかもしれないけれど、恐い。
この方はめげたり、落ち込んだり、元気がなかったりしたことがない。
少なくとも、子供の前ではそんなところは見せたことがない。
いつも、攻撃している感じに私には見える。
私は中学に行くときに、家を出たいと言った事がある。
先生のお宅に内弟子のような感じではいり、レッスンを受けたいと。
さすがに反対された・・・。でも、私の本気を受け止めてくれた。
中学になると、自宅から車で１時間。
大きいバレエ団の先生が来ているスタジオまで通わせてくれた。
地元のスタジオでも、毎日夜遅くまでのレッスン。
手抜きなのか、太らないようになのか、夕食はおにぎり。
その頃は鈴木式ダイエットとかで、油抜きが流行ってた。ので。
夕食を家族で食べたりの記憶がない。
高校を出ると、バレエ団へ。
もう、行くんだろうな・・・な感じで反対はもうされなかった。
そんなこんなで、プロになって夢は叶ったのかなんなのか
いろいろあって、私はカナダへ行くと言いはじめた。
先輩が挑戦していたことや、いろんな煮詰まった時期でもあったし。
先生に書いてもらった紹介状を持って、カナダのバレエ団へ
一人で向かうと、言った。
母は「そう・・・。」といって、送り出してくれた。
で、帰ってきた・・・。
「みのりは帰ってこないかもしれないと思ってた・・・。」
今、自分が親になってこんな風にできるか・・・・・。
どうなんだろう？
いつも、前向きで「やってみなきゃわからない。」と、言う。
「その時は、その時。」
確かにそうだ・・・。
本人はいつの頃からか、俳句を始めていろんな賞を頂いたり、
飛び回るようになった。
この春、本が出来上がる。
同級生の画家の方が挿絵を書いてくれたと、うれしそうに
自慢していった。
「みのりのこれからの夢はなに？」
夢を叶えた母から聞かれた。
なんだろう？ 答えられなかった。
ひとつ叶えた事で、力尽きているような自分に気づいた。
まだまだ、しがみついていくのか？
新しいことにむかっていくのか？
反動なのか何なのか、マイナス思考な私。
母には負けてられないとも、
母にはかなわないとも、
思うのでした。
そんな母と、おすし屋さんに行った。
ブラブラと歩いていてなんとなく入ったおすし屋さん。
お友達とランチ・・・なんて、ほとんどない私には母とのランチは
わくわく、どきどき。
ランチって？
安い、安い
夜はこんな値段じゃ食べられないよね？
別々のを注文してみる。
最初にサラダと、小鉢がやってきた。
そして、マグロのづけのお茶漬けが・・・。
えっ？おすし食べられなかったらどーすんの？
さらさらと、おいしく頂きそしておすし登場・・・・。
へ？
赤カブ、なす、たけのこ、菜の花、アスパラ、
みんな、野菜のおすし達。
母の心の声が聞こえるけれど、
「こういうおすし食べてみたかったんだ～。
どこで食べられるか知らなかったから、よかったぁ～」
と、言ってみた。
・・・寿司っていったら魚でしょ！！！！・・・。
体全体でそう言ってる母。
小ぶりないろんな野菜のおすしたち。
これで十分おいしい。
りっぱなお箸が出されていたけどお持ち帰りどーぞで、
お箸のお土産つき。
何でも、ありなのね・・・・。
今におにぎりの具みたいなおすしだって現れるかも？
現れてる？
母は、「私にはヘルシーでよかったわ。」
と、帰っていきました。
そーね、あなたのお腹はかなりヤバイ。
動けと言うと疲れると言う。
食うなというと倒れると言う。
母を見て、「みのりもあ～なるんだなぁ～」と、だんなさん。
い～え・・・・。なりません
「おいし～～」
