『五木寛之の百寺巡礼』を往く

五木寛之著「百寺巡礼」に載っている寺100山と、全国に知られた古寺を訪ね写真に纏めたブログ。

86 一畑薬師

2024-08-14 | 島根県

百寺巡礼第74番 一畑薬師

 

目のお薬師さまに詣でる人びと

 

 

 

 

 

 

 

山陰には一度も行ったことが無かったので、今回は、松江城、出雲大社、足立美術館を中心に三泊四日の夫婦旅を行った。その二日目にレンタカーで宍道湖を一周することにして、宍道湖周辺と出雲平野の豪農の屋敷を見学し、その足で一畑薬師を参拝した。出雲神話の国引きの舞台を一望できる島根半島の中心部で、標高200mの一畑山上にある。ここまで行くには、バスがあるようだが日に2から3本程度のため、どうしても車に頼らなくてはならない。

目のお薬師様として全国的に広がりをもつ臨済宗の古刹。千百年の歴史ある薬師信仰の総本山となっている。参道の1300段の石段でも有名。平安時代の寛平6年(894)に一畑山の麓、日本海の赤浦海中から漁師の与一が引き上げた薬師如来を本尊とし祀り医王寺として創建したのが始まり。天台宗に属したが、正中2年(1325)に石雲本竺が臨済宗南禅寺派寺院として再興し、寺号を成徳寺として改めた。承応2年(1653)には一畑寺に改名。寛政2年(1790)には妙心寺派に転属した。昭和28年(1953)に宗教法人一畑薬師教団が設立され、一畑寺が総本山となっている、日本各地に約50の分院がある。

「目の薬師」のほか「こどもの無事成長の仏様」としても広く信仰されている。武家の時代には、歴代の領主の祈願所として寄進・安堵を受け、ゆかりの品物が数多く残されている。

 

参拝日    令和6年(2024)5月30日(木) 天候曇り

 

所在地    島根県出雲市小堺町83                               山 号    醫王山                                      宗 派    臨済宗妙心寺派 一畑薬師教団総本山                        本 尊    薬師瑠璃光如来                                  創建年    (伝)寛政6年(894)                              開 基    補然                                       別 称    一畑薬師                                     札所等    出雲十大薬師一番ほか                               文化財    紙本墨画著色書院障壁画(島根県文化財)ほか

 

 

 

一畑薬師境内図。                     (画像はネットから)

 

 

 

 

 

駐車場から参道のはじまりとなる橋を渡り参拝に向かう。

 

 

 

参道の途中の広場には石碑や燈籠が建っている。

 

 

 

格言や仏の言葉などが石に刻まれところどころに建っている。

 

 

 

 

格言の石碑の上には、水木しげるの漫画「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターが鎮座している。

 

 

 

 

本堂までに約700mの参道を「けちえんの道」と呼び、仏と縁を結ぶ道という意味がある。

 

 

 

 

目玉おやじが出迎えてくれた。石碑には「うん(運)といただく結縁の道」。

 

 

 

 

目玉おやじが出迎えてくれる山上商店街。いわゆる門前商店街でおみやげ屋、蕎麦屋、饅頭屋などが並ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご真言塔。 「おんころころ せんだりまとうぎ そわか」の石塔で、薬師如来よ、災難と病苦を取り去りりたまえ。薬よ、薬よ、私を守護したまえ」という意味。石段は帰りの道となる。

 

 

 

 

百八基燈籠。 宍道湖の眺めがよい。

 

 

 

 

宍道湖を眺める。

 

 

 

 

山門。  こちらの門を潜り、法堂、本坊書院に詣でる。 (この門の右には約700mの長さで高低差200mの通称「1300段の石階段」があるのだが、写真を撮り忘れ1300段の石段は省略)

 

 

 

 

 

法堂と本坊の前庭。

 

 

 

 

平成27年(2015)に苗木が奉納された三春滝桜。

 

 

 

法堂。    木造平屋建て、重層入母屋造り、桟瓦葺き、平入、桁行6間、正面1間向拝付き、内部には法堂の本尊である釈迦如来像が安置されている。座禅堂とも呼ばれる。

 

 

 

 

軒下の木組み。

 

 

 

 

向拝。

 

 

 

扁額。   「湖北禅窟」と書かれた。

 

 

 

 

かなり細かく複雑な組み合わせがみられる窓周り。

 

 

 

 

窓周りの欄間の意匠。

 

 

 

 

 

 

 

 

法堂から本坊への堂宇の間に繋がる渡り廊下がもうけられ、また本坊から本堂まで渡り廊下でつながる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本堂へはもう数段の石段を上る。

 

 

 

 

石の上のは座禅中の目玉おやじが・・・。

 

 

 

 

仁王門。

 

 

 

 

扁額は山号の「醫王山」。

 

 

 

 

仁王像。   左側に安置された吽形像。

 

 

 

 

 

仁王門を潜っても階段はまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

階段の石像手すりには、漫画家・水木しげるの名も刻まれている。

 

 

 

 

八堂(八万四千仏)。   階段を上り切った最初の堂宇。 仏教では八万四千の教えを説かれている。その八万四千の教えを仏像として納められている。

 

 

 

 

堂内には数万の仏が。天井は格天井でそれぞれ絵が描かれている。

 

 

 

 

 

 

 

手水舎。

 

 

 

 

 

薬師本堂がある境内は、観音堂と鐘楼堂が改修中でご覧の通り。

 

 

 

 

薬師本堂の前に小さな地蔵。

 

 

 

 

薬師本堂の前の石。「眼のくもり やがて晴れ行く醫王山 これぞ日本 一畑の寺」と書かれた。

 

 

 

薬師本堂。    建立当初の薬師本堂は、明治21年(1888)に火災で焼失したが、秘仏の本尊の薬師如来はかろうじて火災焼失の難を免れた。現在の薬師本堂は明治23年(1890)に再建された建物。その後の50年間で2回の屋根の修復工事を行った。

 

 

 

 

堂宇は、木造平屋建て、屋根は入母屋造り銅板葺き。平入、桁行6間、正面1間向拝付き。外壁は真壁造、白漆喰塗り。向拝は唐破風の屋根で、破風には拝飾り付き。

 

 

 

 

 

 

 

向拝の両柱には、解脱一切身眼疾苦(右)、即心證得無上正覚(左)  そこら中に格言や仏の言葉が表現されている。

 

 

 

 

軒下は彫刻で埋められ虹梁には龍が絡まっている。「醫王山」と書かれた扁額がみられる。

 

 

 

 

本堂の入り口には撫で仏の「賓頭盧尊者」像。

 

 

 

 

 

本堂と寺務所を見る。

 

 

 

 

本堂の内部を覗く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内陣と外陣の間の欄間の彫刻がすごい。

 

 

 

 

正面の須弥壇。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廻り縁に背ってされている大太鼓。

 

 

 

向拝を本堂側から。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本堂から境内を見る。 工事中でなんとも落ち着かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

手水舎。  一畑山の天然の聖水だという。 天井に絵が描かれていたが見逃してしまった。

 

 

 

 

開基堂。 

 

 

 

 

八万四千仏堂。  こちらは満杯、入りきれない仏像が八堂に納められている。

 

 

 

 

堂宇いっぱいの整然と並べられた小仏。 平成5年(1993)の一畑薬師創開1100年祭に因んで、八万四千体の仏像をご安置するという壮大な計画がスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十六羅漢堂。  お釈迦様の高弟16人のことで、羅漢とは修行僧をいい、信者の施しを受けいるに値する貴重な人という意味。

 

 

 

 

十六羅漢のうち、舎利弗尊者(左)、注荼半託迦尊者(右)。

 

 

 

 

寺務所。 お札やお守りなどと御朱印賜わり所で、この建物は下生閣。

 

 

 

 

 

境内の遊歩道。

 

 

 

 

歩道にお並ぶ石地蔵。

 

 

 

けちえんの木。   二本の木が一つになった珍しい木。縁結びの木としてもカップルに人気がある。

 

 

 

一畑薬師から宍道湖を見る。

 

 

 

 

 

松江市内から宍道湖を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案内図

 

 

 

 

五木寛之著「百寺巡礼」よりーーー一般に宗教というものは、こころの癒しをもとめるものだと言われている。だが、この薬師如来への信仰は、こころの癒しと同時に、実際のからだの癒しも求めようとする点が特徴だろう。そして、日本の庶民信仰というものは、ほとんどがこの現世利益というか、からだの癒しを求めて成りたっている。病気などが癒されることによって、こころも平穏でいられると考えるのだ。とくに、そのなかでも薬師如来という仏さまには、心身ともに癒やしてほしい、という人びとの切実な願いが寄せられているのだと思う。前章でも述べたように、私は一概に、現世利益を願うのは信仰の幼稚な段階だというふうには考えない。仏教でも、キリスト教でも、それが誕生した最初のころから、人間の病を癒すというのは大きな働きだったはずだからである。

 

 

 

 

御朱印

 

 

 

一畑薬師 終了

 

 

(参考文献) 五木寛之著「百寺巡礼」第八巻山陰・山陽  一畑薬師HP  

       フリー百科事典Wikipedia   ほか

 


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