詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

さっきはあんなに大きかった月が

2014年12月09日 | 
さっきはあんなに大きかった月が
いまはもうあんなにちいさい
とろりととろけだしそうなほど黄色くて
路地の隙間からとつぜん
顔をのぞかせて
ぎょっとさせられた
追いかけて
角や屋根を幾つも通り越して
ようやく広い通りに出ると
もうすっかり遠くなってしまった
いまは雲に吸い込まれて
うっすらと余韻をひいている
上にはまだ何層も雲が控えているよ
これからまだなんべんもくぐっていかなくちゃならない
そして最後にはつるりとてっぺんに
明るい顔を見せてくれるだろう

豪華ホテルみたいな病院や
お化けみたいなスーパーや
渋滞しているテールランプ
テレビの音、お味噌汁の匂い
自販機でドリンクが転がり落ちる音
夫婦喧嘩、宿題しなさい
猫の丸めた背中
の向こうでひっそりと
おこなわれていること
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする