詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

ランチタイム

2017年10月17日 | 
三日が過ぎて
そのあいだ日中の最高気温は乱高下した

再びぼんやりとした咀嚼
会議室でまるくなって食べている昼食
猫の集会のように
話すことは特になくて
ただ集まって食べるのが習慣だから

蛍光灯の光のもとで
なにかかんがえるべきことがあるだろうか
ひとつひとつの顔がもったいぶって
他愛ないテーマを探す
探してなどいないという表情で
耽らなければならない大事な懸案があるかのように
テーブルの上に渦巻いている時の滞りなど
気付きもしないように
わたし恋なんて、したことないわ

最初の沈黙を破るのはだれか
職場への貢献度は仕事中にとどまらない
わずかな羞恥と勇気を惜しまないひとは
ほめられもしないけど
ひそかに徳を積んでいるのかもしれない

だれか話し出せばほっとする
うなずいたり笑ったり
虫などいれば最高だ
わたしたちはまじめだ
ゴシップも悪口も
わたしたちをほんの数㎜近づける

ふと目線をあげると
向かいの建物の窓に
幹の見えない樹木の枝葉が映っている
風はなくいまにも雨粒が落ちてきそうな空が
こちらの屋根の上にあるらしい
油のように動かない
窓の奥の景色は
冬の訪れを抱きしめている
こぼれだすものを受けとめる
やわらかい場所があった

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする