台風前夜
2017年10月29日 | 詩
二等辺三角形の暗がりの中で
光の輪が大きくなったり小さくなったりする
右手上方から現れたと思うと
すぐ下の左のあたりから現れ
影を伸ばし縮こませ回転させ
雨音は無数のせわしい靴音のように
とっとっとっとっとっ
と鳴り続けている
明日になったら台風が来るので
夜になっても
雨になっても
黒い合羽を着て
ヘッドランプで足場を飛びまわり
叩いたり釘を打ち込んだり
働いている大工たち
木の匂いも
汗の匂いも
冷たい湿気に吸い込まれている
雨の降りぐあいを見ようと
ベランダへ出ると
向かいの建築中アパートでは
みなが眠っている間に
パンを膨らませる小人たちのように
何か秘密めかして働いている
わたしの頭の昏い隅っこを
せっせせっせと膨らませている
光の輪が大きくなったり小さくなったりする
右手上方から現れたと思うと
すぐ下の左のあたりから現れ
影を伸ばし縮こませ回転させ
雨音は無数のせわしい靴音のように
とっとっとっとっとっ
と鳴り続けている
明日になったら台風が来るので
夜になっても
雨になっても
黒い合羽を着て
ヘッドランプで足場を飛びまわり
叩いたり釘を打ち込んだり
働いている大工たち
木の匂いも
汗の匂いも
冷たい湿気に吸い込まれている
雨の降りぐあいを見ようと
ベランダへ出ると
向かいの建築中アパートでは
みなが眠っている間に
パンを膨らませる小人たちのように
何か秘密めかして働いている
わたしの頭の昏い隅っこを
せっせせっせと膨らませている