詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

ネタバレ注意!

2018年05月02日 | 雑記
先日は、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』のセミナーの日だった。

そうでなくても読むのが遅い私。そうでなくても年度末は忙しい前職場を、年度末で退職することにしていた私。そうでなくても学ぶことがたくさんある新しい職場で、4月の課題図書として5冊も本を与えられた私。

通読してから行かなければいけないのに、間に合わなかった。今回は第4巻『花咲く乙女たちのかげに2』の会で、前回のセミナーの際に主催の先生がおっしゃっていた通り、厚みがあるけれど明るく楽しい巻で、本当に楽しく読んだ。というか読んでいる(まだ読んでる!)。

4月は前述した通り、とても忙しかったのだけれど、お風呂に入るときはプルーストを読もうとか、ちょっとした時間をこの読書に割り当てていた。会社から与えられたのは経営学の本だったりして、私にはちんぷんかんぷん。仕事と、仕事関係の読書とで、まったく余裕がない中で読むプルースト。なんだか、とても楽しい。文章がとても生き生きしている。私も、とても浮き浮きしている。

まったく違う分野のこと(義務)にぎゅーっとサンドイッチされた趣味(自由)の読書は、時間がたっぷりある中でびよーんと延びてしまう読書よりも、はるかに鮮やかに輝くのかもしれない。

そのようなわけで、セミナーも本当に楽しみだった。通読できていないことだけが残念だった。まだ読んではいない先の話が出てきてしまうではないか。「まだ先を知りたくないのよ私」などと、まさかプルーストで思うとは、思わなかった。

そして実際、セミナーで「あ、それ、ネタバレですよ!」と心の中で思う。ちゃんと通読してこい!という話ですが。花咲く乙女たちと主人公がどうやって出会うのか、知ってしまった。そうなのかー。そうやって出会うのかー。あ、これ自体もネタバレかな?だとしたら、ごめんなさい!それでも、もちろんそんなことで楽しみが半減するような小説ではないので(言い訳⁉︎)、変わらず浮き浮き読み続けている。読み続けられます。

読書は一人でするものだけれど、このような会がある、みんなで感想を持ち寄って話し合うことができる、という当てがある読書というのも、また別の楽しさがあるのだな、と知った。ああ、まだまだ続くよ、プルースト。うれしいな。次回は必ず通読してから参りたい!

次回からは、「ゲルマントの壁」というヒマラヤ山脈にも?喩えられる、越えることかなわず数々の脱落者を出す恐ろしい壁が待っているらしい。

ところで、先々週の日曜美術館ではベラスケスが取り上げられていて、私はビデオ予約で録画したものを、少し遅れて夜、我流ヨガ体操をしながら見ていた。「ラス・メニーナス」という、私も見たことがあるぞ、と思った絵は、ピカソがそれを題材にして58枚の連作を描いたほど、後世の画家たちに影響を与えた傑作だそう。へぇーと思って少しして、プルーストを読んでいたら、ベラスケスの「ラス・メニーナス」に触れているではないですか。あちらとこちらとつながって、学びの星座という感じでうれしくなる。






ポリプ母体によって形づくられる原始的な有機体のように、たがいにくっついたままで、笑いによっていっせいにゆれ動くと、光を発して震えるジュレ状のかたまりにしかめ面が溶け込んでしまう少女たち(396)も素敵だけれど、女子としてのごひいきは、やはりサン=ルーではないでしょうか。


岩波文庫『花咲く乙女たちのかげに2』 プルースト作 吉川一義訳
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