「つながり」と「おこない」:9.11と3.11
一ヶ月前の大震災、津波の被害、そして原発事故により、日本全体が大きく揺れる中、かつてNYで体験した9.11を思い出しています。
このたびの東日本大震災ならびに原発事故の被災者の方々のご不幸には本当に言葉を失いますが、いまこそ、多くの方々が「思いやり」や「助け合い」の輪を広げ、日本が見失ってしまった精神的な価値を見つめ直すときなのだと思います。
一筋の光明があるとすれば、芸能界やスポーツ界をはじめ、多くのボランティアの方々が被災者の救済のために名乗りを上げ始め、かつてないほどの規模とスピードで、心暖まる「思いやり」や「助け合い」の「つながり」と「行い」の輪が急激に広がりつつあることでしょうか。
私自身、かつてNYで9.11を体験したことを契機に、人生が大きく変わりましたが、9.11を契機に、NYでも、本当に多くの人々が「つながり」を「行い」で示し始めました。
あの事件を境に、「New Reality」という言葉が現れ、世界が一変しました。残念ながら、政治レベルでは、「制裁」が新しい戦争を引き起こし、その後も不幸を生み出し続けていますが、「祈り」を選択した人々は、つながりに目覚めました。
私自身もそうした一人として、世界の平和に貢献したい一心で、大仏さまをはじめ、日本の精神文化を世界発信するプロジェクトを「9.11」を境にスタートさせました。世界の人々に、希望の光を作品を通して発信したいと思ったからです。
その後、奈良の社寺にご協力いただきながら、8年がかりで日本の精神文化を取材し、作品を創り進めていますが、今年は映像作品として広く発表いたしたく、被災地でも、いずれ作品を見せることができたら、と願う毎日です。
もとより奈良の大仏さまが作られた時代も、現代のように、未曾有の天変地異をはじめ、疫病や飢饉に見舞われた試練の時代だったといわれています。
そんな時代に「動植物にいたるまで、すべてを救いたい」という聖武天皇の願いから、大仏さまが国づくりのシンボルとして創られたのです。そしてのべ260万人の人々の「つながり」と「おこない」によって、大仏さまは完成されました。
その後、二度の戦火に遭いながらも、大仏さまが二度とも再建されたのも、この「つながり」と「おこない」によるものでした。
いま日本では、「震災後」ともいうべき「New Reality」が始まったのだと思います。
どうか人々の心の本来の姿が現れる出来事で満たされた時間であってほしいと思います。
大惨事の中で、力になりたい、助けたい、という連帯と共感に支えられた真心からの行いこそ、新しい日本を創れるのではないでしょうか。
「私の行いは所有物であり、
私の行いは私の遺産であり、
私の行いは私を生む子宮であり、
私の行いは私の隠れ家である」
(『アングッタラ・ニカーヤ』からの仏陀の言葉:訳 菊地晶美)
惨事でお亡くなりになった多くの方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
合掌
伊藤みろ メディアアートリーグ
2011年4月17日
写真:東大寺盧舍那大仏 撮影協力:東大寺
Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.
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[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文) 企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン
定価: 2,000円(本体1,905円)ISBN: 978-4-270-00564-4
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http://www.miroito.com
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一ヶ月前の大震災、津波の被害、そして原発事故により、日本全体が大きく揺れる中、かつてNYで体験した9.11を思い出しています。
このたびの東日本大震災ならびに原発事故の被災者の方々のご不幸には本当に言葉を失いますが、いまこそ、多くの方々が「思いやり」や「助け合い」の輪を広げ、日本が見失ってしまった精神的な価値を見つめ直すときなのだと思います。
一筋の光明があるとすれば、芸能界やスポーツ界をはじめ、多くのボランティアの方々が被災者の救済のために名乗りを上げ始め、かつてないほどの規模とスピードで、心暖まる「思いやり」や「助け合い」の「つながり」と「行い」の輪が急激に広がりつつあることでしょうか。
私自身、かつてNYで9.11を体験したことを契機に、人生が大きく変わりましたが、9.11を契機に、NYでも、本当に多くの人々が「つながり」を「行い」で示し始めました。
あの事件を境に、「New Reality」という言葉が現れ、世界が一変しました。残念ながら、政治レベルでは、「制裁」が新しい戦争を引き起こし、その後も不幸を生み出し続けていますが、「祈り」を選択した人々は、つながりに目覚めました。
私自身もそうした一人として、世界の平和に貢献したい一心で、大仏さまをはじめ、日本の精神文化を世界発信するプロジェクトを「9.11」を境にスタートさせました。世界の人々に、希望の光を作品を通して発信したいと思ったからです。
その後、奈良の社寺にご協力いただきながら、8年がかりで日本の精神文化を取材し、作品を創り進めていますが、今年は映像作品として広く発表いたしたく、被災地でも、いずれ作品を見せることができたら、と願う毎日です。
もとより奈良の大仏さまが作られた時代も、現代のように、未曾有の天変地異をはじめ、疫病や飢饉に見舞われた試練の時代だったといわれています。
そんな時代に「動植物にいたるまで、すべてを救いたい」という聖武天皇の願いから、大仏さまが国づくりのシンボルとして創られたのです。そしてのべ260万人の人々の「つながり」と「おこない」によって、大仏さまは完成されました。
その後、二度の戦火に遭いながらも、大仏さまが二度とも再建されたのも、この「つながり」と「おこない」によるものでした。
いま日本では、「震災後」ともいうべき「New Reality」が始まったのだと思います。
どうか人々の心の本来の姿が現れる出来事で満たされた時間であってほしいと思います。
大惨事の中で、力になりたい、助けたい、という連帯と共感に支えられた真心からの行いこそ、新しい日本を創れるのではないでしょうか。
「私の行いは所有物であり、
私の行いは私の遺産であり、
私の行いは私を生む子宮であり、
私の行いは私の隠れ家である」
(『アングッタラ・ニカーヤ』からの仏陀の言葉:訳 菊地晶美)
惨事でお亡くなりになった多くの方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
合掌
伊藤みろ メディアアートリーグ
2011年4月17日
写真:東大寺盧舍那大仏 撮影協力:東大寺
Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.
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[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文) 企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン
定価: 2,000円(本体1,905円)ISBN: 978-4-270-00564-4
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