MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

七夕の夕陽、思いやりの川

2007-07-21 22:31:11 | Weblog
七夕の夕陽、思いやりの川

 二週間前になりますが、七夕の夕陽の空を撮りました。

 日が沈んだ後は、織女星(こと座のベガ)とひこ星(わし座のアルタイル)の年に一度の逢瀬。
 7月7日が晴れならば、氷のように冷たい星の川を渡るのに、月の船人を頼まなければなりません。
 雨ならば、鵲の群れが天に昇り、天の川の上に翼を広げて橋をつくり、牽牛のもとへと織女を渡す助けをしてくれるそうです。

 夕陽からは、私のこころへと詩が流れ出てきました。

 「空、風、水、火、土。
  大いなる恵みが生まれる前に、最初に言葉があった。
  光はいつも言葉にあった。
  そして言葉には、天へと飛び立つ翼があった」

 翼をもつ言葉、
 それは感謝のことばです。

 ここのところ、日本の台風や地震など災害が相次ぎ、胸が詰まる思いですが、空、風、水、火、土....の、大いなる恵みへの感謝を身近な行動に変え、「思いやりの川」を渡っていきたいものです。

 伊藤美露
 text and photo by miro ito, all rights reserved.
 photo : sky over kamiuma, 07.07.2007


 ☆☆☆☆☆ 全国図書館協会選定図書 ☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN978-4-8443-5921-0
 発行:株式会社エムディエヌコーポレーション
 http://www.MdN.co.jp/

モノクロームの空:台風一過

2007-07-15 23:12:19 | Weblog
 モノクロームの空:台風一過

 台風4号が過ぎ去った東京の空は、まるでロマン派の絵画のように印象的な光を湛えていました。
 雨雲で墨色に染まった空の「上澄み」では、白い綿菓子のような雲が強風で南西へとどんどん流される中、ほんの束の間、太陽が顔を出すと、まるでそこだけが空に出来た裂け目か光の泉のように見え、光と闇の「追っかけこ」が見え隠れしていました。

 海からの強い風が年中吹き付けるオランダで、よく眼にした、鉛色の空の色です。
 光の巨匠レンブラントを生んだオランダでは、北海からの偏西風の影響をうけ、雲は休むことなく東に流れ、季節に拘わらず強風になることがよくあります。天気の移り変わりが激しく、雲と風と光が絶えずドラマティックな空の表情を見せてくれます。

 そんなロマン派的なモノクロームの空を撮ろうと、工夫を凝らしたことがかつて幾度かありました。
PL(偏光)フィルターはもとより、モノクロの場合は赤色フィルターを使ってコントラストを高める、またコントラストの高い低感度フィルムを使う、赤外線フィルムを使う…などなど。デジタル時代になっても、人為を越えた自然の美しさには、技術など及ばないことを、空を撮っていると改めて実感します。

 台風4号で被害を受けた方々への弔いの祈りを捧げながら、鉛色の空を見上げながら、自然が作りだす美と同時に、その猛威の放つ私たちへの警告に改めて命の引き締まる思いでした。

 台風一過の宵に綴る
 伊藤美露
 2007/7/15
 text and photo by miro ito, all rights reserved.


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 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
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限りなく月に近づく おぼろ陽

2007-07-02 22:53:09 | Weblog
限りなく月に近づく おぼろ陽


梅雨時のおぼろ陽のたそがれは、憂いの表情のように見えました。


 おぼろ陽の太陽は、嘆きの表情。
 黄昏とは名ばかり。灰色の空に一点だけ、火が灯ったような陽の鏡。
 梅雨の雲の束の間のいたずらか、おぼろ陽の後は、月が醒めた輝きを放つ満月の夜となった。

 灰色に沈む太陽の沈黙。
 輝きを曇らせるのは何に対して?
 闇への? 人類の驕りの? それとも月への抵抗?
 雲がいくら押し寄せても、悲しみの雨は降らせない。
 祈りを捧げても、慈しみの雨ももう降らさない。
 すべてを洗い流すお浄めの力もない灰色の空は、太陽の落胆の表情だ。

 太陽はもはや光ではなく、月も闇ではない。
 梅雨の日暮れに、太陽はいつしかオレンジ色のムーンストーンとなった。
 古代インドで月の宿る石といわれ、愛と希望の象徴とされた石。
 嘆きの中で、それでも太陽は、ムーンストーンの姿を借りて、月に限りなく近づくのだ。


梅雨の最中に綴る
伊藤美露
text and photo by miro ito, all rights reserved.
photo : sky over kamiuma, 27.06.2007

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 著:伊藤美露 定価:1,980円(+税)       
 ISBN4844359215
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