MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

空、そして「空即是色、色即是空」

2007-06-23 22:43:11 | Weblog
空、そして「空即是色、色即是空」

夏至の翌日の夕暮れは、まさに「神の黄昏」という表現に相応しい厳かな風情でした。
このような瞬間に、人は誰しも詩人になり、写真家になるのだと思います。

この世ならぬ力の源へと、自然の中にある神の元へと回帰を目指したロマン派の詩人のように、
詩なり、絵画なり、芸術を通して、鈴木大拙師が説く如く「空や雲の精神」そのものになることができるのかもしれません。

そもそもこの世を超えた力とは、「自然に学ぶ」ように自然に親しみ、自然の懐に身を委ねていくことで、はじめて「光」として感じられるものだと思います。

そして禅が目指すのは、光と一体化し、いつしかそれさえも忘れ、あるがままに「空(無)」へと回帰していくこと。「空即是色、色即是空」とされる大乗仏教の根本のように、一切は空から出て、空に帰することを知覚すること。
宗教の目指す精神の世界の運動も、芸術も目指すものは同じ「空」です。

2007年、夏至の翌日
伊藤美露
2007/6/23
text and photo by miro ito, all rights reserved (sky over kamiuma, tokyo, 2007.6.23).

☆「ZEN」を世界に広めた鈴木大拙師については、多くの文献がありますので、読まれることをお勧めします。

 ☆☆☆☆☆ 全国図書館協会選定図書になりました! ☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
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 ISBN4844359215
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「夏至」というモニュメント

2007-06-22 18:29:31 | Weblog
夏至の空を撮る

夏至は、北半球では一年で昼が最も長く夜が短い日ですが、夏至の日には日の出・日没の方角が最も北寄りになります。

日本に住んでいると体験する機会はありませんが、夏至の醍醐味は「百夜」にあります。
「北緯66.6度」以北の北欧諸国から北ドイツの地域では、闇の帳が降りないため、太陽も時間もすべてが止まったような超現実的な感覚に襲われます。
地軸が地球の公転面の垂線に対して傾いているため、北極圏の夏至では、地球自体が廻っていても、太陽が水平線より「約23.4度」の高さの位置にずっと止まったままなのです。
これに対して、南極圏の夏至や、北極圏の冬至では「極夜(きょくや)」となります。

極夜の時期は、オーロラを最も美しく長時間見ることができるようですが、これはまだ体験したことがありません。いつかアラスカやカナダ、ノルウェーやスウェーデンで体験してみたいと思います。

今年の東京の夏至の日没前の空は、梅雨雲が太陽を取り囲み、神秘的な雰囲気を醸し出していました。
極夜でも白夜でもありませんが、夏至の太陽には「一年に一度」「最北の位置」というモニュメンタル性があります。

この「モニュメント性」というのも、写真の作画の上で大切にしたいテーマです。
(詳細は弊著『魅せる写真術』でも触れていますので、よろしければご覧ください。)

2007年夏至にて

伊藤美露
text and photo by miro ito, all rights reserved.
sky over kamiuma, "summer solstice".

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マグリットの雲と白い蛇の夢

2007-06-17 20:57:25 | Weblog
マグリットの雲と白い蛇の夢

ベルギーの画家ルネ・マグリットの雲といえば、空が鳩のかたちにくり抜かれ、その先にもまた別の空がある、幻想的な空の夢を思い浮かべます。「大家族」と題されたこの作品は,宇都宮県立美術館で観ることができます。

東京でも、マグリットの雲のように、ユーモラスな詩情を湛えた雲に出会えることがあります。
6月11日に見た雲は、まさ空想の中の空の姿そのものでした。
その柔らかに立ち上るシュークリームのような外観は、入道雲とか雷雲と呼ばれるように、実は、雲の中でも最も荒々しい雲とされます。雨、雹、雷ならまだしも、竜巻さえも起こします。

竜巻といえば、古代より龍の仕業をされていました。
竜といえば、青龍は中国では皇帝の印。
この龍が地に落ちて蛇となり、日本でも、白い蛇はお金の神様、良い情念の象徴として、関西圏、九州地方では、関東の「お稲荷さま」のような民間信仰の一つです。

白蛇は、龍神の使者として、もともと『無病息災』等のシンボルです。
一方、悪い情念や「怨念」を表すのは、黒や茶色の蛇とされます。
白い蛇の夢を見たら、金運だけでなく、龍の使いに守られていることを思い出してください。
私自身、子供の頃に白い蛇の夢を見た夢をはっきりと思い出すことができます。

マグリットの入道雲は、気性の荒い雲である一方、白い蛇の夢は幸運の兆しです。
その最高の姿がともに龍です。
ここまで空想を巡らせたとき、マグリットの雲と白い蛇が繋がり、私の中では、
思いの丈がいつか龍になって、空に昇る夢へと変わりました。

text and photo by miro ito, all rights reserved.
sky over kamiuma, 2007.6.11

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真珠のような太陽 : 空を観るこころ

2007-06-09 10:51:05 | Weblog
真珠のような太陽 : 空を観るこころ (by Miro Ito)

 「空の真珠」といえば、月を思い浮かべるかもしれません。
 光の強さや雲の動きによって、太陽も真珠のような神秘的な輝きを放つ「魅せる瞬間」に出会いました。
 その雲といえば、天使の翼のように見えたり、龍の舞う姿に見えたり、空はまさに天のこころ次第で気侭に移ろう、劇場さながらです。

 さて弊著『魅せる写真術』(MdNコーポレーション)のご紹介がてら、空の話の続きを__。

 写真家と呼ばれる人々は、日常世界の詩人でもあれば、多くの人の「眼」と「好奇心」を先取りして、世界のどこへでも飛んでいくイメージの旅人です。
 新奇な出来事、未知の驚きを伝えるメッセンジャーでもあります。

 長年ドイツ、日本、アメリカと三つの文化圏で写真家・アーティストとして創作活動をしてきましたが、弊著『魅せる写真術』では、私自身、写真の初心に立ち返り楽しみながら書くことができました。
 作例として使用した写真は、ほとんどが世界各地でのドキュメンタリーやプライベートショットで、本来、作品として発表することを前提としないで「写真の眼」の記録として、撮ったものばかりです。

 写真作品において、常に目に見えない「聖なる世界」を求めて、研ぎ澄まされた身体表現の世界を専ら追究してきましたが、この本を書きながら、最近はどちらかというと「あるがままのもの」に立ち顕われるものの「こころ」を見つめようとしている自分に気がつきました。

 「あるがままのもの」を支える大きな力に気づくこと_。それは禅の世界に通じていきますが、空を観ることは禅に限りなく近づいていきます。
 空を通して、天と天を観ている自分たちが溶け合い、人々のこころが繋がるのだと思います。

 伊藤美露
 http://www.miroito.com
 text and photo by miro ito, all rights reserved.
 photo: sky over kamiuma, 2007.6.7

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「魅せる写真術」の世界へようこそ

2007-06-02 10:35:53 | Weblog
「魅せる写真術」の世界へようこそ

 6月1日に上梓した弊著『魅せる写真術』(MdNコーポレーション)では、
 日常世界への写真を通した新しい接し方を、作画上の技法とともに解説してみました。

 「小さな草花に秘められたいのちの輝き。
 風と戯れ、光と遊ぶ空の詩情。
 写真を通して、世界へと新鮮なまなざしが開かれ、
 毎日が思わぬときめきで溢れてくる体験は、
 写真を撮る大きな喜びのひとつです。
 写真を撮ることで、自然の小さな造形の世界に
 目が向くようになる経験が、世界の中での自分の位置や目線、
 意識の持ち方を変える体験に繋がるかもしれません。」(同書「はじめに」より)

 デジタル時代だからこそ、最先端のデジタル機材を使う前に、
 「心の眼」をもう一度、素朴かつ透明に、世界の輝きに向けて開いていきたい_
 そんな願いをこめて、身近な日常世界を美しく撮る方法も、私なりの秘訣を本著の中で
 公開しています。
 少しでも多くの方々がお読みくださり、夏に向かうこの美しい季節に
 「魅せる写真術」の世界を共有していただけたら、本望です。
 
 2007年6月吉日
 伊藤美露

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