MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

「伊藤みろ発:メディア=アート+メッセージ No.10 地球という<いのち>を思いやる」

2018-12-04 05:13:07 | 光と希望のみち


共感の連鎖

災害や疫病、戦争や貧困という課題以外に、宗教や社会的な分断の進行、地球温暖化や環境汚染といった差し迫った問題は、もはや私たちを待ってはくれません。地球を一つの生命として捉え、いのちとして共感し合い、地球を守らなければならない時代がやってきました。

世界の未来に答えるために、思いやりを持って、行動すること_。私たち自身が問題の一部ならば、同時にわたしたちこそが、解決の一部なのです。私たちひとりひとりの地球への思いやりは、小さなさざ波にすぎないにしても、音叉のように、その波動を、世界全体に広げていけるのではないでしょうか。

大地に小さな石が存在しているように、宇宙に星が存在しています。石も星も、人も、動植物も、仲間としてお互いを補い合い、支え合っているのです。この世界観は、東西に共通する普遍性をもつものです。

「1片の木を割っても、私はそこにいる。一つの石を持ち上げても、そこに私を見出すであろう」
(イエスの言葉「トマス福音書」)

極小の塵から、極大の宇宙までを一体的に捉える、東西に共通する叡智こそが、「地球」といういのちへの思いやりのある、行動の規範だと考えるところです。


日墨外交関係樹立130周年記念事業「光と希望のみち:東大寺の国宝写真展」展
 メキシコ国立世界文化博物館にて開催(2018年11月8日から12月3日)


全ては「生き物」としてひとつである

さて、在外公館や国際交流基金からのお力添えにより、展覧会「光と希望のみち」(共催:在外公館、国際交流基金、メディアアートリーグ、日本カメラ財団ほか)にちなみ、日本国と諸外国の周年行事や文化機関において、大変光栄にも、スピーカーとして招かれる機会が増えてまいりました。

2年前のストラスブール欧州評議会でのスピーチからはじまり、トロント国際交流基金、シカゴ大学、リオデジャネイロ「日本月間」オープニングイベント、そして先月はメキシコシティへ_。テーマは、東洋の華厳思想、すなわち西洋の新プラトン主義と共通する、「すべては一つであり、一つはすべてである」ということ。そして「宇宙も、一つの<いきもの>であり、全てのうちに<共感>なる相互作用がある」(新プラトン主義)というものです。

奈良に残され、受け継がれているヘレニズム文化の影響を色濃く残す、日本の古代の有形・無形の世界遺産をテーマに、そうした東西間の<共感(シュンパティア/συμπαθεια)>を相互に喚起させるために、展覧会・映像上映およびレクチャー形式で、訴えていくものです。

1400年前に遡り、シルクロードを介して東西文化の源流をつなぐ傑出した国宝・重要文化財の写真作品を「証拠」として見せながら、私たちが「皆ひとつであり、すべてがつながっている」ことを伝える趣旨を担っています。


リオとメキシコシティでのスピーチ



日系移民110周年記念事業・リオデジャネイロ「日本月間」での「光と希望のみち」展オープニングスピーチ
 (2018年7月4日から29日、リオデジャネイロ郵便局文化センター)


本年7月には、ブラジル日系移民110周年を記念し、リオ・デ・ジャネイロで開催された「日本月間」での写真展「光と希望のみち」では、記念行事のオープンングでレクチャーを行い、映像上映もさせていただきました。行事の後には、列席されたアメリカ総領事から、<共感>の言葉をいただけたことが、大切な収穫となりました。またリオ州立大学での体験も、東西文化の交流史を地球規模で示していくことの重要性につき、確信を強めてくれました。日本月間には、3週間半の開催中に、6万2000人の訪問客がありました。

メキシコシティでは、日墨外交関係樹立130年を記念するイベントが、メキシコ国立世界博物館において開かれました。近年にない規模の大型日本文化紹介イベントが行われ、世界巡回展「光と希望のみち」も参加いたしました。

11月8日の記念式典では、桑名良輔メキシコ日本國公使、国際交流基金メキシコ日本文化センターの杉本直子所長に次ぎ、私もスピーチをさせていただきました。また翌9日には、大学生を中心に、国立世界文化博物館において、講演を行いました。展覧会は12月3日まで開かれましたが、<共感>の輪が、さらに地球規模で広がることを願う次第です。

世界巡回展「光と希望のみち」は、2016年5月にNY国連本部からスタートし、このたびのメキシコシティで6カ国7年目の展示を終えましたが、この後は来年1月にアテネへと巡回いたします(日希修好通商航海条約締結120周年記念事業)。

東大寺、春日大社、奈良国立博物館をはじめ、撮影にご協力いただいた関係者の皆さま、展覧会の巡回先でお力添えをくださった多くの皆さまに心から厚く御礼申し上げます。

東西、南北の交流の歴史をつむぐ出合いが連帯や寛容をうながし、<いのち>としての地球への思いやりを乗せて

2018年12月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ代表
Miro Ito, initiator of Media Art League
http://mediaartleague.org
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「光と希望のみち」展関連レクチャーをメキシコ国立世界文化博物館にて開催(2018年11月9日)