MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

元興寺 母なる大地への愛 祈りの景観 by 伊藤みろ (Miro Ito)

2012-08-02 16:53:18 | Weblog

元興寺 母なる大地への愛 祈りの景観

日本最古の寺である奈良の元興寺(がんごうじ)では、毎年8月23日と24日の盂蘭盆の日に、有縁無縁の霊を供養し、地蔵菩薩に祈りを捧げる地蔵盆万灯供養会が執り行われます。

元興寺では、中世以来、元興寺を支えた庶民信仰のうちでも地蔵信仰が最も盛んで、地蔵盆万灯供養会は、その伝統を現代に蘇らせたものです。

地蔵尊は古来より、弱者や苦しむ者を救う象徴として、古くから信仰を集めてきました。辻村泰善住職によると、地蔵尊とはもともとは菩薩の一種ですが、梵語「キチシ・ガルバ」の漢訳で、本来は大地と子宮を意味するそうです。

「1985年に再建してみると、地蔵尊たちの圧倒的な存在感に驚いてしまいました」(元興寺 辻村泰善住職 ※ )

以来、地蔵尊たちへの時代を超えた人々の祈りが、母なる大地への愛と相まって、毎年、印象的な光の景観を見せてくれます。

元興寺の地蔵盆万灯会の模様は、先日発刊いたしました新著『フォトグラファーズバイブル』(誠文堂新光社)でもご紹介させていただきました。同書は写真教本でありながら、私なりの写真の哲学、美と聖なるものへのあふれる思いを写真とことばに託したエッセイ&写真集です。

また8月2日より、日本橋三越前の奈良まほろば館で「まほろびすと-飛鳥時代の面影照らす元興寺-」が開催されています。私がとらえた元興寺地蔵盆の光の光景も、展示されていますので、お近くにお出かけの際はご高覧くださいませ(8月14日まで)。

元興寺の地蔵盆万灯供養会では、官立の寺院だけでなく、地元の人々の厚い信仰心に支えられてきた奈良仏教のもうひとつのあり方をご覧いただくことができることでしょう。

地蔵尊に託された母なる大地への愛、弱きものや苦しむものたちを救う存在として信仰を集める地蔵尊たちと出合い、自らが光となる願いさえも込められた、手作りの癒される光の景観です。

皆様のご健勝をお祈り申し上げつつ、暑中のお見舞いを兼ねて、ご案内まで申し上げます。

平成24年8月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ

取材・撮影協力:元興寺 ( Text and photo by Miro Ito, all rights reserved.)
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※ 元興寺公式サイト
http://www.gangoji.or.jp/

※ 奈良まほろば館(奈良県広報施設)
「まほろびすと-飛鳥時代の面影照らす元興寺-」展 2012年8月2日~14日
http://www.mahoroba-kan.jp/

※ 『心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い』(伊藤みろ著/武田ランダムハウスジャパン)をご参照ください。辻村泰善住職の法話もインタビュー収録されています。

※ 『フォトグラファーズ バイブル』(伊藤みろ著/誠文堂新光社)
http://www.amazon.co.jp/フォトグラファーズ-バイブル-プロに学ぶ発想と絵づくり、構図とライティング-伊藤-みろ/dp/4416812442/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1339218879&sr=8-2