MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

MIRO ITO発:メディア=アート+メッセージ No.19 広がりとつながり:新たなる連帯の次元を求めて

2022-10-20 15:10:31 | Weblog
2020年春からのコロナ禍の苦難が癒えぬ間に、2022年は激動が続いています。
嵐の時代に耐え、生き抜く知恵があるとしたら、人類共通の意識への目覚めといえるものかもしれません。

地球規模のコロナ禍や気候変動を教訓に、ロシアによるウクライナ侵攻が火種となって懸念される核戦争危機をはじめ、ポピュラリズムの台頭やエネルギー問題など、いま起こりつつあることが、人類全体の問題であることに、私たちはもはや目をそらすことができなくなっています。
 
逆風の先に見えてくるもの



人種や民族、文化や宗教の違いを超えて、地球の住人である同胞に対して寛容な気持ちを持つことで、利己に導かれた破壊行為とは対局にある「光と希望のみち」を選ぶことができます。

すべての生命が根本的に相互依存的に関係し合っているということを認識することで、人や動植物、鉱物や元素にいたるあらゆる存在のつながりと広がりの中で、自分の生が全体の一部であることに気づくことができるのではないでしょうか。

逆風の最中にあるからこそ、忍耐の中で「すべてが一つ」という意識や、新たなる連帯の次元に、多くの人々が目覚めているように思います。
 

広がりを宇宙へ



折から宇宙からの鮮明映像が届き、宇宙旅行時代も幕を開け、誰もが宇宙を意識する時代が始まりました。
宇宙という視野から眺めれば、地球そのものも一つの生命であり、宇宙の生命の一部なのです。
新しい意識や連帯の次元とは、宇宙的視野への広がりを持ちながら、地球の未来を真摯に顧みる心のあり様なのではないでしょうか。
 

中国清華大学での映像上映


(画像提供:奈良県文化資源活用課)

さて、世界的な逆風の時代において、引き続き日本の原点である奈良の1400年の歴史と向き合い、未来へのメッセージを作品に託しています。

2022年の日中国交正常化50周年を記念する、中国清華大学と奈良県共催の展覧会におきまして、一昨年度に文化庁クラスター事業で制作した小映像作品「いまに生きる奈良 シルクロード東の終着点 1400年の精神文化の回廊」を上映させていただいています。
=========================================================
展覧会タイトル:
「日中交流二千年 アジアをつなぐ美と精神」(9/24~12/4日)
場所:清華大学芸術博物館(北京)
展示品:出土品を中心とする180点(奈良県立橿原考古学研究所・博物館所蔵)
映像詩上映:「いまに生きる奈良 シルクロード東の終着点 1400年の精神文化の回廊 (by MIRO ITO)」(33分)
撮影協力(上記映像詩):法隆寺・薬師寺・東大寺・唐招提寺・西大寺・興福寺・春日大社・文化庁・奈良県・奈良市教育委員会ほか
=========================================================

同展覧会では、日中交流の歴史を振り返る約180点の出土品や壁画が展示されています。「飛鳥美人」として知られる高松塚古墳壁画や法隆寺金堂壁画の複製陶板を含む、埴輪や土偶類が公開されています。また中国からは銅鏡などが陳列されています。

一方、映像作品の方は、英語版が上映されていますが、南都七大寺に数えられる古刹および春日大社の歴史を「聖徳太子から天皇政権」ごとに区切ってご紹介するものです。

展示品・出土品で紹介する古墳~飛鳥時代を経て、映像作品では飛鳥~奈良時代を中心に、日本文化の原点となった奈良の古社寺に受け継がれてきた有形無形の伝統や宝物の魅力を、総合的にご覧いただけるかと存じます。

同展覧会が「文化は国境を超える」の目標のもと、日中の2000年の文化交流史を通して、歴史的文化財や伝統を分かち合い、対話の大切さを訴える機会になればと願うところです。


(画像提供:奈良県文化資源活用課)

映像作品「いまに生きる奈良 シルクロード東の終着点 1400年の精神文化の回廊 (by MIRO ITO)」は、奈良県文化資源活用課のYouTubeサイトでもご覧いただけます。
日本語版 https://www.youtube.com/watch?v=hes4hDE1lXI
英語版    https://www.youtube.com/watch?v=RjSWEDzltIU


こもりくの初瀬 特別展覧会



さて「芸術の秋」の今月、奈良県立万葉文化会館(奈良県明日香村)にて、15日から特別展「こもりくの初瀬 祈りのかたち」展が始まりました(11月27日まで)。

日本のはじまりの地であった大和中央部は、国中(くんなか)と呼ばれ、古来神々の霊場でした。

同展覧会では『万葉集』で「隠口(こもりく)の」と冠された大和・初瀬(泊瀬)にある、長谷寺の十一面信仰を基軸に、春日信仰や伊勢信仰と結びついて発展した歴史を、宝物を通して紹介するものです。

なお10月30日(日)には、同館にて特別展関連講演会 「日本のはじまりの聖地 大和四寺物語」 が開催されます。

大和四寺とは、創建1200以上の歴史を持つ、奈良中央部の長谷寺・室生寺・岡寺・安倍文殊院の四つの寺院の総称で、そのうちの室生寺山岡淳雄先生とともに、私も講師として参加させていただきます。

定員の半数までの入場制限のため、すでに満席の状態ですが、報道機関や関係者の方は、お問い合わせをいただければ、幸いに存じます。
https://www.manyo.jp/event/detail.html?id=381

講演会の模様は、後日ご報告させていただきたいと存じます。
同展覧会は11月27日までですので、飛鳥へお出かけの際には、ぜひご覧くださいませ。



それでは、朝露夕霧の肌寒い秋が深まりつつありますが、平和の大切さをますます痛感しながら、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。

令和4年10月吉日

MIRO ITO

追伸
アーティスト・映像作家としての雅号を「MIRO ITO」に改名いたしました。
「伊藤みろ」も、作品発表時以外で併用させていただきます。
今後とも倍旧のご愛顧を賜りたく、どうぞよろしくお願いいたします。

Text by MIRO ITO/Media Art League+Japan Authentic Heritage Initiative
Photos: MIRO ITO, MIXA, Nara Prefecture Cultural Resource Utilisation Division
All rights reserved.

Media Art League/Japan Authentic Heritage Initiative
http://mediaartleague.org
https://japan-authentic-heritage-initiative.org

未来へ継承したい 祈りの心 東大寺千手観音立像・四天王立像・厨子~聖徳みろ 作品展示

2014-10-01 20:40:33 | Weblog
「未来へ継承したい 祈りの心 東大寺千手観音立像・四天王立像・厨子」聖徳みろ 作品展示

国際福祉機器展内 2014年10月1日-10月3日

爽秋のみぎり、ますますご清祥のことと存じます。

さて10月1日より3日まで、私の新しい写真作品の発表・展示が行われております。もとより、私が進めている文化共有事業「メディアアートリーグ」では、東大寺をはじめとする、奈良の世界遺産の社寺の国宝や重要文化財を、写真作品や映像作品として寄贈し、後世に遺す活動を行っています。

本展示は、東大寺の特別協力のもと、和紙に印画された六点の掛け軸作品として、このたび公開が実現しました。

千手観音立像・四天王立像・厨子(すべて重要文化財)は、東大寺戒壇院千手堂に安置されている鎌倉時代の至宝です。近年では、火災(1998年)により損傷した千手堂の落慶の年(2002)、平城京遷都1300周年の2010年、および厨子の扉絵の復元が完成した2013年の3度公開されただけの、きわめて貴重な非公開の文化財です。

千手堂は、奈良時代に鑑真大和尚によって、日本で初めて仏教の授戒式が行われた戒壇院内に設けられています。戒壇院の資料によると、鎌倉時代後期、東大寺の大勧進の任じられた圓照(えんしょう)上人によって、創建されました。江戸初期に三好・松永の兵火によって焼失されたものの、30年後の慶長年間に再建されました。江戸時代の縁起には、後嵯峨院が圓照上人に下賜した二間(ふたま)観音のことが記され、千手観音のことだと推測されます。

本観音像が写真作品として、東大寺の特別のご厚意により、これより広く世界に公開でき、「未来に継承したい祈りの心」を伝えるとともに、一人でも多くの皆様の心の癒しに役立つことを願う次第です。

ご協力いただいた東大寺ならびにご支援を賜りました皆様に、心から厚く御礼申し上げます。

なお私がライフワークとして進めさせていただいている、奈良の国宝や重要文化財の撮影は、奈良の社寺の特別なご理解とご支援の賜物であり、これより一人のフォトアーティストの立場を超え、歴史と現代を結ぶ意図にて、「聖徳みろ」の雅号にて、奈良の作品を発表していきたい所存です。

NYで経験した「9.11」から13年が経ち、奈良や日本の伝統芸能を取材する12年の歳月を経て、次なる人生の段階では、NYでの財団設立を目標に、日本に遺されたアジアの伝統文化を「未来に継承したい いのちの祈り」のかたちとして、世界に発信していきたいと願っています。

新たな雅号につきましても、引き続きお引き立てを賜りたく、改めてどうぞよろしくお願い申し上げます。

メディアアートリーグ代表

聖徳みろ こと 伊藤みろ
2014年10月1日

******************************************************
開催場所:第41回 国際福祉機器展
http://www.hcr.or.jp/exhibition/exhibition2014.html
期間:2014.10.1-10.3
時間:10:00-17:00
出展主催:日本ケアコミュニケーションズ
企画制作:メディアアートリーグ
協賛:NDソフトウェア
機材提供:キヤノンマーケティングジャパン、イイノメディアプロ
東京ビックサイト(東6号館)・入場無料(登録制)
******************************************************
All Rights Reserved.
2014 (c) Photo by Miro Ito
東大寺 戒壇院千手堂 千手観音立像(重要文化財)
特別協力:東大寺

[ メディアアートリーグについて ]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている1400年の有形・無形の文化遺産を、国際的に紹介する活動を展開。作品は、奈良の世界遺産の社寺をはじめ、国内外の図書館・美術館、文化財団、教育機関などに寄贈している。ユーラシア大陸伝来の太古のアジアの叡智と芸能、日本の精神文化の粋を、写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動として、NYで財団設立を目指す。

公式サイト http://www.miroito.com

師範 伊藤みろ「極意で学ぶ 写真ごころ」が初道場化! [2013年8-12月]土曜極意コース・ポートレイト道場

2013-07-13 21:36:02 | Weblog
2013年8 -12月 [第1期]
極意で学ぶ 写真ごころ道場 ご案内
師範:伊藤みろ 
実践 [ポートレイト撮影会]・談義 [作品講評会] × 全6回
土曜極意コース (午前の部・午後の部  各定員 8人)

■内容
「達人に至る道は、実践にあり、写真ごころにあり」を基本に、精神と技が一体化する「写真道」を伊藤みろが師範として指導。ポートレイト撮影による「実践」と作品講評会「談義」が 1 セット× 6 回。世界のすべてから、声なき声を聴き、写真を通じて、立ち現れる場に「いのち」を、瞬間に「永遠のいま」を、記録に「詩情」を、日常に「モニュメンタリティー」を見つめながら、写真における「表現とは何か」を徹底して追求する。「アサヒカメラ」誌で大反響を呼んだ 同名の連載、待望の初道場化。2013年8-12月第1期土曜ポートレイト道場を開設(※詳細は以下をご覧ください)

★★★実践のポイント★★★

精神と技の一体化を目指し、「写真ごころ=表現」とは何かを追求しながら、極意を学ぶ
- 環境の中での「構成美」の発見(光・形・動きに「美」と「構図」を見出す
- 「どう見るか」「どう見せるか」という「新鮮さ」「非日常」の視点
- 光の輝き・ニュアンスとの対話(光の足し算・引き算)
- パースペクティブを表現に生かす(レンズワークの世界)
- 色彩を表現として生かす(カラーフィルター活用、色補正)
- 見えているもの、隠されているものとの対話(フレームワーク、視線の力)
- 瞬間を「モニュメント」に変える(日常の中の記念碑、いのちの祝祭を生み出す)
- 光とかたち、色の出会い(ボケ、ティルト、軟調フィルター)
- 光で刻む心象風景(ハイキー=ノスタルジー、ローキー = メメントモリ)
- 静止の中に宿る永遠性(いのちの鮮烈さの表現)
- 動感の表現(写真の時間性/ブレ、長時間露光)
- 映り込み・多重露光(偶然・無意識の技)

■日程
(1) 第 1 回 実践: 8 月 3 日 ( 土 ) 15 ~ 18 時または、8 月 10 日(土 ) 10 ~ 13 時
      談義: 8 月 17 日(土 ) 10 ~ 13 時または、8 月 24 日(土 ) 15 ~ 18 時
- 夏休みのため、変則スケジュール。第 1 回の談義は、午前の部、または、午後の部のどちらでも参加可

(2) 第 2 回 実践: 8 月 31 日(土) 談義: 9 月 14 日(土)
(3) 第 3 回 実践: 9 月 28 日(土) 談義: 10 月 12 日(土)
(4) 第 4 回 実践: 10 月 19 日(土) 談義: 11 月 2 日(土)
(5) 第 5 回 実践: 11 月 16 日(土) 談義: 11 月 30 日(土)
(6) 第 6 回 実践: 12 月 7日(土) 談義: 12 月 21 日(土)
- (2) から(6) は、午前の部 (10 ~ 13 時 )  午後の部( 15 ~ 18 時)を選択

■場所
東京都世田谷区上馬のスタジオおよび周辺地域(屋外または屋内)を予定
※詳細は、お申し込みをいただいた方にご案内いたします。

■参加費
10 万円(全 6 回 : 「実践・談義」 が1セット x 6 回)

■定員 午前の部・午後の部 各 8 人
(※定員は、一杯になり次第、締め切らせていただきますので、ご了承ください。)

■参加対象 
一眼レフカメラ ( フィルム・デジタル ) をお使いになっている方で、作品( A4 以上)を持参できる方が対象です。定員に空きがある場合は、途中参加も可能です( 1 セット [ 実践と談義 ] で 2 万円)

■お申し込み先 有限会社メディア アートリーグ
Eメール: medialnyc@ybb.ne.jp / 電話: 03-5430-5433
※「午前の部」か「午後の部」をお選びいただき、お名前・ご住所・お電話番号・メールアドレス(パソコンまたは携帯)・性別を、お申し込みの際に、ご連絡ください。

■お支払い方法 口座へのお振り込み (※詳細はお申し込みをいただいた方にご案内いたします。)

(※上記は、2013年7月13日現在の情報です。)

[参考書] ※道場へのご参加の前にお読みください。

書名:『極意で学ぶ写真ごころ』伊藤みろ著
定価 2,400 円+税/B5判 並製 カラー単行本/ 152頁
発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
発行元: 株式会社フィルムアート社

書名: 『フォトグラファーズ バイブル』伊藤みろ 著
企画・編集:メディアアートリーグ

定価:2,100円(税込み)/B5判 並製 カラー単行本 /191頁
発刊:2012年5月22日 / ISBN 978-4416812440
発行元:誠文堂新光社

Photo by Miro Ito
Title: "Homage to Ingres" (Model: Angela Briganti)
All Rights Reserved by Miro Ito + Media Art League, L.L.C.

伊藤みろ著『日本の家紋と姓氏 伝統美と系譜』(誠文堂新光社) いま家紋が教えてくれる未来への祈りの心

2013-04-21 22:58:31 | Weblog
いま家紋が教えてくれる未来への祈りの心 日本の1400年、中国4000年の歴史への旅

 このほど、日本の精神文化の源流である奈良の世界遺産の社寺や伝統芸能、古武道などを取材した10年の歳月の一つのまとめとして、『日本の家紋と姓氏 伝統美と系譜』(誠文堂新光社)を上梓いたしました。
 家紋という「イメージ」を通して見えてくる「未来への祈りの心」を焙り出しながら、書き下ろした文化・芸術・歴史エッセイです。日本の宗教文化や伝統文化を担う専門家への取材に基づき、さらには日本や中国の古典文学、美術、建築、工芸の分野に至るまでの学術文献に拠り、家紋に託された豊かな文化史・精神史を検証してみました。家紋という「宇宙(ミクロコスモス)」に映し出された、日本に遺され、守られてきたシルクロードや中国伝来の文化を辿ってみました。
 とりわけ、日本の家紋の起源を、飛鳥・奈良時代にまで遡り、聖徳太子に始まる神仏習合1400年の歴史に光を当て、神仏への祈りという視点から、家紋を捉えてみました。その背後にある「秘話中の秘話」の数々を紹介しながら、合計約3000点という紋数を収録しています。また本書の特徴は、幻の紋、知られざる紋、珍しい紋まで、約300種類の紋種を網羅しています。まさに文化の「鏡」であり、祈りの結晶のである、「家紋」の「百科事典」を目指しています。 
 一方、本書では、副題「伝統美と系譜」の通り、後半100ページ分の付録となった、日本の約120姓氏の由来について、詳しい解説を行いました。家紋と姓氏は、まさに「不二(身と殻のように切り離せない)」のものでありながら、家紋も姓氏も、これまで学問として、本格的な学術研究がなされておらず、姓氏についても、諸説が入り乱れる中で、歴史的な第一級文献に基づきながら、出典を明示した上で、解説文を編集稿として、書き下ろしました。
 そして本書416ページに凝縮された、家紋と姓氏の総鑑的な歴史から浮かび上がるのは、神仏に捧げられた日本人の祈りの心であり、文化の特異性をも超えた、いのち根源にある「光」を求める心です。そうした視点に立つとき、家紋は、「人類資産」として新しい文脈で復興し、時代や場所を超えて、永遠の光彩を放ちうるのかもしれません。
 私たちの遠くて近い祖先からの贈り物である、日本の1400年の伝統、中国4000年の歴史、朝鮮半島の国々との友好への祈りに満ちた、未来へと受け継いでいきたい「和」の心を、総家紋数約3000点・300種類の家紋から焙り出しています。
 もとより日本初の「十七条憲法」(604年)の第一条である「和」の心は、聖徳太子の時代より、戦いがあったからこそ、それを乗り越える叡智として唱えられ、私たちの心の中で生き続けてきたことを、本書において、何よりも伝えたいと思いました。
 家紋というイメージに託された日本に遺されたアジアの叡智の伝統を、世界の多くの方々と共有することで、聖徳太子に始まる「和」の心を実現できるよう、皆様からのご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 平成25年4月吉日

 伊藤みろ メディアアートリーグ
 2013 (C) Miro Ito + Media Art League, L.L.C./All rights reserved.

 ********************************************************************
『日本の家紋と姓氏 伝統美と系譜』
 著者:伊藤みろ
 企画・編集:メディアアートリーグ
 出版社: 誠文堂新光社
 ISBN-10: 4416812051
 ISBN-13: 978-4416812051
 単行本: 416ページ (家紋総数約3000点/300種類)
 サイズ:A5(21 x 14.8 x 2.5 cm)
 発行日:2013年3月27日
 定価:1800円(+税)
 ********************************************************************

 [メディアアートリーグについて]
 アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている1400年の文化遺産を、国際的に紹介する活動。作品は奈良の寺社をはじめ、世界の図書館・美術館、文化財団、教育機関などに寄贈している。シルクロード伝来のアジアの叡智と芸能、日本の精神文化を、写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。将来的には、NYで財団設立を目指す。

元興寺 母なる大地への愛 祈りの景観 by 伊藤みろ (Miro Ito)

2012-08-02 16:53:18 | Weblog

元興寺 母なる大地への愛 祈りの景観

日本最古の寺である奈良の元興寺(がんごうじ)では、毎年8月23日と24日の盂蘭盆の日に、有縁無縁の霊を供養し、地蔵菩薩に祈りを捧げる地蔵盆万灯供養会が執り行われます。

元興寺では、中世以来、元興寺を支えた庶民信仰のうちでも地蔵信仰が最も盛んで、地蔵盆万灯供養会は、その伝統を現代に蘇らせたものです。

地蔵尊は古来より、弱者や苦しむ者を救う象徴として、古くから信仰を集めてきました。辻村泰善住職によると、地蔵尊とはもともとは菩薩の一種ですが、梵語「キチシ・ガルバ」の漢訳で、本来は大地と子宮を意味するそうです。

「1985年に再建してみると、地蔵尊たちの圧倒的な存在感に驚いてしまいました」(元興寺 辻村泰善住職 ※ )

以来、地蔵尊たちへの時代を超えた人々の祈りが、母なる大地への愛と相まって、毎年、印象的な光の景観を見せてくれます。

元興寺の地蔵盆万灯会の模様は、先日発刊いたしました新著『フォトグラファーズバイブル』(誠文堂新光社)でもご紹介させていただきました。同書は写真教本でありながら、私なりの写真の哲学、美と聖なるものへのあふれる思いを写真とことばに託したエッセイ&写真集です。

また8月2日より、日本橋三越前の奈良まほろば館で「まほろびすと-飛鳥時代の面影照らす元興寺-」が開催されています。私がとらえた元興寺地蔵盆の光の光景も、展示されていますので、お近くにお出かけの際はご高覧くださいませ(8月14日まで)。

元興寺の地蔵盆万灯供養会では、官立の寺院だけでなく、地元の人々の厚い信仰心に支えられてきた奈良仏教のもうひとつのあり方をご覧いただくことができることでしょう。

地蔵尊に託された母なる大地への愛、弱きものや苦しむものたちを救う存在として信仰を集める地蔵尊たちと出合い、自らが光となる願いさえも込められた、手作りの癒される光の景観です。

皆様のご健勝をお祈り申し上げつつ、暑中のお見舞いを兼ねて、ご案内まで申し上げます。

平成24年8月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ

取材・撮影協力:元興寺 ( Text and photo by Miro Ito, all rights reserved.)
=============================================

※ 元興寺公式サイト
http://www.gangoji.or.jp/

※ 奈良まほろば館(奈良県広報施設)
「まほろびすと-飛鳥時代の面影照らす元興寺-」展 2012年8月2日~14日
http://www.mahoroba-kan.jp/

※ 『心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い』(伊藤みろ著/武田ランダムハウスジャパン)をご参照ください。辻村泰善住職の法話もインタビュー収録されています。

※ 『フォトグラファーズ バイブル』(伊藤みろ著/誠文堂新光社)
http://www.amazon.co.jp/フォトグラファーズ-バイブル-プロに学ぶ発想と絵づくり、構図とライティング-伊藤-みろ/dp/4416812442/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1339218879&sr=8-2

『フォトグラファーズ バイブル』発刊のご案内(伊藤みろ著)by Miro Ito

2012-06-09 12:20:35 | Weblog
『フォトグラファーズ バイブル』発刊のご案内 (伊藤みろ著)

 写真を愛するすべての人に捧げる「バイブル(座右の書)」

 写真術の魅力を、未来永劫変わらない法則をもとに『フォトグラファーズ バイブル』としてまとめ、このほど発刊いたしましたので、ご案内させてくださいませ。

 本書は、「プロに学ぶ発想と絵づくり、構図とライティング」の副題どおり、写真の楽しみ方と達人への道を、「構図」「絵づくり」「発想」「ライティング」の4つのテーマから、私自身が世界さまざまな国々で心おもむくままに撮ってきた作例をもとに、分かりやすく紹介を試みました。

 写真の構図や絵づくりのルールを「変わらない法則」として解説し、写真の基礎から応用まで、撮影技法と表現力を同時に鍛えながら、思いどおりの写真を撮るために、実力に磨きをかけていただくための教本です。

 作品づくりでは、ドキュメンタリー写真を中心に、テーマの選び方・着眼点から、写真の詩情・アート性まで、さまざまな創造的視点について、発想豊かに幅広く学んでいただきます。また上級者やプロ向けに、本格的なスタジオライティングの技法を公開しました。さらに技術を支える写真の美学や哲学、歴史についても、簡潔にまとめ、写真表現の奥義へと誘(いざな) わせていただきます。
 
 ドイツ、アメリカ、日本…と三つの国を経て、活動し続けてきた私自身の写真を介した体験に基づき、魂をこめて捧げる気持ちで書き上げましたので、写真を愛するすべての人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
 本書が写真の教本であり、私自身がつねに目指してきた「達人への道」を求める実践的テクニックに主眼を置きながらも、私の魂の旅路の「私的ドキュメンタリー」のポートフォリオとなりました。

 ミニ写真集のような扱いでご紹介させていただいた世界遺産である奈良やバルト三国での心揺さぶられる宗教体験や、仏教、神道、キリスト教をはじめ、古今東西の貴重な文化財の素晴らしさに、自然や風景の美しさに、世界各地の訪れた街での一瞬の物語との邂逅に感謝を捧げます。
 また日本の優れた伝統工芸である竹工芸の匠技の粋に、NYで出会った美しきミューズであるモデルたち、ウェールズの詩聖Anno Birkinをはじめ、写真を通して「永遠のいま」という時空のモニュメントと向き合えることに_。

 そして何よりも、すべての美しく尊いご縁を与えてくださった、私たちを支える大きな力に、深く頭を垂れる思いで、心からの感謝と敬意を捧げます。

 全てへの感謝とともに

 2012月6月吉日

 伊藤みろ メディアアートリーグ

**********************************************************************
書名: 『フォログラファーズ バイブル』
副題:プロに学ぶ発想と絵づくり、構図とライティング
著者: 伊藤みろ
企画・編集:メディアアートリーグ
出版社:誠文堂新光社 (2012/5/22)
https://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=3418
定価: 2,100 円(税込み) 
カラー単行本: 191ページ
ISBN-10: 4416812442
ISBN-13: 978-4416812440
**********************************************************************

「人生とは君の芸術だ。開かれ、覚醒した心が君のカメラだ。世界との一体感が君のフィルムだ。君の輝く目と気楽なほほえみが君の博物館だ」とは、20世紀を代表する最も偉大な写真家の一人、アンセル・アダムス (Ansel Adams 1902-1984) の言葉です。
 人生はまさに芸術であり、表現する心がカメラであり、そして作品が博物館なのだと思います。
 そして芸術における表現とは、魂を込めれば込めるほど、真実へと向かう「幸せ」と同義語の「信念」という宝石になるのです。あるいは「心」という形なきものの黄金といっていいかもしれません。
 この本は、写真表現において、珠玉の宝石のような輝きを目指す人々のための「バイブル(=座右の書)」となることを願って「フォトグラファーズ バイブル」というタイトルしました

 (『フォトグラファーズ バイブル』伊藤みろ著「はじめに」より)

Cover Photo: Miro Ito / Model: Salome Tropp
Photo & Text by Miro Ito / Media Art League, L.L.C. All rights reserved.

写真ごころと「不射の射」(伊藤みろ著『極意で学ぶ写真ごころ』より)

2012-02-27 21:49:13 | Weblog
写真ごころと「不射の射」(伊藤みろ著『極意で学ぶ写真ごころ』/フィルムアート社より)

 弓道の精神性を世界に広めた著書に、オイゲン・へリゲル (Eugen Heligel)博士の『Zen in der Kunst des Bogen-schiessens』(弓道芸術における禅)があります。

 博士は大正年間に東北帝大で教鞭をとる傍ら、阿波研造の下で弓道の修業を積みました。そして阿波師範の達人技を見たヘリゲル博士は、奥義を「不動の中」ということばに集約させました。すなわち弓道の礼法に儀式化された動きの先にある、一つの「真空状態」を奥義として考えたのです。

 術も射おうとする心も矢も、さらに的さえも、すべてが溶け合って消失する、最高の自由さ(無の状態)こそが、奥義だという訳です。

 達人の世界では、自らが「射るのではなく」「『それ』が射た」という感覚が芽生えるようですが、写真の奥義も、よい作品を撮ろうとする作意や雑念をかい潜り、あらゆるものをすり抜けていってしまった先に、ひとつの真空状態にあるのかもしれない、といつしか思えるようになりました。

 私自身の体験から眺めると、ドイツ、アメリカ、日本…と三つの国で向き合ってきたテーマや被写体は実にさまざまでしたが、そのなかに一貫した「まなざし」があったとすれば、それは、被写体のもつ「真性=こころ」が見えてくる瞬間との出合いを求めていたことかもしれません。

 その瞬間に、被写体と私とを区別する一切のものが最高の均衡となって、静かに開かれていきます。明と暗、生と死といった、相対するエネルギーが静謐そのものの調和のなかに溶け合うのです。

 ある意味で、写真は限りなく禅の世界に近づいていきます。撮るものも、撮られるものも一体となる場所があるとしたら、その区別を超えた状態なのでしょうか。

 鈴木大拙禅師に倣えば、禅ではこれを「無」とします。
 そして無とは、何もない状態ではなく、完全の調和でありながら動力を内に秘めた状態なのかもしれません。

 調和の中から仄かに立ち顕われる、存在の秘めたる力に自らのこころを委ねるのが写真を撮ることであり、写真術の神髄なのだと思います。

 写真は、撮られた「像(イメージ)」が「作品」として成立しうるかどうかはともかく、まずは「写真を撮る」という行為そのものに、重きを置きたいと思います。その上で「なぜ人は写真を撮るのか」「作品をつくるのか」という、問いかけに答えていくつもりで、写真ごころについての極意論として、教本であり、芸術エッセイであり、技法書である本書『極意で学ぶ写真ごころ』を著しました。

 「アサヒカメラ」誌での連載中から、写真という「道」であり、哲学に、私なりに答えていくつもりで、書き進めてまいりました。

 写真道を踏みならした先人たちをはじめ、柳生新陰流の開祖や流祖、宮本武蔵、世阿弥などの天才・偉才に学び、写真メディアと日本文化の極意論を絡めて、写真ごころを徹底的に語り尽くそうと試みましたので、ひとりでも多くの方にお読みいただければ、幸せに思います。

 いつしか「こころで撮る写真術」として、「初めは完成」になり、「術は術ではなくなり」、写真を撮らずして撮るという、「不射の射」の達人の世界が開かれてくるのでしょうか。

 「射手は、一通りの所作を行うにもかかわらず、不動の中となりうる。つまるところ、術は術でなくなり、射ることは射ないこととなり、師範は再び門下生となり、達人は初心者となり、初めは完成となる」
(オイゲン・ヘリゲル/伊藤みろ訳)

 2012年2月吉日

 伊藤みろ

 ★2012年3月2日には、『極意で学ぶ写真ごころ』刊行記念のトークイベントを開催します。
  皆様のご来場をお待ち申し上げます。

 *****************************************************************************************
 『極意で学ぶ写真ごころ』刊行記念 伊藤みろ 講演会

 ~「写真ごごろ」を語るトークイベント 
 *****************************************************************************************


 ■ テーマ:
「写真ごごろとは何か」
 


■ 開催日時:
 3月2日(金) 19:00 ~ 20:00 (18:30開場) ※20:00よりサイン会


 ■ 開催場所:
 八重洲ブックセンター本店 8階ギャラリー

 (〒104-0028 東京都中央区八重洲2-5-1)


 ■ 定員:80名 
 

■ 参加費:無料


 ■ 申込方法:
 お電話による申込み 03-3281-8201 (八重洲ブックセンター 1階)


 ■ 主催:八重洲ブックセンター


 ■ 共催:フィルムアート社



 ■『極意で学ぶ写真ごころ』(フィルムアート社)関連サイト
 
 フィルムアート社:http://www.filmart.co.jp/cat138/post_157.php

; 
 伊藤みろ情報サイト:http://miroito.exblog.jp/

; 
 伊藤みろ公式サイト: http://www.miroito.com 


 

Photo & Text by Miro Ito. All rights reserved.
2011,2012 (c) Miro Ito/ 写真ならびに文章の無断転載を禁じます。

2012.3.2 (金) 19:00~ 伊藤みろ「写真ごごろ」を語る講演会開催(八重洲ブックセンター8F)

2012-02-07 00:18:23 | Weblog
『極意で学ぶ写真ごころ』刊行記念 伊藤みろ 講演会

「写真ごごろ」を語るトークイベント

 いまほど写真術が多くの人々に愛され、開かれた表現メディアとして、珠玉の宝石のような煌めきを放ちはじめた時代はないかもしれません。
 その鍵となるのが心です。
 実際、写真表現において、心ほど重要なものはなく、心のメディアとして写真術を語り尽くした同書は、「アサヒカメラ」誌で大反響を呼んだ連載をまとめたものです。
 写真の哲学と奥義を語りながら、国際水準の技法を伝授し、「つながり」「分かち合う」ためのメディアとして、写真術の未来を夢豊かに語ります。

■ テーマ:
「写真ごごろとは何か」というテーマについて、写真表現における創造的な視点や歴史、そして写真を撮る心構えにまで踏み込み、写真文化の精神論とその奥義を語ります。同時に、独米日の写真文化の第一線で活動してきた著者が究めた、写真技法の「極意」を解き明かします。
※「色温度」「あおり」はじめ、「フィルターの活用」「日中シンクロ」など、著者だからこそ語れる「国際水準」の実践テクニックを伝授します。
※トーク終了後、ご希望のお客様にサイン会を行います。

■ 開催日時:
 3月2日(金) 19:00~20:00 (18:30開場) ※20:00よりサイン会

■ 開催場所:
 八重洲ブックセンター本店 8階ギャラリー
(〒104-0028 東京都中央区八重洲2-5-1)

■ 定員(整理券枚数):80名 ※定員になり次第、締め切らせていただきます。

■ 参加費:無料

■ 申込方法:
 お電話による申込み 八重洲ブックセンター 1階 電話番号: 03-3281-8201
 もしくは、店内備え付けの申込書に必要事項を明記の上、1階レファレンスコーナーにて申し込み

■ 主催:八重洲ブックセンター

■ 共催:フィルムアート社

■ 『極意で学ぶ写真ごころ』(フィルムアート社)関連サイト
フィルムアート社:http://www.filmart.co.jp/cat138/post_157.php

 伊藤みろ情報サイト:http://miroito.exblog.jp/

 伊藤みろ公式サイト: http://www.miroito.com


 皆様のご来場を心よりお待ちしております。

 伊藤みろ メディアアートリーグ

 2012年2月吉日

「アサヒカメラ」新年号(2012年1月号)にて「能」を撮った作品を10頁で発表 by 伊藤みろ (Miro Ito)

2011-12-23 11:41:34 | Weblog
 12月20日発売の「アサヒカメラ」新年号(2012年1月号)に、「能」を撮った作品を10ページで発表しています。
 シテ方金春流 金春穂高氏、観世流 武田志房(ゆきふさ)氏、武田友志(ともゆき)氏、武田文志(ふみゆき)氏をスタジオで撮りおろした作品です。

 曲は「翁」「羽衣」「絵馬」「敦盛」「高砂」です。
 
 翁は、天下泰平の祈祷の舞いとして、新年に舞われます。
 金春流・金春穂高氏が世の安寧への願いを込めて、空を舞台に演じる翁は、咒師猿楽の流れを組む興福寺春日大社の薪能での「咒師(しゅし)走りの儀」の翁です。また世界共通の伝説である「羽衣」を舞っていただきました。

 一方、松の永遠性と夫婦和合を詠う「高砂」を観世流・武田志房氏に、武田友志氏には天照大神(「絵馬」)を舞っていただきました。

 NYで「9.11」を体験した私は、世界の平和を願い、能に流れるこうした神々の「おめでたさ」や、悟りを目指すこころの道を作品のテーマにしています。
 武田文志氏には、敵と味方が仏縁で友となる「敦盛」を演じていただきました。

 抑制のきいた動きから役者の深い感情が溢れでる能は、観る人の心の中で響き、人の心のあり様を発見する心理劇です。
 同時に想像力を仏や神々の世界へと飛翔させる世界最高峰の伝統芸能といえます。 
 
 さて「アサヒカメラ」といえば、同誌での連載『極意で学ぶ写真ごころ』がこのたび書籍になりました(フィルムアート社)。

 ドイツで写真家になった私にとって、日本文化はモダンアートの源流でもあります。
 東西文化の融合の極みから生まれる写真ごころを説きながら、「極意」の技法を開示しています。
 せひご高覧くださいませ。

 かしこ

 伊藤みろ メディアアートリーグ

 2011/12/23
 Photo & Text by Miro Ito/Media Art League. All rights reserved.
 Photo: Tomoyuki Takeda "Ema" by Miro Ito

 撮影協力:イイノメディアプロ
----------------------------------------------------------------

「極意で学ぶ写真ごころ」伊藤みろ 著 / B5 判/
 予価 2,400 円+税/並製 オール4C / 152 頁/
 発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
 発行元: 株式会社フィルムアート社  TEL: 03-5725-2001
 http://www.filmart.co.jp

  [フィルムアート社の情報サイト]
 http://www.filmart.co.jp/cat138/post_157.php#more

 [amazonで発売中]
 http://www.amazon.co.jp/極意で学ぶ写真ごころ-伊藤-みろ/dp/4845911809/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1322401804&sr=8-1

 [伊藤みろ 『極意で学ぶ写真ごころ』情報サイト]
 http://miroito.exblog.jp/

 公式サイト: http://www.miroito.com

写真ごころの極意論: 『極意で学ぶ写真ごころ』について (「アサヒカメラ」連載の書籍化)

2011-12-14 13:34:22 | Weblog
 このたび書籍として発刊しました『極意で学ぶ写真ごころ』(フィルムアート社)は、日本文化の「極意論」と絡めて、「写真ごころ」とは何かを考えるエッセイを冒頭に、「基本」でありながら、「極意」である実技を伝授する教本です。

 写真ごころとは、写真における表現をめざす態度であり、現実の先に永遠なるものを視ようとする思いのことですが、冒頭では「不射の射」を考えてみました。

「不射の射」といえば、「射らずして射る」という、まさに神業の世界です。
 大正時代の弓道の大家・阿波研造師範は、線香で照らしただけの暗闇の中で二本の弓矢を放ち、一本目は的の真ん中に命中。二本目は一本目の筈に当たり、一本目を引き裂いていた、という逸話があります。

 阿波師範は「それ(仏)が射た」と語りました(ドイツの哲学者のオイゲン・ヘリゲルの著作『弓と禅(日本の弓術)』より)が、「仏が射る」とはすなわち、仏と呼ぼうが神と呼ぼうが、宇宙本体の大本の力による業、という意味になるでしょうか。武道では、古来より中国の神仙術のごとき、こうした離れ技を伝えています。

 もとより、達人の世界は、常人の想像を絶する世界ですが、芸術の創造行為も、どこかこうした人智を越えた力の助けを得ています。万物に遍満し、すべてを貫通する宇宙の摂理が、人が本来もつ潜在的な力と創造的に結びついているのではないでしょうか。
 そこでは「撮る」「撮られる」の関係が溶け合っていきます。この一体感こそ、写真ごころの醍醐味です。

 いわゆる芸術のインスピレーションの源がどこかと考えると、それは自然の生命力だったり、さらに現実の時空の先に広がる次元(無意識)からの働きかけによるものです。
 詩人が万物から「声なき声」を聴くように、画家は見える世界を通して、その先にある「見えない世界」を視ようとします。
 私にとっては、絵も写真とは、自分の意識をそうしたより大きな世界に結びつける「こころの窓」の役割を果たしています。

「不射の射」とは、写真においては、「撮らずして撮ること」「視ずして視ること」と本書の冒頭で書きましたが、それを追体験することが難しいようでしたら、一心に何かに打ち込んでいる自分を想像してみてください。

「無我夢中」という喩えのとおり、音楽を演奏するとき、絵を描くとき、詩を綴るとき、踊りを舞うとき、スポーツで記録に挑んでいるとき…でも、何でもいいのです。その時に、我を忘れることで、音楽そのもの、絵そのもの、詩そのもののエネルギーに自分を投げ入れ、どこか「永遠なるもの」に繋がっていく感覚が得られれば、それが「写真ごころ」であり、「絵ごころ」「詩ごころ」の入り口となるのです。

 本書では、日本文化の極意論を語りながら「技」に託された精神性を、また「写真ごころ」について考えながら、芸術の中に宿された永遠性を、語ってみました。
 私の写真ごころのすべてを注ぎこみましたので、どうぞご愛読くださいませ。


伊藤みろ
2012年12月吉日

写真:足立美術館 池庭(『極意で学ぶ写真ごころ』 P.83掲載より)
Photo & Text by Miro Ito/Media Art League. All rights reserved.

----------------------------------------------------------------

「極意で学ぶ写真ごころ」伊藤みろ 著 / B5 判/
予価 2,400 円+税/並製 オール4C / 152 頁/
発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
発行元: 株式会社フィルムアート社  TEL: 03-5725-2001
http://www.filmart.co.jp

[フィルムアート社の情報サイト]
http://www.filmart.co.jp/cat138/post_157.php#more

[amazonで好評発売中]
http://www.amazon.co.jp/極意で学ぶ写真ごころ-伊藤-みろ/dp/4845911809/ref=sr_1_1?

[伊藤みろ 『極意で学ぶ写真ごころ』情報サイト]
http://miroito.exblog.jp/

伊藤みろ 公式サイト: http://www.miroito.com

足立美術館公式サイト: http://www.adachi-museum.or.jp/ja/index.html

『極意で学ぶ写真ごころ』発刊のご案内  伊藤みろ by Miro Ito

2011-12-01 12:08:02 | Weblog
『極意で学ぶ写真ごころ』発刊のご案内  (著:伊藤みろ)

 アサヒカメラ誌で連載していた「極意で学ぶ写真ごころ」が11月30日、フィルムアート社から書籍として発刊になりました。

 ドイツ、アメリカをはじめ、世界の写真文化の第一線で学んで来た経験を一冊の本に託しました。

 この本では、「極意」を二つの範に求めています。
 一つは、能や剣、弓道などの技芸をはじめ、山水画や日本庭園などをテーマに、そこに秘められた極意を学びながら、写真表現に置き換える、日本の精神文化に学ぶ極意です。
 学ぶのは、形を超えた理(ことわり)です。

 日本の伝統文化の簡素さに宿る幽玄なる美の「形」を「表」とするなら、「裏」にはそれを支える「理」が常に張り合わさっています。その意味で、日本文化はまさに「極意」の文化といえるほどです。

 もうひとつは20世紀初頭の前衛運動であるモダンアートにおける表現上の挑戦。
 フォービズム、キュビズム、ダダ、表現主義を経て、新即物主義やシュールレアリスム、抽象芸術に至るまで、芸術表現が根本から塗り替えられるなか、ロシアンアヴァンギャルトやバウハウスで試された果敢な写真の実験をヒントに、写真技法を「写真道」として、捉え直してみました。
 
 こうした技法の「理」と「道」を実践しながら、その先に行き着くのは「写真ごころ」です。
 そして写真ごころとは、剣や弓道の極意のごとく、熟達とともに形を超え、万物の心と溶け合って一体となり「無我の境地」へと限りなく近づいていきます。

 「日本伝統文化」と「モダンアート」、一見相容れないように見える二つの範は、モダンアートの源流に日本の伝統文化を位置づけるとしたら、「陰陽」のようにかみ合ってくるのです。

 同書は、私自身の経験をもとに、東西文化の融合、その極意と精華とを考えながら、写真ごころとは何かを解き明かしていく技法書であり芸術エッセイです。

 連載中から、初心者から上級者、プロのカメラマンまで、幅広い層の方々にご愛読いただきましたが、書籍化にあたっては、内容や写真を更新し、魅力をさらにアップさせるよう努めました。

 普遍的に使える技法と知識の上に、写真表現の盲点をつく、知られざる極意を随所に披瀝しています。

 版元フィルムアート社の暖かな支援のもと、私の写真魂と写真ごころのすべてを、そしてアーティスト、美学研究家としてドイツやアメリカで学んだこと、考えたこと、感動したこと、作品やエッセイに込め、本として最高の形にまとめられたと自負しております。

 一人でも多くの方にお読みいただければ、本望です。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 かしこ

 伊藤みろ メディアアートリーグ

 2011/12/1
 Photo & Text by Miro Ito/Media Art League. All rights reserved.

----------------------------------------------------------------

「極意で学ぶ写真ごころ」伊藤みろ 著 / B5 判/
 予価 2,400 円+税/並製 オール4C / 152 頁/
 発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
 発行元: 株式会社フィルムアート社  TEL: 03-5725-2001
 http://www.filmart.co.jp

  [フィルムアート社の情報サイト]
 http://www.filmart.co.jp/cat138/post_157.php#more

 [amazonで発売中]
 http://www.amazon.co.jp/極意で学ぶ写真ごころ-伊藤-みろ/dp/4845911809/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1322401804&sr=8-1

 [伊藤みろ 『極意で学ぶ写真ごころ』専用情報サイト]
 http://miroito.exblog.jp/

 公式サイト: http://www.miroito.com

「伎楽 仮面の道」間もなく完成 ~ 東大寺ミュージアムオープン

2011-11-23 23:05:14 | Weblog
9.11から10年、そして震災から8ヶ月経ちましたが、世界の大激動のただ中にあって、私自身、自らの非力さと向き合いながら、被災地の慟哭から見えてくる未来の希望を信じながら、その気持ちをいかに作品に託していくか、という挑戦の日々が続いています。

10年経った「9.11」のメモリアルデーには、「9.11と3.11をつなぐ」気持ちを、作品に結実させたいという誓いを新たにしました。私はといえば、NYに思いを馳せながら、日本の1300年前にタイムトリップをしていました。

ちょうど9月から東大寺の伎楽面のショート作品を制作し始めました。
伎楽については、かつて故・野村万之丞さんが復元された「楽劇 真伎楽」とワシントンのスミソニアン・フォークライフ・フェスティバルで出合って以来、「伎楽」に託された時空を超えた意義を読み取り、映像として作品化することは夢の一つでした。

伎楽は、アジア最古の仮面劇といわれ、日本には1400年前に伝来し、聖徳太子によって奨励されました。奈良時代に全盛を極めましたが、平安末期に衰退し、江戸時代には滅びてしまいました。その起源や伝来については謎が多く、伎楽が果たしてどういった芸能だったのかを、チベットやブータン、インド舞踊や中東の騎馬民族の踊りなど、アジア諸国の芸能にまで遡り、楽劇として復元されたのが野村万之丞さんでした。

私は、昨年の平城京遷都1300年を記念して開いた個展「光の道:祈りと芸能のシルクロード」(Canon Expo Tokyo)のために、東大寺の伎楽面を撮らせていただき、展覧会の後、作品を東大寺に奉納いたしました。それがきっかけとなって、今回、東大寺伎楽面の写真と野村万之丞さんの真伎楽面ならびに「楽劇 真伎楽」の写真をもとに、「伎楽 仮面の道」という作品を制作し始めることになりました。間もなく完成しますので、12月から東大寺ミュージアムにてご覧いただけるかと思います。

さて先月の10月10日、東大寺初の宝物館となる東大寺ミュージアムがオープンになりました。東大寺ミュージアムは、南大門を入った左手の東大寺学園跡地に建てられた「東大寺総合文化センター」内に設けられ、連日大変な賑わいを見せています。

オープニングの展示は、「奈良時代の東大寺」。東大寺の1300年前の至宝60点が集められています(2013年1月14日まで)。このミュージアムの最大の魅力は、現在、須弥壇が修理中の法華堂のご本尊「不空羂索観音立像(ふくうけんさくかんのんりゅうぞう)」と月光菩薩、日光の菩薩像が展示されていることです。

「不空羂索観音立像」は、法華堂内陣でのお姿とは異なり、光背や宝冠(現在修理中)で飾られておられない分、その堂々たる体躯から発散される圧倒的なパワーに息を呑まれる方は多いかと思います。

東大寺の中でも一番古く、東大寺の創建の歴史ともつながりの深い「不空羂索観音立像」の前に立つとき、1300年間受け継がれ、守られてきた聖なるもの、そこに捧げられてきた数多の祈りや歴史の重みと向き合わせていただける、何にも喩え難い尊い体験となります。
この観音さまならば、きっと聖武天皇の大仏造立の願いを叶えられたことでしょうか。

なかでも観音さまの智慧に溢れた眼に強く打たれました。観音さまの眼は世を憂い、かつまた人類の過去から未来を貫くすべての悲しみを見つめているようでした。

私は、観音さまの眼から溢れ出る智慧の光に、未来への答えを求める気持ちで頭を垂れ、深い祈りを捧げました。

さて同ミュージアムのロビーの映像コーナーでは、私にとって初の映像作品となった「大仏さまは生きている」をご鑑賞いただけます(東大寺へ寄贈)。
大仏さまとは、一体どういう仏さまであるかを、写真から作った動画により、映像詩として構成いたしました。ぜひご覧くださいませ。

http://culturecenter.todaiji.or.jp/museum/

1300年前に思いを馳せながら、世界の安寧への願いをこめて

伊藤みろ メディアアートリーグ
2011/11/23

Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン 
定価: 2,000円(本体1,905円)ISBN: 978-4-270-00564-4
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
記事、写真の無断転載を禁じます。
Copyright (c) 2011 Miro Ito + Media Art League.

つながる心にこそ、希望あり:能楽師 武田友志さんの活動に同行して

2011-05-24 14:59:36 | Weblog
「つながる心にこそ、希望あり:能楽師 武田友志さんの活動に同行して」

東日本大震災から2ヶ月が過ぎた去る5月13日、観世流シテ方 能楽師の武田友志(ともゆき)さんの災害支援活動に同行し、宮城県石巻市勝雄地区の8カ所の避難所に、1000人分の食材を届けてまいりました。

友志さんいわく「我々のような小規模の支援は誰も行かないような小さな町に、と考え雄勝を選んだ」とのこと。実際、現地に足を運ぶと、避難所がどこにあるのかさえ分からない場合も多く、迷路のように入り組んだ山道を何度も曲がりながら、ようやく探し当て辿り着く感じでした。

友志さんは、震災直後、被災地の惨状と窮状をテレビで知り、まずは放射能の風評被害で支援物資が届かない福島県に「1箇所でも自分で持って行けば必ず届く、絶対に自分で行動しよう」と決め、単独でいわき市四倉を訪れました。

二度目の訪問の際、「もっと(被害の)酷い宮城や岩手に行ってあげてください」といわきの方からいわれ、宮城を訪れることに。これまで被災地を4回訪れ、雄勝へは2度目の訪問でした。

さて、件の雄勝地区では、地域のコミュニティセンターや老人憩いの家など、比較的規模の大きい避難所は物資も届いていましたが、個人宅が避難所になっている地域では、訪れる人もなく、本当に自分たちで届けない限りは、ほとんど何も届いていない状況でした。

私が感動を覚えたのは、縁もゆかりもない地域に出かけ、暖かな励ましを送り続ける友志さんの姿でした。その姿にこそ、人としてのあるべき姿があり、日本の未来があるように思われました。

極限状態におかれながら、被災された方々の秩序だった行動や礼儀正しさ、冷静な態度は世界的にも報道され、驚きの声で迎えられました。そうした日本人の美徳は、長い伝統や文化力によって育まれてきたものですが、友志さんのように、見ず知らぬ人々を応援したいという真心と受け取られる方々の感謝にこそ、その真意が認められるのではないでしょうか。

友志さんいわく「私達が伺った被災地の方は『誰か知り合いがいるの?』と聞かれます。そして何の縁もない私達や、その仲間が支援してくれているということに、心を打たれ喜び、涙を流す方もいらっしゃいます」。

そのような「思いやり」と「助け合い」という心が響き合う力こそ、被災地から世界に向けて希望の光を灯す、ひとつのメッセージになりうるのではないでしょうか。

私自身、9.11同時多発テロ事件をNYで体験した時、心のつながりの尊さを知りました。それは繁栄の頂点を目指して、NYの人々を競争へと駆り立てていた利己主義を溶かし、人間にとってより大切な「つながり」と「行い」の美徳に目覚めさせてくれました。

それ以来、私は微力ながら、日本の伝統文化から、写真や書籍・映像作品を通して、世界平和の基盤となる「連帯」の心を訴えたいと願い、創作活動を行っていますが、友志さんのような「行い」にこそ、人と人をつなぐ希望の光があるのだと思います。

8カ所の避難所を訪れた後、最後に同地区の船越小学校を訪問し、湯島食堂(国境なき料理団)のシェフ本道佳子さん、深澤大輝さん(深澤フーズ)、岡山からいらしたWaRa倶楽部の船越耕太さん三名による炊き出しを手伝いました。小学校32名、中学校31名のために、心のこもったランチが振る舞われ、子供たちが美味しそうに食べる様子を目にし、私自身、本当に心の暖まるひと時が過ごせました。

子供たちの愛らしく屈託のない明るさ、被災地の惨状の直中にあっても前向きな先生方の笑顔、そして友志さんや料理団の皆さんの心が一つに溶け合い、私は日本の未来を信じられる気持ちになりました。

ランチの後、後ろ髪を引かれる思いで被災地を後にしながら、次には、私自身の課題として「9.11」と「3.11」を繋ぐ活動をしようと誓いました。

思えば、バブル以降、いまほど日本が国際的に注目されたことはなかったのではないでしょうか。世界中の人々がさまざまな苦難に喘ぎながらも、自分たちの国情を顧みず、無条件に日本にエールを送り、また国家間のわだかまりや過去の経緯を乗り越え、支援し続けてくださる国々の善意は、国同士のつながりの大切さを、改めて思い起こさせてくれます。

国際社会が総出で日本を支援してくれることにこそ、復活を目指す日本が、新しい地球文明時代に、人として国として見本となれるよう、答えていかなくてならないのだと思います。

その答えの一つとして、人と人、人と社会、国と国、そして人と世界、人と生きとし生けるものすべての「いのち」との「つながり」を訴えていくことにあるのではないでしょうか。

その上にこそ、平和への第一歩があるのだと、改めて実感する次第です。

末筆ながら、このたびの震災により、ご家族や親類、ご友人をなくされた方々のために、改めて心よりご冥福をお祈り申し上げます。

伊藤みろ

メディアアートリーグ

2011年5月25日

写真:宮城県石巻市雄勝町
Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン 
定価: 2,000円(本体1,905円)ISBN: 978-4-270-00564-4
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進。作品は寺社をはじめ、世界の図書館や大学、財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。
http://www.miroito.com

記事、写真の無断転載を禁じます。
Copyright (c) 2010 Miro Ito + Media Art League

「つながり」と「おこない」:9.11と3.11

2011-04-17 12:22:36 | Weblog
「つながり」と「おこない」:9.11と3.11

 一ヶ月前の大震災、津波の被害、そして原発事故により、日本全体が大きく揺れる中、かつてNYで体験した9.11を思い出しています。

 このたびの東日本大震災ならびに原発事故の被災者の方々のご不幸には本当に言葉を失いますが、いまこそ、多くの方々が「思いやり」や「助け合い」の輪を広げ、日本が見失ってしまった精神的な価値を見つめ直すときなのだと思います。

 一筋の光明があるとすれば、芸能界やスポーツ界をはじめ、多くのボランティアの方々が被災者の救済のために名乗りを上げ始め、かつてないほどの規模とスピードで、心暖まる「思いやり」や「助け合い」の「つながり」と「行い」の輪が急激に広がりつつあることでしょうか。

 私自身、かつてNYで9.11を体験したことを契機に、人生が大きく変わりましたが、9.11を契機に、NYでも、本当に多くの人々が「つながり」を「行い」で示し始めました。 

 あの事件を境に、「New Reality」という言葉が現れ、世界が一変しました。残念ながら、政治レベルでは、「制裁」が新しい戦争を引き起こし、その後も不幸を生み出し続けていますが、「祈り」を選択した人々は、つながりに目覚めました。

 私自身もそうした一人として、世界の平和に貢献したい一心で、大仏さまをはじめ、日本の精神文化を世界発信するプロジェクトを「9.11」を境にスタートさせました。世界の人々に、希望の光を作品を通して発信したいと思ったからです。

 その後、奈良の社寺にご協力いただきながら、8年がかりで日本の精神文化を取材し、作品を創り進めていますが、今年は映像作品として広く発表いたしたく、被災地でも、いずれ作品を見せることができたら、と願う毎日です。

 もとより奈良の大仏さまが作られた時代も、現代のように、未曾有の天変地異をはじめ、疫病や飢饉に見舞われた試練の時代だったといわれています。

 そんな時代に「動植物にいたるまで、すべてを救いたい」という聖武天皇の願いから、大仏さまが国づくりのシンボルとして創られたのです。そしてのべ260万人の人々の「つながり」と「おこない」によって、大仏さまは完成されました。
 その後、二度の戦火に遭いながらも、大仏さまが二度とも再建されたのも、この「つながり」と「おこない」によるものでした。

 いま日本では、「震災後」ともいうべき「New Reality」が始まったのだと思います。
 どうか人々の心の本来の姿が現れる出来事で満たされた時間であってほしいと思います。

 大惨事の中で、力になりたい、助けたい、という連帯と共感に支えられた真心からの行いこそ、新しい日本を創れるのではないでしょうか。

「私の行いは所有物であり、
 私の行いは私の遺産であり、
 私の行いは私を生む子宮であり、
 私の行いは私の隠れ家である」
(『アングッタラ・ニカーヤ』からの仏陀の言葉:訳 菊地晶美)

 惨事でお亡くなりになった多くの方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

 合掌

 伊藤みろ  メディアアートリーグ
 2011年4月17日

写真:東大寺盧舍那大仏 撮影協力:東大寺


Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[ フォトエッセイ]

書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い

古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ

著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ

出版社: 武田ランダムハウスジャパン 

定価: 2,000円(本体1,905円)ISBN: 978-4-270-00564-4

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



http://www.miroito.com


記事、写真の無断転載を禁じます。

Copyright (c) 2010 Miro Ito + Media Art League
 

シドニーからの手紙 ( S.T.氏より) ~過去現在未来と響き合う~

2011-01-23 12:14:38 | Weblog
シドニーからの手紙 ( S.T.氏より) ~過去現在未来と響き合う~


2011年のキーワード「響き合う」という新春のメッセージお送りしたところ、シドニーからお便りをいただきました。とても素敵なメッセージですので、ご紹介させてくださいませ。


「(東大寺の鏡池は)何十回となく見ているのに、こんな姿に気がついたことがありませんでした。
やはり立ち止まってじっくり目を凝らし耳を澄ますことが大切ですね。

さて、「響き合う」、良いですね。
耳だけじゃなくて胸やお腹で感じるバイブレーションの素晴らしさが奈良の最も良いところの一つかもしれませんね。
それに、音は時間ですから、過去現在未来をつなぐのに響きの比喩はとてもしっくりきます。

西洋では「建築は凍れる音楽」とか言うそうで、フェノロサが薬師寺東塔を指してそう言ったという話があります。

以前から納得できない話だと思っていましたが、その理由がよく分かりました。
東塔は凍ってなどいない。千三百年の豊穣が今も響きわたっています。こちらの心持ち次第では未来に向けて共鳴することもできます。
そういうことを伝えるのに、響きの比喩は良いですね。

また、人間の情報処理能力を越える大量の情報が眼から入ってきて、私たちを惑わせています。

心を落ち着かせてじっくりとものを考えるには、自分の気持でも、他人の意見でも、自然の音でも、未来の可能性でも、耳を澄まして聞こえてくるものにもう少し集中したほうが良いかもしれませんね。

そういう意味でも写真家が響きをテーマにする、というのは、とても大切なことですね (S.T.)」

****************************************************************************

私は、S.T.さんと同様、胸やお腹で感じる素晴らしいバイブレーションのようなものをいつも奈良で感じています。それを写真に託すことができたらと思い、アメリカから一旦日本に取材のために戻り、2005年から奈良を撮り続けてまいりました。

奈良では、1300年の豊穣は今も響き合っています。

1301年目の奈良に足を運んで、ぜひ体験してみてください。

心の眼と耳を澄まして、聞こえてくるものに、身をゆだねてみてください。
きっと過去現在未来へと響き合い始めている自分を感じていただけることと思います。

2011年1月23日

伊藤みろ

写真:元興寺から眺めた空

Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン 刊行日: 2010年2月24日
定価: 2,000円(本体1,905円)判型: A5上製 ページ数: 144ページ
ISBN: 978-4-270-00564-4
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進。作品は寺社をはじめ、世界の図書館や大学、財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。
http://www.miroito.com

記事、写真の無断転載を禁じます。
Copyright (c) 2010 Miro Ito + Media Art League