MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

MIRO ITO 伊藤みろ 講演シリーズ「古都奈良 三都物語」が2023年8月6日からスタート(平城宮跡歴史公園)

2023-07-09 07:19:51 | 世界発日本の精神文化
MIRO ITO 伊藤みろ 講演シリーズ「古都奈良 三都物語」が2023年8月6日からスタート(平城宮跡歴史公園)

平城宮跡での年5回の講演+映像上映シリーズ「奈良古都 三都物語」にて、毎回講演者として登壇します。

第一回目は、8月6日(日)13時〜14時(第一部)

初回の映像詩の上映は、新作「飛鳥・藤原 律令国家のはじまり〜仏教文化の開花をたどる」(奈良県観光局委託作品)の発表を兼ねて、日本の最初の都である飛鳥から藤原(新益京)について、お話をさせていただきます。


飛鳥宮跡 Asuka-kyō Palace Ruins (Photo by Miro Ito)

第二部では「万葉の情景・恋愛の伝道」と題して、平城京歌姫・蓮女の皆さんによる女声合唱[14時10分〜30分]をお楽しみいただけます。

なお第一回(8月6日)と第二回(9月10日)の講演では、事前にお申し込みいただいた先着50名様限定にて、竹製ミニチュア遣唐使船pop-upカードを贈呈いたします。

事前予約は以下、平城宮跡歴史公園朱雀門広場イベントページまで :https://suzakumon-heijokyo.com/news/16948/

2回目以降のスケジュールは、
9月10日(日)
10月14日(土)
2024年以降
1月14日(日)
2月11日(日)




藤原宮跡 Fujiwara-kyō Palace Ruins (Photo by Miro Ito)

Ancient Nara — A Tale of Three Cities:
Asuka-kyō/Fujiwara-kyō/Heijo-kyō

This new 5-part lecture series by Miro Ito begins on 6th Aug 2023 at the Nara Place Site Historical Park's Mitsuki-kan Hall: Ancient Nara: Tales of three cities (Asuka-kyō/Fujiwara-kyō/Heijo-kyō)

Lecture in Japanese with cinepoetry screenings pertaining to Ancient Nara.

To register, please follow the link below:
https://www.suzakumon-heijokyo.com/news/16948/

The first 50 people that register (for the first two lectures on 6th Aug and 10th Sept) will receive an intricate bamboo pop-up card of a Kentōshi-ship*.
*.ships that the Japanese envoys to Tang China sailed on

Complete Lecture Schedule
1st lecture: 6th Aug 2023
2nd lecture: 10th Sep 2023
3rd lecture: 14th Oct 2023
4th lecture: 14th Jan 2024
5th lecture: 11th Feb 2024



MIRO ITO発:メディア=アート+メッセージ No.17 国のはじまりの奈良ー聖徳太子・聖武天皇「日本の二人の聖人」から大和四寺「花巡礼」まで

2021-10-21 14:59:49 | 世界発日本の精神文化
【ご挨拶】

2021年の奈良大菊人形展(10月30日~11月7日・奈良公園バスターミナル会場)開催にちなみ、記念講演をさせていただく運びとなりました。

本年の菊人形展は「聖徳太子没後1400年」をテーマに、聖徳太子と推古天皇、蘇我馬子など、聖徳太子と関わりのあった人物の菊人形が展示されます。

また同日に始まる本年の正倉院展(10月30日~11月15日、奈良国立博物館)のテーマは大仏造立です。752年の大仏開眼法要において、東大寺に献納された品々がまとまって出陳されます。

これら「聖徳太子1400年御遠忌」と大仏開眼供養会にちなんだ正倉院展を記念し、聖徳太子と聖武天皇の偉業に見られる「普遍のこころ」をテーマに、映像上映ならびに解説をさせていただきます。

 
映像詩「いまに生きる奈良」(製作:いかす・なら地域協議会、監督・撮影・文:Miro Ito)より
 
日本の二人の聖人 世界的な視点から見つめる偉業

私にとっての「心のすみか」である奈良の世界遺産・国宝・宗教行事を取材し始めて16年以上が経過し、奈良に始まる日本の精神文化を海外に発信する国際文化事業を、ライフワークとして、手掛けさせていただいてまいりました。

かつてNYで体験した「9.11同時多発テロ事件」を契機に、混迷に向かう世界への答えを求めた時、日本の1400年の神仏習合の伝統にたどり着きました。それ以来、日本の二人の聖人、聖徳太子と聖武天皇の偉業を取材し、多くの先生がたから学ばせていただきました。

世界的な視野から「聖人」と呼ぶにふさわしいお二人の業績を、微力ではございますが、二つの映像作品を通してご紹介しながら、解説をさせていただきたいと存じます。

「国のはじまりの地・奈良」へお出かけの際は、ぜひ足をお運びください。

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奈良菊人形展~国のはじまりの地・奈良~記念講演
「日本の二人の聖人 聖徳太子と聖武天皇~時を超える普遍のこころ」
講師:MIRO ITO (伊藤みろ)
主催:文化庁、日本芸術文化振興会、奈良県
日時:2021年10月30日(土)午後17:00~18:20
場所:奈良公園バスターミナル レクチャーホール
定員:150人(参加無料、先着順)
お申し込み: www.asahi-family.com/miro/
お問い合わせ:「普遍のこころ講演会」事務局 
(Tel:06-6201-0638/平日10:00-16:00)
協力:いかす・なら地域協議会、法隆寺、東大寺
【プログラム】
❶ 映像詩「いまに生きる奈良」(前半) :  聖徳太子から鑑真和上の来日まで
❷ 解説
❸ 映像詩「大仏さまは生きている」
❹ 映像詩「いまに生きる奈良」(後半) :  南都六大寺と春日大社 シルクロード交流の証
 

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【同時開催写真展】
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「大和四寺 みほとけを荘厳する花景観 
長谷寺~室生寺~岡寺~安倍文殊院 Photo by Miro Ito」
期間:2021年10月30日~11月7日
場所:奈良公園バスターミナル 1Fギャラリー
主催:奈良県
協力:奈良大和四寺巡礼の会(長谷寺、室生寺、岡寺、安倍文殊院)
奈良県ビジターズビューロー
機材協力:キヤノンマーケティングジャパン
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 長谷寺の桜 東側から本堂を望む
 
菊人形展と同時開催にて、疫病退散祈願の聖地である大和四寺における「みほとけを荘厳する花景観」をテーマにした写真展を、2021年10月30日から11月7日まで、奈良公園バスターミナル1Fで開かせていただきます。

奈良県中央部に位置する長谷寺・室生寺・岡寺・安倍文殊院の「大和四寺(やまとよじ)」は、いずれも1200年以上の歴史を誇る古刹です。
日本の曙の地である奈良県中央部には、かつて磐余(いわれ)・泊瀬朝倉・飛鳥・

藤原京といった都が置かれ、古来「国中(くんなか)」と呼ばれていました。
そこは美しい自然全体が季節ごとに色とりどりに開花・紅葉し、極楽浄土にも比せられる、豪奢な花景観を見せています。

山々に囲まれた長谷寺・室生寺は、ほとばしる自然の輝きが季節ごとに、豊かな色彩の交響曲を奏でる別世界です。

長谷寺が日本最大級の観音様の「観音霊場」ならば、深い山奥に鎮座する室生寺は、女人禁制の高野山に対して「女人高野」として知られる聖地です。

「日本最古の厄除け寺」岡寺では、桜や石楠花で埋め尽くされた参道から、飛鳥の山々が一望でき、古代日本人の思いと出合うことができます。

また「日本三大文殊の一つ」安倍文殊院は、桜の名所・桜井にあり、春には桜、秋には満開の秋桜が荘厳する別世界となります。
 

岡寺 春の飛鳥を借景する枯山水
 
それぞれ花そのものが、みほとけの慈愛の賜物であることが感じられます。
大和四寺は、古くからの疫病退散の巡礼地として、治癒を求める参拝客が全国から訪れていますが、コロナ禍の収束への願いを込めて、ご案内させてくださいませ。

奈良公園バスターミナル屋上の菊人形展と併せて、ご鑑賞くださいませ。

令和3年10月吉日

MIRO ITO 伊藤みろ
本物の日本遺産イニシアティブ
Photo & Text by Miro Ito. All rights reserved.

#Miro Ito #伊藤みろ #本物の日本遺産イニシアティブ #日本の二人の聖人 #聖徳太子 #聖武天皇 #奈良菊人形展 #正倉院展 #大和四寺 #東大寺大仏造立 #大仏さまは生きている #いまに生きる奈良 #法隆寺 #東大寺 #長谷寺 #岡寺


MIRO ITO発:メディア=アート+メッセージ No.16「本物の日本遺産イニシアティブ」発足のご案内

2021-08-09 09:45:36 | 世界発日本の精神文化
世界に対する答えを見つける

 この1年半は、世界の多くの人びとにとって、忍耐の時間でした。
TOKYO 2020 オリンピックでは、国籍、人種を超えた世界最高峰のアスリートたちが熱戦を繰り広げ、多くのアスリートがコロナ禍による延期の1年の結果、逆境をチャンスに変えた成果を見せてくれていました。忍耐とは、それ自体が一つの活動の力となりうることに、改めて気づかせてくれます。

コロナ禍という、未曾有のパンデミックに世界が晒され、2021年8月8日の時点で、2億300万人が感染し、429万人が死亡した世界的な出来事を前に、世界は一つの運命共同体である、という思いが強まるばかりです。

コロナ禍がきっかけとなった新しい時代のための新しい意識とは、分断化がますます進む世界において「世界は一つであり、私たちは皆一つなのだ」とする意識を全開させることなのではないでしょうか。
この意識は、もう一つの重大な危機である、気候変動問題とも切り離せないものです。


江戸時代後期の世界地図(部分、Ensign, Bridgman & Fanning Publishers, New York)

「本物の日本遺産イニシアティブ」

私自身、ニューヨークで体験した9.11同時多発テロ事件以来、世界の一体性へのメッセージを発信すべく、日本の1400年の歴史の中に、東西文化の交流の証を探る「光と希望の道」プロジェクトをスタートさせました。

それから間もなく20年が経過し、1400年の日本文化とシルクロードのつながりを展覧会や書籍、映像作品として「見える化」させ、コロナ禍以前には、2016年から2019年の間に、外務省国連日本政府代表部・在外公館や国際交流基金、日本カメラ財団との共催で、世界巡回展を11カ国12都市で開催いたしました。

その後、世界での展覧活動はコロナ禍の影響を受けて保留中であるものの、その静止の期間を生かして、このたびオンラインによる活動を本格化させるべく、「本物の日本遺産イニシアティブ」をスタートさせました。

同イニシアティブでは、1400年の歴史以来、シルクロード諸国からの恩恵を受け続けた日本文化から、世界の未来にいかに貢献しうるかをテーマにしてまいります。

そのために独自の「メディア=アート+メッセージ」づくりを行いながら、中期的に財団設立を目指し、同じ志を持つかたがたを同志=会員として、募っていく文化活動です。


映像詩「いまに生きる奈良」(33分)


映像詩「いまに生きる奈良」(監督・撮影・文:MIRO ITO 伊藤みろ) 製作:いかす・なら地域協議会

さて新しいWEBサイトのご案内を兼ね、2005年より15年以上かけて取材をしている奈良への思いの丈を込めさせていただいた、映像詩「いまに生きる奈良 シルクロード東の終着点〜1400年の精神文化の回廊」という作品のご案内をさせてくださいませ。

同作品は、文化庁クラスター事業「いかす・なら地域協議会」の製作で、私が監督・撮影・文を手がけさせていただきました。2006年から本年1月までの撮影をもとに、33分の映像にまとめたものです。
南都六大寺+春日大社の伝統をご紹介しながら、奈良をシルクロード東の終着点であり、日本の神仏習合の1400年の聖地として位置付けるものです。

本年の聖徳太子1400年御遠忌にちなみ、東アジアにおいて仏教の教えを元に国づくりを行い、国際交流の先鞭をつけた聖徳太子の偉業の紹介に始まり、国難克服・国民救済のための復興事業である聖武天皇による大仏造立、鑑真和上の来日と受け継がれる仏教の秘儀、美術や芸能として継承されきた神仏習合の麗しき伝統、さらに奈良にいまも息づく東西文化の交流の証の粋を、映像詩としてつづります。

2月6日に奈良県甍ホールで上映後、奈良県文化資源活用課のYouTubeで配信されております。「本物の日本遺産イニシアティブ」のご案内かたがた、「いまに生きる奈良」をご覧いただけたらと願い、お知らせ申し上げます。(※下記リンク内の映像作品名「いまに生きる奈良」をクリックしてください。)


なお「本物の日本遺産イニシアティブ」におきましては、ぜひ皆さまにご参加いただければ、幸いに存じます。興味を抱いていただけるようでしたら、当イニシアティブのサイト(https://japan-authentic-heritage-initiative.org/)へお越し下さいませ。

それでは、猛威を振るうコロナ禍の収束を祈りつつ、世界の一体性への願いとともに、引き続きどうぞよろしくお願いたします。

末筆ながら「本物の日本遺産イニシアティブ」発足のために、ご協力をくださった多くのかたがたに、心から厚く御礼申し上げます。

令和3年8月吉日
MIRO ITO 伊藤みろ

本物の日本遺産イニシアティブ
Photo and text by Miro Ito, Japan Authentic Heritage Initiative/Media Art League. All rights reserved.

トップイメージ写真:「本物の日本遺産イニシアティブ」サイト部分(左:室生寺十一面観音立像、中央:東大寺月光菩薩立像、右:東大寺伎楽面崑崙・酔胡従)

Japan Authentic Heritage Initiative
Weaving Japan’s 1400-years of cultural legacy into a tapestry for the future

オンライン講演&映像作品上映のご案内 (2021年1月30日・31日)ー「四天王はどこに住み どんな神々なのか」奈良 大立山まつり

2021-01-30 13:36:47 | 世界発日本の精神文化
オンライン講演&映像作品上映のご案内 (2021年1月30日・31日)
「四天王はどこに住み どんな神々なのか」奈良 大立山まつり
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四天王信仰は、飛鳥時代に始まります。奈良時代には、聖武天皇によって、鎮護国家の祈りが平城京で捧げられ、疫病が収まったという記録が伝えられます。奈良県の冬の風物詩である「大立山まつり」は、四天王にちなんだ大型イベントですが、本年は、コロナ禍のため、イベント形式を改め、オンラインで開催する運びとなりました。オープニングを飾る「四天王シンポジウム」を、ぜひオンライン配信でご拝聴いただければと願い、ご案内させてくださいませ。
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                記


1.日時 令和3年1月30日(土)・31日(日)限定配信

2.「四天王シンポジウム」のプログラム 


①東大寺 森本公誠長老による 基調講演

「四天王への熱き想い〜須弥山世界観と四天王信仰」

事前収録版の配信 (40分)


② 作品映像鑑賞
「天平から鎌倉へ 国宝 四天王像
崇高なる勇姿の極み 東大寺〜唐招提寺〜大安寺〜興福寺」
写真・文:伊藤みろ (Miro Ito)
ショートムービーの配信(20分)

③ 学術解説 「四天王像に見る忿怒の美」
講師: 龍谷大学 神田雅章教授
ライブ講演(30分)


3. 配信アドレス

奈良 大立山まつり 公式サイト映像配信プログラム

https://hoguhogunara.jp/video2/


主催:奈良県「大立山まつり」実行委員会
撮影協力:東大寺、唐招提寺、大安寺、興福寺、奈良国立博物館
機材協力:キヤノンマーケティングジャパン
協力:奈良県ビジターズビューロー、エヌジーシー、Anyway、イマジカ・ラボ、イマジカ・ライブ、TSP太陽、奈良テレビ放送ほか

プログラムの内容は、まず四天王信仰の由来については、東大寺・森本公誠長老がお話になられます。

次に日本を代表する国宝四天王像の造形美に注力した、私の写真による映像作品を、映像詩としてご鑑賞いただけます。
ご覧いただけるのは、東大寺戒壇堂、唐招提寺講堂、大安寺讃仰殿、興福寺中金堂・南円堂・北円堂にそれぞれ安置されている、天平から鎌倉までの世界的な傑作の四天王像です。

それらの写真作品を元に、龍谷大学の神田雅章教授が、学術解説をライブでお話しくださいます。

2日間の期間限定での配信になりますので、この機会に、ぜひご拝聴くださいますようにお願いいたします。

それでは四天王の見えざる力により、コロナ禍の収束を祈念いたしつつ、皆様のご無事をお祈り申し上げます。

令和3年1月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ
Media Art League
East meets West, North meets South through "Media = Art + Message"


興福寺中金堂四天王像 運慶作  鎌倉時代 国宝
Photo by Miro Ito

伊藤みろ発:メディア=アート+メッセージ No.7 「明治150年 世界機運に飛び乗った幕末・明治遣米使節団」

2018-04-23 07:16:46 | 世界発日本の精神文化

明治150年を記念して、在シカゴ日本国総領事館広報文化センターにて、「The LAST of the SAMURAI」展が4月10日から開催されています。幕末・明治にアメリカへ送られた使節団、「最後の侍たち」の肖像写真を中心に、アメリカでの歓迎の様子を紹介する49点の写真展です。

主催は、日本カメラ財団、ならびにシカゴ総領事館と日本文化会館(Japan Cultural Center)、共催はメディアアートリーグ。4月25日までは、同総領事館で開催され、その後、5月5日から13日までは、日本文化会館にて開催されます。


4月10日のオープン二ングの際には、伊藤直樹総領事から、シカゴと岩倉使節団とのご縁を含む、機知に富んだ素晴らしいご挨拶を頂戴いたしました。プロデューサーとして、私もショートレクチャーを行う機会に恵まれ、その後にノースウェスタン大学トーマス・ガウバッツ准教授による、江戸と明治の風俗についてのショートレクチャーが続き、最後に舞踊家・新井春双の居合舞「散り際の美学」(プロデュース:メディアアートリーグ、音楽;Hagi)を披瀝させていただき、いずれも大きな反響をいただきました。


世界の激動の100年

私の講演のテーマは、幕末・明治の二つの遣米使節団の背景と目的についてでした。同じレクチャーは、シカゴの名門私立大学ノースウェスタン大学でも、ガウバッツ准教授のクラスにて、行わせていただきました。

徳川幕府による遣米使節団は、万延元年にペリー来航(1853年)の翌年に結ばれた日米和親条約の後、日米修好通商条約批准書交換のために、1860年、77人の侍たちがアメリカに派遣されたミッションです。正史・新見正興を団長とする77人の侍の特使に加え、司令官・木村喜毅(芥舟)、船長・勝海舟が率いる96人が、護衛艦・咸臨丸で随行しました。咸臨丸には、福沢諭吉や通訳・ジョン(中浜)万次郎も同乗していました。

一行は、ワシントンとニューヨーク、フィラデルフィアとボストンを訪れ、各地で熱烈な歓迎を受けました。「ニューヨーク・ヘラルド」紙が「星からの珍客」と評し、また16歳の見習い通詞の立石斧次郎が「トミー」としてアメリカの婦人に大人気となり、「トミーポルカ」という歌が流行するなど、その後の侍伝説を生み出していきます。このトミーは、後に長野桂次郎として、岩倉使節団にも随行しました。

時代的には、1860年のアメリカは、アブラハム・リンカーンが大統領に当選した年でした。そして翌61~65年には南北戦争が勃発。大きな時代の変革の波が、世界に押し寄せていました。

ヨーロッパでは「1848年革命」が起こり、君主制国家に抵抗する自由主義・ ナショナリズムの台頭が連鎖的に発生したことで、ウィーン体制が崩壊し、以降1945年までの「激動の100年」が始まっていました。その後の53~56年のクリミア戦争をきっかけに、ロシアのプチャーチンが、ペリーに続いて日本の開国を求めて1854年に長崎に来航。ロシアとイギリスが長崎で接近したことをきっかけに、徳川幕府と英国は、秘密裏に外交交渉を始めることになりました。

一方、ペリーが日本との和親条約を、最初に単独で締結できたのは、ヨーロッパ諸国が当事者としてクリミア戦争に参戦していたため、太平洋地域に優先的に関心を向けられなかった、という裏事情がありました。

世界の激動の波に呑まれるように、日本においても、1853年から1945年までは、激動の100年となりました。大政奉還を原動力に、富国強兵を国策として、「脱亜入欧」を掲げ、「文明開化」のスローガンの下、西洋先進諸国への仲間入りを果たすべく、一気に近代化・工業化への階段を駆け上っていきました。

開国後は、日本の近隣諸国との関係も変化し、それが二度の世界大戦の入り口となりました。そして第二次世界大戦後は、日本は民主国家として再生され、世界的には、植民地の独立をもたらし、帝国主義が終焉しました。

 


副産物としての美術外交


一方、明治維新では、あまりにも短い間に、急激な西洋化が進められたことで、飛鳥時代以来、江戸時代までの1200年以上続いた神仏混交の伝統は、廃仏毀釈政策のもとで神仏分離がなされ、多くの仏像や仏具、仏教行事が排除され始めました。その結果、1897年の古社寺保存法の制定、1929年の国宝保存法までの間、仏像や仏画から、絵巻物、水墨画、琳派、風俗画や浮世絵版画まで、大量の秘宝が海外に流失しました。

これらの貴重な文化財は、今日、ワシントンのフリア美術館やボストン美術館、NYのメトロポリタン美術館、大英博物館などで鑑賞することができます。ちなみにシカゴ美術館にも、全米一といわれる浮世絵版画の大コレクションが収蔵されています。

これらのコレクションにより、その後、日本美術の優れた研究者が数多く生まれ、日本文化への理解が深められたことは、ナショナリズムを超えた世界的な宝物の伝搬と保存、研究という視点からは、別の意義が見えてきます。明治維新をきっかけに、国境を越えた日本の優れた伝統芸術による「美術外交」が、その後の日本文化の深い理解への道を開いたものと考えられるからです。



シカゴとのご縁

さて、使節団とシカゴとのご縁は、明治維新後に岩倉使節団が訪問したことでした。

一行は、1871年12月13日に横浜を出発、22日かけてサンフランシスコに到着。翌1月31日にサンフランシスコからサクラメントへ赴き、そこからシエラ・ネバタ山脈を越える鉄道の旅を経て、ユタ州ソルトレイクシティへ到達。その後、ワイオミング準州でロッキー山脈を越え、ネブラスカ州オマハまでの2900キロの鉄道の旅を遂行しました。アイオワ州でシカゴ行きの列車に乗り換えた後は、どこまでも広大なトウモロコシ畑の続く行程を進み、イリノイ州に入ってシカゴに至るまで、オマハからさらに816キロを鉄道で走破しました。

シカゴへの到着は2月27日で、前年10月のシカゴ大火災でまだ被災の跡が顕著に見られたところへ、正史・岩倉具視が5000ドルを寄付したといわれています(『米欧回覧実記』(久米邦武編著、水澤周訳・注、慶應義塾大学出版会)。一行は、当時世界最高水準と言われたミシガン湖畔の揚水装置や水道システム、最新式の消防機械、二箇所の小学校と商品取引所を視察しました。

とりわけ、シカゴとのご縁を語る上でのユニークなエピソードは、唯一の和装姿、「小道服に髷」の公家装束を纏った岩倉正史が髷をシカゴで断髪したことでした。一行は、丸一日をシカゴで過ごし、夜にはシカゴを発って、首都ワシントンを目指し、さらなる1130キロの旅に向かいました。

 

遣米使節団からのメッセージ

今回、「The Last of the SAMURAI」展をシカゴで開催できたことは、二度の世界大戦を経た激動の100年における怒涛のような体験にも拘わらず、アメリカとの長い友好の歴史を振り返り、未来の世代に向けて、相互理解を深めていくために、大変良い機会になったことと願っています。

かつてシカゴ・トリビューン紙は、岩倉使節団について、以下のような記事を掲載しました。
「日本は未開国の中で最も文明化されており、しかもヨーロッパのどの国よりも古い歴史を持っている。われわれの祖先がまだ未開で裸で暮らしていた頃から、日本には政府も法律も学校も文学もあった」(泉三郎著『堂々たる日本人』祥伝社黄金文庫より)。

すなわち民族や文化、宗教や風俗の違いを越えて、人としての威厳、異質なものを尊重する寛容さ、「仁義礼信智」を根幹に置くサムライ精神がアメリカの人々にも、伝わったのだと思います。

岩倉使節団は、その後、ホワイトハウスでジェームズ・ブキャナン第15代大統領に国書を奉呈した際、新見正使、村垣副使、小栗監察は狩衣に太刀を佩く、公家や大名の烏帽子姿でした。4頭立ての馬車に乗ってはいたものの、槍持ちやお供を従えた大名行列さながらの一行を見ようと、沿道や通り沿いの家々の窓から屋根上まで、大勢の人々が群がっていました。その熱狂ぶりは、同写真展でもご覧いただけます。

ハリー条約を改正する目的は遂げられなかったものの、150年後にこの歴史を振り返るとき、分断化の進むアメリカ社会において、異質なものを尊重し、互いに信頼し合い、人としての尊厳を大切にし合うことにこそ、幕末・明治の使節団から時空を超えた意義が読み取れるのです。

これこそ幕末・明治使節団による外交の、今日的なメッセージであり、それが「写真外交」となって、次世代への興味を深めるひとつのきっかけとなることを願ってやみません。その意味で「明治150年」にちなんだシカゴでの「The LAST of the SAMURAI」展は、大成功といえる文化事業となりました。

主催者日本カメラ財団、共催者メディアアートリーグを代表して、ご関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

平成30年4月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ
Media Art League
East Meets West through "Media = Art + Message"
http://mediaartleague.org

Text by Miro Ito /Media Art League. Photographs: JCII Collection. All Rights Reserved


※関連リンク:
在シカゴ日本国総領事館広報文化センター (4月10日から25日)
http://www.chicago.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/jic_main_j.html

在シカゴ日本国総領事館Facebook
https://www.facebook.com/jic.chicago/

日本文化会館(5月5日から13日)
https://japaneseculturecenter.com