MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

極意で学ぶ写真ごころ -『アサヒカメラ』で連載が始まりました ( by Miro Ito )

2007-11-25 10:45:35 | Weblog
 極意で学ぶ写真ごころ
『アサヒカメラ』誌で新連載スタート

 アサヒカメラ誌で先月より、私の連載がはじまりました。
 日本の伝統の中で「極意」がどう理解され、目指されてきたかを見つめながら、それを作品をつくる上でも役立てたい、という願いをこめて、連載のタイトルは『極意で学ぶ写真ごころ』というものです。

 初心者から上級者までを対象に、写真術の基本中の基本でありながら、極めて大切な「極意」を伝えながら、絵を描くこころを「絵ごころ」と呼ぶように、写真をつくる心である「写真ごころ」を求めていくものです。

  写真にも絵のように、写真ごごろがあります。絵ごころが想像力の表現ならば、
  写真ごころは直観の産物です。ともに「テーマをどう捉えるか」という主張であり、
  発想やものの見方のスタイルといえますが、絵とは違い、写真では、線の代わりに
  光を使います。まずは、光をどう捉まえるか、
  第一回目では「露出の極意」から学んでいきましょう。
  (『アサヒカメラ』2008年11月号「極意で学ぶ写真ごころ」より)

 第一回目となった先月20日発売の『アサヒカメラ』11月号では、5ページで「露出の極意」を伝授しました。
 11月20日発売の12月号では、露出の極意を実践しながら、写真の「花」とは何か、を考えながら、写真ごころをいかに発揮するか、作品づくりを通して学んでいただきます。

 これから連載を通して、多くの方々に、写真術のとっておきの極意と写真をつくる楽しさを伝えていきたいと思います。

 興味のある方はぜひお読みくださいませ。

 2007年11月吉日
 伊藤美露

(ブログの図版は『アサヒカメラ』11月号のp.178-179、(c) text and photo by Miro Ito for Asahi Camera/Asahi Shimbun Co., Ltd.)

 ☆☆☆☆☆ NYにて伊藤美露 個展「能から舞踏へ」開催中 ☆☆☆☆☆
 "Men at Dance - from Noh to Butoh by Miro ITO:
 Japanese Performing Arts, Past and Present"
  開催場所: The NY Public Library for Performing Arts
  (Plaza Lobby-Steinberg Room), 40 Lincoln Center Plaza, NYC, NY 10023

 開催期間: 2007年10月15日から2008年1月5日まで
 開館時間: Tues, Wed & Fri: 11 to 6; Mon, Thurs: 12 to 8; Sat: 10 to 6
 http://www.nypl.org/research/lpa/

 ☆☆☆☆☆ 日本図書館協会選定図書 ☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN 978-4-8443-5921-0
 発行:株式会社エムディエヌコーポレーション

「ローライのフィルム」を使う、銀塩とデジタルを「空」に喩えてみる

2007-11-18 09:18:30 | Weblog
「ローライのフィルム」を使う、
銀塩とデジタルを「空」に喩えてみる

 ー 穏やかなどこまでも澄み切った空と、気流の乱れで変化を孕む空 ー

 ドイツのローライ(Rollei)から、モノクロフィルムが発売になりました。 
ローライといえば、二眼レフカメラメーカーの元祖です。かつて超小型レンジファインダーのローライも人気機種でした。その「ローライがフィルムを発売!」というニュースは、デジタルにより一変してしまった写真界では、久しぶりの明るいニュースになりました。
 今月15日発売の『コマーシャルフォト』12月号に、ローライブランドの新フィルムの概要が報じられ、私も作品を2ページ(P.104~105)で提供しています。   

 実は『コマーシャルフォト』誌をはじめ、いまアート系や大御所写真家の間では「フィルムを残したい」という気運が高まりつつあります。結論としては、私たちのような「アナログとデジタル」の両方を知っている世代が「フィルム」を残そうと努力しなくては、本当にこのままフィルムが消えてしまうかもしれない…という危機感があるからです。
 来年の写真界はきっと「フィルムを残そう」という気持ちがさらに新しい動きとなっていくのではないでしょうか。

 さてローライの新しいフィルムは、私が長年愛用していたドイツのAgfaフィルムがブランド替えをしたものです。ラインナップは、R3(10~6400の可変感度)、INFRARED(赤外線400)、PAN 25、ORTHO 25、RETRO 100、RETRO 400の5タイプですが、PAN25はかつて世界で最も微粒子といわれたフィルムです。このPAN25とINFRAREDを使って、金春流の能楽師、金春穂高氏の翁(白式)を撮らせていただきました。

 金春穂高氏とのコラボレーション作品は、現在NYで開催中の個展『Men at Dance-from Noh to Butoh』で発表していますが、メインの機材はHasselblad H-1とPhase-ONE(中判デジタル)の組み合わせです(協力:イイノ・メディアプロ)。 このたび4年ぶりにフィルムでも撮影をしてみて、銀塩カメラを使うプロセスがいかに複雑な難行だったか、改めて気づいた次第です。

 撮影後、フィルムで撮ったものと世界最高級の中判デジタルで撮ったものを比較してみて、それらが同じ画像のようで、別物であることも改めて発見しました。
 デジタルでの作品はコンディションがよい状態で撮影すれば、色調といい、コントラスト、鮮鋭度から階調まで、すべてにおいて最高のバランスが再現され、あまりにも完璧です。一方、銀塩フィルムでの作品は「粒子」の存在が独特の効果になっています。

 この違いを「空」に喩えれば、デジタルでの完璧な作品は、雲も風もないどこまでも穏やかに澄み亘った空だとすれば、アナログは気流の動きに揺れ、変化を孕んだ空かもしれません。
 デジタルでは「静」を、アナログでは「動」を感じるのも、粒子の存在によるものなのです。
 そう思うと、粒子こそ、かつては写真のいのちだったのだと、改めて写真の過去を振り返りながら、どちらも写真の未来においては、存続してほしいと願う気持ちがますます強くなっていきます。

 私が今回、金春穂高氏の「翁」を撮った作品でも、空をバックに翁舞いを演じてもらいました。
 そこにフィルムならではの、粒子に秘められたいのちと「動」が感じていただけたらと願っています。(作品は『コマーシャルフォト』12月号にてぜひご覧ください。)

伊藤美露
2007/11/18

 ☆☆☆☆☆ NYにて伊藤美露 個展「能から舞踏へ」開催中 ☆☆☆☆☆
 "Men at Dance - from Noh to Butoh by Miro ITO:
 Japanese Performing Arts, Past and Present"
  開催場所: The NY Public Library for Performing Arts
  (Plaza Lobby-Steinberg Room), 40 Lincoln Center Plaza, NYC, NY 10023

 開催期間: 2007年10月15日から2008年1月5日まで
 開館時間: Tues, Wed & Fri: 11 to 6; Mon, Thurs: 12 to 8; Sat: 10 to 6
 http://www.nypl.org/research/lpa/

 ☆☆☆☆☆ 日本図書館協会選定図書 ☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN 978-4-8443-5921-0
 発行:株式会社エムディエヌコーポレーション

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『コマーシャル・フォト』 2007年12月号
 ■2007年11月15日発売
 ■B5 版 定価 1,650 円(税込み)
 ■発行:玄光社