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#2256 イマドキの婚活

2022年09月15日 | 社会・経済

 今朝(9月15日)の日経新聞を読んでいて目に留まったのは、7面の特集「Deep Insite」にあった「テック業界に多様性の警告」と題する、同紙コメンテーターの村上恵一氏による論考記事です。

 記事の内容は、企業がいくら優れた人材を集めても属性が偏れば大きな問題を見逃しかねないというもの。特に、アルゴリズムなどITを駆使するテック業界では、人種や性別、年齢ばかりでなく、様々な経歴、能力、感覚を持つ人材を集めることで、リスクを少しでも減らすことを心掛けるべきだというものです。

 その指摘はもっともなのですが、私が驚かされたのは記事の中に紹介されていた、恋愛・婚活アプリ「ペアーズ」を運営するエウレカ(東京都港区)についての記載です。

 「ペアーズ」は独自のアルゴリズムで交際を望む男女の相性を数値化し出会いを促す(いわゆる)「マッチングアプリ」とのこと。(私自身はそっち方面に疎くて全く知らなかったのですが)異性との交際を望む若い世代の間では、相当に知られた存在だということです。

 記事によれば、日本総研が行った調査では、国内で2020年7月から21年6月までの1年間に結婚した人のおよそ7%が、この「ぺアーズ」での出会いがきっかけだったとのこと。昭和の時代に(当たり前のように)職場結婚に踏み切った我が身としては、思わず「マジですか?」と聞き返したい思いに駆られました。

 改めて調べてみると、この調査は(株)エウレカの協力の下、日本総研が昨年6月に実施した「アフターコロナを見据えた少子化対策等のための未婚者の実態調査」の内容を追ったもの。調査自体は、全国の20~49歳の男女6074人の回答を整理したもので、今年の8月に公表されています。

 同調査では、直近1年以内に結婚した既婚者を対象に、「結婚のための活動をしていたか」を聞いています。結果、全体の7割程度が「何らかの活動をしていた」と答えているということです。(残りの3割は「特に何もしていなかった」とのこと)

 活動内容としては、「日常生活でアンテナをはっていた」が24.9%と全体の約4分の1。「マッチングアプリ/サイトの利用」が19.0%と約5分の1、「友人の紹介」が11.0%と約10分の1で、これらを足すと半数を超えていたとされています。

 そして、その際利用されていたマッチングアプリのうち、最も多く利用されていたのが(件の)「ペアーズ」です。「ペアーズ」は、職場などの身近な出会いが減少する中、毎月数千人の新規加入者を獲得している人気のアプリで、(結果として)同アプリをきっかけとした結婚が全体の7%に及んでいるということです。

 因みに、同調査では、「マッチングアプリの利用の有無」が結婚に及ぼしている影響を計算し、数値的に分析した結果も公表しています。これによると、マッチングアプリを利用すると(利用しなかった場合との比較で)結婚確立のオッズは3.87倍に伸び、アプリの活用により結婚機会は顕著に上昇することが示されたということです。

 まぁ、マッチングアプリの運営企業とコンサルタントとの共同調査ということなので、多少の「身贔屓」はあるのでしょうが、自ら働きかけることで出会いの機会が増えるのは間違いのないこと。結果として、結婚したい人の2割が、スマホで魅力的な異性を「検索」しているという現実があるのでしょう。

 とは言え、例えば自分の娘がマッチングアプリを利用していると聞いたら、きっと「やめておけ」と止めるでしょうし、マッチングアプリで知り合った男性を(「結婚したい」と)連れてきたらかなり胡散臭い目で見るかもしれません。

 その出会いがどこまで「安全」で「健全」なのかという部分についての信頼感は、おそらく世代によって大きく違いうのでしょう。「慎重」と言われるZ世代ですが、結局その辺はリスクとベネフィットとの見合いの話。最終的に彼らの行動も、「自己責任」で回っているということなのでしょうか。

 いずれにしても、実際に結婚した人の7%が使っていたというのであれば、若者の間では相当ポピュラーなアプリのはず。にもかかわらず、「ペアーズ」という名前だけでなくその存在自体を全く知らなかったということに、世代間の断絶を思い知らされます。

 「神は自ら助くるものを助すく」「求めよ、さらば救われん」とはよく言ったもの。男女のお付き合いに関しても、それなりのリスクを取らなければ結果は得られない。今や結婚もそんな厳しい時代を迎えているということなのかもしれません。

 



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