MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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♯17 金融のお勉強③そもそも「投資」とは何なのか?

2013年06月16日 | 社会・経済

 Wikipediaによれば、「投資」とは、主に経済において将来的に資本(生産能力)を増加させるために現在の資本を投じる活動を指す(現代において、生産能力の増加しない商業活動はこれに含まない)言葉だということです。

 一方で、金融の世界における「投資」という言葉はこれといささかニュアンスを異にするようで、「金融資本を経済、経済活動を通じてリスクのある投資対象に投下すること」を指すのだそうです。

 この2つの違いですが、よく読むと要は金融の世界においては、例え「将来的に資本(生産能力)を増加させるための資本の投下」でなくても、儲けるために資本を投下することを一律・単純に「投資」と呼ぶのだと、そのように理解することができます。

 例えば、「日経225先物」という金融派生商品があります。これは大阪証券取引所に上場されている日本を代表する株価指数を原資産とするデリバティブ取引商品で、簡単に言うと日経平均株価指数を売買する先物取引です。

 日経225(日経平均株価指数)とは、御存じのように日経新聞社が選定した日本を代表する225社の株価の平均的な価格を表す指数で、日本の市場が開いている間は15秒ごとに常に公表されている数値です。純粋に民間により運営管理されている価格ながら、日本の株価の動向を最も端的にリアルタイムに表す指標として政府の経済政策にも利用されています。

 テレビのニュースで「本日の日経平均株価は250円下落し終値で11000円」とかって言っている、アレですね。

 「平均株価指数を売買する?」と言ってもどうにもピンときませんが、つまり日経225先物取引では、将来のあらかじめ定められた期日(満期日)における原資産である日経平均株価を売買する契約を行うことができるというものです(分かりにくいですね)。

 満期日に売買(約定)価格よりも上がっていた場合、買った人は得をし売った人は損をする。原資産が日経平均株価(株価指数)という実体のないものであるため、もともと株券などの売買する実物が存在せず、決済もすべて差金決済(利益と損失のプラス・マイナスのやり取り)となります。(そもそも、実体のないものを「売る」というところに論理の飛躍が必要なのですが…それはこの際無視することにします。)

 取引は平均株価の1000倍を単位に行われ、しかも取引に当たっては25倍のレバレッジを利かすことができる。つまり、100万円の手持ち資金で2500万円まで投資できる仕組みということです。例えば、先日のように、1万円の平均株価が1日に1000円以上上がった場合を例にとると、単純に言ってしまえば100万円の手元資金で最大2500万円の「買い」を入れれば、1日に250万円の利益を出すことも可能という計算です。

 さて、金融の世界における「投資」とはそういうものだと言ってしまえばそれまでなのですが、実体のないものを、それも将来の価格で売り買いすること自体にどういった意味があるのかが、私にはどうにも理解できません。

 しかし、こうした「金融」が現在の世界経済の成長を引っ張っているのもまた事実です。利益を得る人もいれば損失を被る人もいる。破たんした金融機関には、「混乱を避ける」という名目のもと各国政府により公的資金が注入され支援される一方で、経営者の高額な報酬は補償されているなど、様々な問題も山積しています。

 金融は、実体経済に生きる一般の生活者の理解を超えたところでこの世界を動かしているということへの理解を、私達は十分に共有する必要があるのではないかと思います。

 Wikipediaは、「投資」の項目の中でさらにこう続けています。

 「一方で、売買主体のリターンの合計が必ず0かマイナスになる対象への行為は(投資ではなく)ギャンブルと呼ばれる。例としては、宝くじ、公営競技、パチンコなどが挙げられる。ただし投資のうち、株取引や先物取引などの投機的性格が強い投資はマネーゲームと呼ばれることがあり、広い意味でのギャンブルに含められる場合もある。」

 お金、富(とみ)、資本の実態とは何なのか。こうしたものの動きが「よくわからない」では済まされない、そういう所にまで私達は来てしまっているということなのかもしれません。



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