MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2200 モテる男になるために知っておかねばならない事

2022年07月06日 | 日記・エッセイ・コラム

 6月14日の閣議決定された政府の「男女共同参画白書(2022年版)」によれば、内閣府が調査対象とした20代男性の過半に当たる65・8%が「配偶者や恋人はいない」と回答しており、さらに20代の独身男性の約4割(39・8%)はこれまでにデートすら経験したことがないと答えているということです。

 一方、20代の女性で配偶者や恋人がいない(つまり20代女性で「フリー」にしている)のは51・4%と約半数で、独身者のうちデート経験がないのは全体の3/4に当たる25・1%だったとされています。

 さらにこの質問に対しては、男性の16・1%、女性の23%が「答えたくない・覚えていない」と回答しているということなので、実際に異性とお付き合いした経験のない20代男女の割合はもっと多い可能性も高そうです。

 結婚や恋愛ばかりでなく、二人きりで会ったり、ちょっとしたお付き合いをすることにすら慎重(そして臆病)な若者たち。若者の「草食化」が指摘されて久しいものがありますが、男女が個人的につながりを持つことがなぜこれほどまでに「リスキー」で「コスパが悪い」こととして捉えられるようになったのか。

 その答えに繋がるかどうかは分かりませんが、6月15日の総合情報サイトPRESIDENT Onlineに掲載されていた、米国の作家ジェフリー・ミラー氏と進化心理学者のタッカー・マックス氏の共著『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』(橘玲監訳:SBクリエイティブ)の一部を、ここで紹介しておきたいと思います。

 男性が女性に交際を申し込むとき、もっとも恐れるのは「拒絶されること」と「恥をかかされること」。男性は女性を魅了するための戦略と同じくらいの重きを置いて、拒絶への防衛的な戦略に時間とエネルギーを費やすと、著者らはこの著書に記しています。

 一方、女性は男性と交際する際、「拒絶されること」をそこまでは恐れない。では彼女たちが何を恐れるかと言えば、それは「物理的に危害を加えられること」と「性的な暴行を受けること」だと同書は書いています。 

 ここで読者の男性諸君は思うかもしれない。「これまでの人生で女性を痛い目にあわせたことなんてないし、これからもありえないよ」と。こうした男性の言い分は(おそらく)正しいが、でも、彼女はそのことを知らない。それではなぜこんな心配をするのかといえば、ほとんどの女性にとって最大の脅威は、「知り合いの男性」だというのが著者らの指摘するところです。

 どのような統計でも、物理的・性的な暴力を受けている女性の圧倒的多数は、親密な男性からの被害に苦しんでいると同書はしています。

 (男性諸君にはわからないかもしれないが)女性たちは、物理的・肉体的損害ばかりでなく社会的・感情的な損害にも脆弱な存在である。君は彼女についての嘘を広めてその評判を落とすことができるし、彼女を愛しているかのように装って妊娠させ、その後に捨てることだって十分に想定できるということです。

 したがって、女性が男性を評価する視点は、たいていの場合大変厳しいところから出発する。心理学の研究が明らかにしたところによると、女性の視点から見て、出会う男性の大半は好感がもてず、共感力が低く、誠実さに欠け、頼りにならず、清潔感にも乏しく、すべてが欠けているように映ると同書は綴っています。

 女性は、およそ2秒の間に、男性の外見だけでなく、人生がうまくいっているかどうかまで評価できる。君の顔と身体は、性経験や自信や性格について、あらゆる種類の手がかりを示している。そして初めて会った女性でも、(大抵は)それをひと目で見て取ることができるということです。

 彼女らが、このように「自衛」のための努力を惜しまないのにも理由がある。それは、女性は常にリスクに晒されているからだというのが著者らの認識です。

 女性は、精神疾患や人格障害は男性のほうが多い(危険なものも含めて)という事実に常に向き合わなければならない。男性のほうが多い精神疾患としては、アルコール依存症、ドラッグ依存症、自閉症、統合失調症、ナルシシズム、反社会性パーソナリティ障害、サイコパスといったものが挙げられる。こうしたものすべてが、男性との出会いを恋愛へと発展しづらくさせ、逃走反応を引き起こさせる原因になるということです。

 「自分は今までそんなひどいことはしていない。そんな奴らと一緒にしないでくれ」というあなたの主張には同意する。実際、彼女らは「目についた女性をみんな口説く」という一部の男性の行動に苦しめられているだけだとも言える。しかし、だからこそ、女性の視点から世界を理解することが大事なのだと同書は指摘しています。

 思えば、いわゆる痴漢や性的暴行などの犯罪行為、恋人や妻子へのDVなども、(おそらくは)そうした一部の男たちが引き起こしていることなのでしょう。もちろん、大抵の男性は、そうしたこととは一生関係なく生きていく。しかし、世の中にはこうした行為を簡単にやってのける男が(一定の割合で、しかも確実に)存在していて、女性たちは(男たちの知らないところで)自衛のために血のにじむような努力を重ねている。

 著者らによれば、女性が男性に関して経験することは、警官が市民に関して経験することに似ているということです。警官は、人類のなかでも5%しかいないようなクズへの対応に90%の時間を費やしている。この苦い経験から、治安を守る人々の間には、人類に対するシニカルでネガティブな共通認識が形成されると同書はしています。

 同様に、女性は恋人選びの市場での大半の時間と労力を、もっとも邪魔で気に障る、クレイジーな少数の男性を避けることに費やすことになる。サイコパスは肉食系で、他人の目を気にせず、自信に満ちあふれている。そのため、(米国の)全男性のうちの4%しかいないにもかかわらず、女性が口説かれた40%はこうした男性からなのだということです。

 そうした状況を考えてみると、女性があいまいな態度をとったり、ミステリアスだったり、とらえどころがなかったりする理由もよくわかる。それは、「ゲームをプレイしている」からでも「相手をもてあそんでいる」からでもなく、ハラスメントやストーカー、暴力的な報復のリスクを本能的に減らそうとしているだけだと著者らはしています。

 女性は君を理解するために精いっぱいの努力している。女友だちと、男性が何を考え何を感じているのか、ある特定のフレーズや行動が何を意味しているのかについて常に情報を交換している(いわゆる恋バナ)。しかし一方で、君ら男性諸君は彼女を(彼女の立場に立って)本当に理解しようと努力しているだろうか?と、著者らは改めて読者に問いかけています。

 20代の男性の7割近くに「妻」や「彼女」と言えるような存在がおらず、4割はデートすらしたことがないという現状を見る限り、若い男女がお互いに分かり合えるようになるためのハードルは、ますます高くなっているような気がします。

 現代日本の大きな社会問題となっている少子化を何とかするためには、まずは若い男女が接点を持ち、信頼関係を結んでもらわねばなりません。

 男性がモテるためにどうすればよいか、どのように振舞えばよいか。そのカギは、相手のことをよく知り、相手の立場に立てるかどうかが握っている。これを半分でも理解すれば、君がこれから学ぶ全てがもっと意味をもち、効果的なものになるはずだと結ばれた同書の指摘を、私も大変興味深く読んだところです。



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