犬の思い出。

僕が子供の時、そいつはタクシーに乗って家にやってきた。
そいつが 家に入って最初にやったのは床に、おしっこした事。
まだ生まれて何ヶ月しか経ってなかったのにタクシーの中で我慢してたんだね。
たいした奴さ。
その日からスピッツのコロは僕のペットになった。

その日ソファーに座らせると、すぐに眠ってしまった。
僕が嬉しくて背中を撫でてると突然『ワン』と機嫌悪そうに鳴いた。
初めて聞いたコロの声。

夜は段ボールの箱の中に入れて風呂場に置いた。
翌朝、コロはうんちまみれ。
急いで洗ってやり、最初の散歩。

まだ首輪も買ってなかった。
走っても、たいしたスピード出ないので別に問題なかった。
通りすがりの人が
「まーかわいい」って言ってくれたのが、やけに嬉しかった。
ホント、ぬいぐるみ、みたい。

はじめて、おしっこ片足あげてやるのを見て、オスとメスは違うんだって確認した。

最初は、お散歩連れて行ってたが、そのうち庭で放し飼いにしたので毎日行かなくなった。
でも、コロは、いつも金網から外を見ていた。

学校から帰ってくると足音で分かるみたいで結構遠くからワンワン吠えてた。
小学校の花火大会では怖がって、立てひざ立てて地べたに座ってる僕のひざの下にもぐり込んだ。
いつもワンワンうるさい癖にいくじない！。

だんだん向こうの方が大人になって僕を見下すようになってきた。
散歩に連れて行こうとリード（当時は、こんな言葉なんか無かったと思うけど）を手に持つと、さー大変！。
ニコニコ尻尾振り振り大騒ぎ。「早く行こうよ、お散歩お散歩」って催促する。
一旦外に出ると、リード権はやつが握って、こっちはひっぱられて行くしかなかった。

ある日、２階のベランダから庭を見てたら、いきなりコロが横にバタンとひっくり返った。
あわてて下に様子を見に行ったけど、本人（本犬）別に異常なしって顔してる。
おそらく立ちくらみ？。
うちの家系は、その気があるけど、まさか犬までそーなるか？。

１１才ぐらいから体調崩して食べてもすぐに吐いちゃうようになって、その内、何にも食べなくなった。
医者に連れてっても歩くの辛そうなので、車が無い時は抱いて連れてった。

医者が涼しい所がいいって言うので玄関で飼っていたけど、あんまり健康的じゃないと思って、天気の良い日に庭に出してみた。

別に嫌がってる様子もないので放っといて昼御飯を食べていると、庭でワンワンワンワン鳴く声が。
少し元気になったのかなって少し経って見に行ったら目を開けて死んでいた。
バイバイって僕に言ってたのかも知れない。

貴重な時期に一緒にいてくれたコロの思い出。
その後、犬は飼っていない。