タイ高架鉄道、本格試運転 日本受注のパープルライン
2016.5.10 18:06
タイの首都バンコクの高架鉄道「パープルライン」で10日、8月の開業を控え本格的な試運転が始まった。車両は日本企業が受注し製造した。タイの都市鉄道に日本製車両が導入されるのは初めて。
パープルラインは2009年に着工。バンコク北部のバンスー地区と郊外のバンヤイ地区の約23キロを結び、約790億円の円借款が活用された。
この日の試運転は、車両基地があるクロンバンパイ駅とタオプーン駅間を往復。試乗したタイ政府関係者や報道陣らは、日本製車両の滑らかな走行に感心していた。
6月から7月にかけて一般市民を乗せた試運転が行われ、開業は8月6日の予定。
車両は丸紅と東芝が共同受注し、JR東日本の子会社、総合車両製作
アップル・サムスンのスマホ2強、16年は初の出荷減
中国メーカーの台頭で
- 2016/5/10 2:00
- 日本経済新聞
世界のスマートフォン(スマホ)市場の2強、米アップルと韓国サムスン電子の年間出荷台数が2016年に初めて減少に転じる見通しだ。技術が成熟して機能面の違いが出しにくくなるなか、低価格を特徴とする中国のスマホメーカーがシェアを伸ばす。日本の部品メーカーも中国勢への売り込みを強めており、スマホ市場の競争環境が大きく変わろうとしている。
シェア2位のアップルは2億台超と約2億3千万台だった15年実績に届かない見通し。首位のサムスンも15年の3億2千万台を下回るもようだ。世界のスマホ市場に占める2社のシェアは12年には計47%と半分近かったが、16年は34%程度まで低下しそうだ。
アップルは昨秋発売の基幹モデル「iPhone6s」の販売が振るわず、1~6月の出荷台数は前年同期より十数%減少する。今秋に発売予定の次期基幹モデルも「大幅な機能拡充は期待しにくい」(証券アナリスト)との見方が多い。新機種の販売動向によっては、16年の出荷台数が前年を1割程度下回る可能性もある。
一方のサムスンは低価格から高価格まで幅広い製品をそろえており、中国勢台頭の影響を受けやすい。足元では収益性を重視して価格帯ごとの機種数を絞り込んでおり、販売減の要因にもなっている。2強以外でも、ソニーやLG電子といった米韓日のスマホメーカーは軒並み出荷台数が減少するとみられる。
2強に代表される大手スマホメーカーは、データ処理能力やディスプレーの解像度の向上など機能拡充を通じて世界のスマホ市場をけん引してきた。しかし、テレビやパソコンなどデジタル製品は技術が成熟して参入のハードルが下がると、後発メーカーが増えて価格競争に陥りやすくなる。スマホも同様だ。
これに対抗しようと、サムスンは新商品の投入サイクルを短くして、競争力を維持しようとしている。アップルは来年以降に発売する機種にデザインの自由度が高い有機ELパネルの採用を検討するなど新たな価値提案を目指す。
世界全体の16年のスマホ出荷台数は約15億台と前年比で7~8%程度伸びる見通しだが、2桁増が続いてきたこれまでに比べて成長力は弱まる。新興国市場が成長をけん引するなかで、低価格を武器とする中国メーカーの存在感は高まる。
華為技術(ファーウェイ)は16年に前年比2~3割増の1億3千万台以上の出荷が見込まれる。小米(シャオミ)、レノボ・グループ、中興通訊(ZTE)など中国の主要10社の出荷台数を合算すると、前年比約15%増の5億5千万台程度となり、2強の合計に匹敵する見通しだ。
中国勢は国内需要のほか東南アジアやインド、アフリカといった巨大な人口を抱える新興国市場への輸出拡大を進める。18年ごろには中国メーカーの出荷台数が世界全体の過半を占める可能性が高い。市場構造が変わるなか、アップルなど上位メーカーを顧客としてきた日本の部品メーカーも対応を急ぐ。
スマホ向け液晶パネル世界最大手のジャパンディスプレイは中国・深圳に設計開発拠点を開設。地場スマホメーカーとの共同開発に力を入れる。TDKも中国に電子部品の研究開発拠点を設ける計画。村田製作所、アルプス電気、京セラなども中国勢への営業活動を強化する。
ただ、中国のスマホメーカーへの部品供給では地場の部品メーカーも台頭する。スマホの頭脳となる半導体やディスプレーなどでは中国、台湾製を採用するメーカーも多い。日本勢は厳しい受注競争を強いられることになりそうだ。