海自潜水艦「せいりゅう」進水式 三菱重工神戸造船所
海上自衛隊の最新鋭潜水艦の進水式が12日、神戸市兵庫区の三菱重工業神戸造船所であり、艦名は「せいりゅう」と名付けられた。
せいりゅうは「そうりゅう型」潜水艦の9番艦で全長84メートル、幅9・1メートル、水中速度20ノット。建造費は約531億円。平成30(2018)年3月に防衛省に渡される予定。
進水式では、関係者ら約260人が出席。海自呉音楽隊の「軍艦マーチ」が響くなか、支綱が切断されると、大きな拍手と歓声で門出を祝った。
海上自衛隊の最新鋭潜水艦の進水式が12日、神戸市兵庫区の三菱重工業神戸造船所であり、艦名は「せいりゅう」と名付けられた。
せいりゅうは「そうりゅう型」潜水艦の9番艦で全長84メートル、幅9・1メートル、水中速度20ノット。建造費は約531億円。平成30(2018)年3月に防衛省に渡される予定。
進水式では、関係者ら約260人が出席。海自呉音楽隊の「軍艦マーチ」が響くなか、支綱が切断されると、大きな拍手と歓声で門出を祝った。
トヨタ対VW 意外な首位攻防戦 ファミリー対決豊田章男氏VSピエヒ氏
2016/8/5
トヨタ自動車対独フォルクスワーゲン(VW)の世界販売競争。VWは2015年に排ガス不正問題が発覚しながら、16年上半期(1~6月)の新車販売で首位に立ち、トヨタは2位にとどまった。創業家出身の豊田章男社長が率いるトヨタと、オーナー一族が圧倒的な支配力を持つVWは日独のファミリービジネスの代表銘柄。16年末に笑うのはどちらのファミリーか。
「確かに円高は厳しいが、世界販売1015万台の計画は変えない」。4日のトヨタの決算発表で大竹哲也常務役員はこう答えた。急速な円高の影響で17年3月期の連結業績予想では、営業利益を1000億円下方修正したが、世界販売計画は引き下げず、逆に主力の北米市場で3万台上方修正した。
■トヨタ、北米販売は鈍化
実はトヨタの北米販売は鈍化しており、7月は前年同期比でマイナスとなった。ガソリン安で、多目的スポーツ車(SUV)やピックアップトラックを含む「ライトトラック」が人気だが、旗艦車種「プリウス」などエコカーは苦戦している。報道各社の質問も米国戦略に集中したが、「米国はマイナスとなったといわれるが、実際はほぼ横ばい。新型プリウスの評価も高い」と大竹常務は強調。「豊田章男社長がいう『強い意志』を今年はしっかり実行していくときだ」と語って、決算記者会見を締めくくった。
VWが排ガス不正問題に揺れる中、今年もトヨタが世界一を死守するのは間違いないとみられていた。しかし、首位攻防戦は意外な結果になった。1~6月の世界新車販売でVWグループは前年同期比1.5%増の512万台。一方、ダイハツ工業と日野自動車を含むトヨタグループは0.6%減の499万台となった。熊本地震の影響もあったが、トヨタは500万台を割り、昨年上半期よりもVWに差を広げられた。このままでは通年でVWが初の世界一になるかもしれない。
■ピエヒ氏 劇的復活劇
「VWには危機バネが働いた。ピエヒ復活も関係あるのではないか」(自動車アナリスト)という指摘がある。
VWのフェルディナント・ピエヒ前監査役会長。79歳になるが、頭脳明晰(めいせき)で眼光が鋭く、「VWの家長」と呼ばれる。ドイツ企業の監査役会長は取締役を監督する最高実力者のポスト。VWはポルシェ、ピエヒ両家が出資するポルシェSEがVWの議決権の52.2%を握っている。ポルシェ創業者の孫にあたるピエヒ氏は四半世紀にわたってVWを率いた。
しかし、15年4月、当時社長だったマルティン・ヴィンターコーン氏を排除しようと内紛劇を繰り広げた結果、ピエヒ氏は敗北し、監査役会長を辞任した。だが、その後の排ガス不正問題発覚でヴィンターコーン氏が失脚。社長と監査役会長にはいずれもピエヒ氏の腹心のマティアス・ミュラー氏、ハンス・ディーター・ペッチュ氏が就任。ピエヒ氏は劇的な復活劇を遂げた。
VWは排ガス不正問題で巨額損失を計上した。しかし、米国発のディーゼルエンジンの排ガス不正問題の世界販売への影響は限定的だった。もともとVWは米国でのシェアが低く、主力の中国市場はガソリン車中心だったからだ。ピエヒ氏の目が光るなか、「VWの経営陣が徹底的に引き締めた。インセンティブ(販売奨励金)を積み増すなど必死で販売を支えた」(自動車アナリスト)からでもある。
対するトヨタ。円高、原油安が進行する中、豊田章男社長は5月の記者会見で「強い意志が試される年」と語った。それを反映するかのように、トヨタは4日の決算記者会見でも世界販売1000万台超の旗を降ろさなかったのかもしれない。
世界一を競うトヨタとVW。「ピエヒ氏の野望が自分の目が黒いうちに世界一になることは明らか。創業家出身の章男氏は絶対に譲れない」(同)。ファミリーの思いは強い。
(代慶達也
東大首席の「法曹女子」 山口さんのスランプ克服法元財務省で弁護士の山口真由さん
東京大学法学部を首席で卒業し、財務省を経て弁護士になった山口真由さん。2015年にハーバード大学のロースクールに留学、オールAで修了した。頭脳明晰(めいせき)でクールな女性と思いきや、本人は「挫折や失敗ばかり。コンプレックスの塊です」と笑いながら答える。山口さんはどのように学び、輝かしいキャリアを築いたのか。
■コンプレックスをバネに猛勉強
「私は別に天才じゃないので、試験前にはいつも必死で勉強します。司法試験を受ける直前も1日に19時間30分勉強しました」。山口さんは屈託のない表情でこう語り、自分が「ガリ勉」であることを隠そうとしない。
当時、睡眠はわずか3時間、3回の食事は20分ずつ、入浴に20分、唯一の楽しみは札幌市に暮らす母親との電話でのおしゃべりの10分間のみ。後はすべて法律の勉強に費やした。結果、東大3年生の時に司法試験に合格した。
なぜこれほどのエネルギーを勉強に費やせるのか。山口さんは「コンプレックスの裏返し」と語る。小学校6年生の時に顔にニキビが多く、男子生徒からよくからかわれた。運動も得意ではない。跳び箱は4段を跳ぼうとしたときに手を骨折。ただ、勉強はやるだけ成果が上がったという。「学問は裏切らない、努力した分は伸びる」と悟った。
北海道で医師の両親の元で育ったが、高校は東京都内の難関校、筑波大学付属高校に挑んだ。母親は東京への進学に反対したが、「反抗期の真っ最中だった。自分は東京でもやれる」と突っぱねたという。
無事入学を果たしたものの、高校時代はつらかった。風邪をひいても誰も気づいてもくれない。コンプレックスにもさいなまれた。中学まで常に学年トップだったが、毎年多くの東大合格者を輩出する筑波大付属高校は秀才ぞろい。時に白い目で見られ、忘れ物をしたときには、ある男子生徒から「田舎者だからね」という意味のことを言われた。
悔しくて夢中になって勉強した。東大に合格したが、母親から「私学でいいんじゃない」と諭された。「私はそんなモノじゃない」とまた反発、東大法学部の4年間はオール優。3年生で司法試験、4年で国家公務員1種試験を突破した。
山口さんは「コンプレックスを持つことも悪いことじゃない。ネガティブパワーが一番強いから」という。
コンプレックスをバネに勉強やスポーツにがんばる人は少なくない。しかし、山口さんの真骨頂は緩急のつけかたが巧みで、「勝利の方程式」を身につけていることだ。決して365日ガリ勉だったわけではない。暇なときには「1日中ボーッと過ごしたり、ゲームやファンタジー小説などに興じている」という。集中的に勉強するのはあくまでも一定の期間だ。
■独自の成長曲線 試験直前にスランプ
山口さんには独自の「成長曲線」があるという。「勉強をスタートすると、最初はやる分伸びるが、その後フラットになる。そこであきらめずにがんばるとまた伸びる。問題は試験直前に必ずスランプになること。例えば、東大受験の時も模試でA判定をとれていたのが、C判定に落ちた」という。当然落ち込んだり、焦ったりする。ここであきらめれば、失敗する。
しかし、山口さんは「スランプになるというのは、むしろ完成形に近づいている証拠」というプラス思考法を身につけたという。これで再びエンジンがかかる。集中力が高まり、スランプを克服。睡眠が3時間でも、勉強に没頭できるようになるという。
■睡眠3時間、幻聴も聞こえた
この思考法を最初に意識したのは筑波大付属に挑んだ高校受験の時。以来、東大受験も司法試験もこのスランプ克服法で乗り切った。「睡眠3時間なんて本当は合理的な勉強法ではない。司法試験直前も幻聴が聞こえたし、効果的じゃない。ただこれだけやったんだから、と自分で納得できるようになる」と山口さんは話す。
社会人になってもこの思考法は変わらない。昨年7月、ハーバード大ロースクールに入学。英語での読み書きに自信はあったが、話すのは苦手。「最初、まるで小学生のような扱いを受けた」とくじけそうになり、再びコンプレックスが襲った。そこで猛勉強が始まった。ハーバードの先生から「スピーキングはダメだが、あなたのリポートを読むとすごくロジカル」と評価され、プラス思考に転換した。1年のコースを修了して最優秀の成績を収めた。
明朗快活な山口さん。しかし、「今もコンプレックスが強い。例えば英語で自分の考えをそのまま言葉で表現したいが、うまくいかない。根っから話すのは下手。将来は政治家とか、ビジネスではなく、やはりアカデミック分野で頑張りたい」という。
コンプレックスを正のエネルギーに変換して集中的に学習、スランプ時にもプラス思考に転換するノウハウを身につけた山口さん。今後も数々の谷や山を越えて「成長曲線」を描いていきそうだ。
山口真由氏(やまぐち・まゆ)
1983年札幌市生まれ。2006年東京大学法学部を卒業、財務省に入省。08年退官、09年弁護士登録。2016年ハーバード大ロースクール修了。著書に『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』(扶桑社)など。
(代慶達也)
2016.10.9 21:05
フィギュアスケートの近畿選手権は9日、大阪府臨海SCでジュニア女子のフリーを行い、ショートプログラム(SP)3位の紀平梨花(関大KFSC)が大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を国内大会で初めて成功させてフリー1位の130.74点をマークし、合計195.18点で優勝した。
SP首位の世界ジュニア女王、本田真凛(大阪・関大中)はフリー2位の129.94点で、合計195.06点の2位だった。SP2位の坂本花織(神戸ク)は演技終盤にミスが出て、フリーが116.32点の3位で、合計でも181.19点で3位だった。
ミズーリ州で開かれた第2回の大統領候補テレビ討論会=AP
冒頭で共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)は、発覚したばかりの女性蔑視発言について「家族と米国民に謝罪する」とした。そのうえで「(発言は)内輪の私的な会話だ。私は女性に大きな敬意を持っている」と弁明した。
民主党候補のヒラリー・クリントン氏(68)は「発言はドナルド・トランプという人物を示すものだ」と非難した。トランプ氏は女性だけでなく中南米系やイスラム教徒、障害者らも標的にしてきたと指摘。「彼は大統領にも最高司令官にもふさわしくない」と強調した。
アマゾンジャパンが提供する電子書籍の読み放題サービス「キンドル アンリミテッド」から提供作品の配信を突然止められる出版社が相次ぎ、波紋を広げている。「読者の理解が得られない」として講談社が抗議声明を出す異例の事態となったが、利用者がサービスの一部を受けられなくなった背景には、日本ならではの出版事情を読み違えたアマゾンの甘さがあったとの声も上がっている。
「大変困惑し、憤っております」。講談社は10月3日、同社が提供した千を超える全作品が一方的に削除されたとして、抗議声明を発表した。
「キンドル アンリミテッド」は、月額980円で小説や漫画、雑誌など約12万冊が読み放題となるサービス。8月3日のスタートからまもなくランキング上位の作品が対象から外され、9月末までに講談社や小学館、光文社など20社近くの作品の一部もしくは全てが配信を止められた。
アマゾン側は多くの出版物を集めるため、年内に限っては閲覧数に応じた上乗せ料金を支払う契約を一部の社と交わしていた。しかし、漫画や女性タレントの写真集に想定以上の人気が集まり、予算が足りなくなったとみられる。アマゾンは契約の変更を各社に求めたが、関係者は「応じなかった社の配信が止められたのではないか」とみる。
講談社は「作品を提供するため、1年がかりで作家らを説得した。それを無断で止めた。どのような姿勢で日本でビジネスを行っていくつもりか問いたい」と訴える。一方、アマゾンは「音楽や動画に代表される定額利用型のサービスと同様に対象作品は随時変動している」と話し、契約違反ではないと主張する。
そもそも、上乗せ契約は、開始前から「支払いが増え過ぎるのでは」と危惧されていた。出版関係者からは「米国と違って、日本では短時間で読める漫画や雑誌、写真集に人気が集中する。アマゾンが日本の読者の傾向を読み違えたのでは」との見方も出ている。
著作権問題に詳しい福井健策弁護士は、配信停止が人気作品を中心に行われたことに注目。「人気作品を途中でなくすのは『おとり商品』のようにも見え、不正競争防止法や景品表示法など法的な課題を残す手法だ」と指摘する。
これまでも出版社とアマゾンの対立はたびたび表面化。2年前には、書籍の販売価格の10%をポイントとして還元する同社の学生向けサービスに反発した中小出版3社が同社への出荷を停止。また、ネット通販を巡っては今年8月、アマゾンが出品業者に不当な契約を求めた疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り検査を実施している。
電子書籍に限らず、圧倒的な市場シェアを背景にしたアマゾン流ビジネス。ITジャーナリストの宮脇睦さんは「利用者をないがしろにしているともいえる今回の事態は、消費者保護の観点から消費者庁がすぐにでも動くべき行為だ」と強く批判。福井弁護士も「アマゾンのような巨大な事業者には、公共性が求められることを意識してほしい」と話している。(石井健)
◇
「キンドル アンリミテッド」同様に、千円未満の月額料金を支払えば、提供されている全ての作品を自由に楽しめる”放題サービス”は、音楽の世界で先行して始まったコンテンツ配信の新しい潮流だ。
書籍、雑誌の分野でも事業者が続々参入。NTTドコモが平成26年にスタートした「dマガジン」の会員数は300万人超。ヤフーの「ヤフーブックストア読み放題」、ソフトバンクの「ブック放題」などがしのぎを削っている。
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東京モーターフェス2016 DATA
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イチローは2016年の「ミスター・マーリンズ」に輝いた(AP)
エースのフェルナンデス投手がボート事故で急死したマーリンズは、悲しみにくれて2016年シーズンを終えた。フェルナンデス投手を中心に来季こそ03年以来遠ざかっているポストシーズン進出を狙う構想は、白紙から練り直しになってしまった。その中で、今季史上30人目のメジャー通算3000安打の大記録を達成したイチロー外野手(42)の選手生活の1年延長が決まった。
球団の公式ホームページ(HP)が真っ先に明らかにした。「マーリンズはイチローに対して球団が持つ契約のオプション(選択権)を行使する方向になった。この42歳はMLB史上30人目の3000安打に到達し、今季3030安打まで伸ばした。契約は年俸200万ドル(約2億円)となる」
今季の成績は143試合に出場して327打数95安打で打率.291。年間打率が.290を超えたのは6年ぶり。10盗塁も決めて通算508盗塁まで伸ばした。第4の外野手という立場ながら、戦力場絶対に欠かせない存在になっていた。
イチローが早々に43歳のシーズンがマーリンズで決まったことには多くのチーム事情があった。
9月25日にフェルナンデス投手が事故死し、マーリンズのマイケル・ヒル編成本部長は「私がどんな思いでいるか、とても言葉にならない」と悲嘆の中にあった。だが、時は進み、来季の戦力を整えなくてはならない時期を迎えた。普段のオフと異なるエース不在の状況からスタートとなる。
テレビ局のFOXスポーツは「今季、マーリンズは79勝を挙げ、2009年以降では最高の成績だった。だが…」と、エースがいなくなった今後を不安視する。ネット上でもやかましくなっている。球界の噂話と一手に集めるサイトでは、「主に投手陣を補強するか、さらなる打撃陣のアップにするか、まだ判断がついていないようだが、マーリンズはエース級を加入させないとローテーションが回らない」(MLB Rumors)と指摘する。
マーリンズは大変革が求められているのだ。
すでに首脳陣の大幅てこ入れが行われた。さすがにマッティングリー監督は残留だが、イチローも敬意していた本塁打王のボンズ打撃コーチは1年でチームを去ることになった。地元紙マイアミ・ヘラルドは「わずか1シーズンとは…。同時にハリス三塁コーチ、ブルペン担当のコーネリウス投手コーチもスタッフから漏れた。この変革は今季79勝82敗に終わり、13年ぶりのポストシーズンに届かなかったことに起因する」と報じた。
イチローの早期契約延長は、チーム構成で固められる部分は早めに手をつけていこうという表れだった。
来季43歳を迎えるイチローの方も、チームの期待を感じてか、進化を止めていない。今季を振り返っての会見で、「相手が(自分を)嫌がっているのが見える瞬間が多かった、と言えるかも。相手の心の内というか、そういうのが見えた気になることが、たくさんあった。気持ちよかったですね。何でかよく分からないけど」と明かしている。
野手を中心に若い選手も多く、シーズン中イチローは自ら気づいたことをさりげなく耳打ちしているシーンはよく見かけられたという。イチローの挑戦は本当に50歳まで続くかもしれない。
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タタン、タタン…。寝台列車の個室内に響く、レールのつなぎ目を通る際に生じる規則的なリズムが眠気を誘う。消灯すると、星空のようにきらめく夜景が車窓に浮かび上がった。宮沢賢治の「銀河鉄道」に乗ったなら、こんな景色なのかもしれない、と夢想した。
JR東日本の寝台特急「カシオペア」は上野(東京)-札幌(北海道)間1214キロをつなぐ列車として平成11年、運行を開始した。高水準のサービスや客室が提供されたことから、豪華列車の代表格として名をはせたが今年3月、北海道新幹線の導入に伴い、定期運行を終了した。
6月以降、カシオペアの車両は団体専用臨時列車として“第二の人生”を走り始めている。先月、企画列車「カシオペア紀行」が上野-長野間を運行した。
午後4時18分、カシオペアは上野駅を出発し常磐線を北上、武蔵野線を経て中央線へ。乗客はダイニングカー(食堂車)でゆっくりと豪華な夕食を取った後、列車は塩尻で7時間ほど停車して一夜を明かす。
朝8時半過ぎに出発。篠ノ井線に入ると、黄金色に色づいた田んぼや、北アルプスの山々が車窓を彩る。沿線では、ふだん見かけることのない列車の通過とあって、鉄道ファンや子供たちが写真を撮ったり手を振ったりして“出迎え”てくれた。
車内で出会った東京都杉並区の三村武夫さん(74)は「食事や就寝の時間に停車したこともあり、ゆったり過ごせました。旅情があっていいですね」とにっこり。
日本三大車窓にも数えられる姨捨(おばすて)駅を通過し、2日目の午前11時43分、長野駅に到着。約19時間半ぶりにホームに降りて吸い込んだ信州の空気は、秋の香りがした。 (写真報道局 古厩正樹)
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