ことしは久しぶりに、読了冊数を意識せずに興の向く向かないに任せて本を読んだ年になりました。
読みやすく数をかせげる『鬼平』シリーズを再読したこともあり、結果的には70冊を達成しましたが、数を意識しなかったおかげで深い本をゆっくり読むこともできました。
『耳庵 松永安左ェ門』(上下) 白崎 秀雄
『茶を楽しむ男たち』 樫崎 櫻舟
『男たちの数寄の魂』 井尻 千男
『できることから』 小堀 貴美子
『耳庵 松永安左ェ門』(上下)。読破するのはけっこうタイヘンで、かなり時間をかけて読みましたが、なにかしみじみと、あぁ、こういう人がいた時代、こういう茶があった時代があったんだなぁ・・・ とゆっくりと噛みしめて、印象に残った本。
できれば続けて『鈍翁』か『三渓』を読みたいと思ったのですが、なかなか続かなかった★ 来年の課題。
『数寄の織部』 永岡 慶之助
『信長の茶会』 永田 ガラ
『利休伝説殺人事件』 柏木 圭一郎
いずれも、できればもっと「茶」に深くコロンでいて欲しかったけれども、とはいえけっこう面白かった本。深くコロンで欲しいのは当方がもうコロンでいるからで、入門者や初心者には十分。
『木葉天目の謎』 原田 隆峰
『死にとうない―仙がい和尚伝』 堀 和久
『木葉天目の謎』は一気に読ませる勢いのある小説でした。面白そうかと思って入院の友に持っていったのですが、気になるので読み始めてしまい、まだ体調が本調子でないのにどんどん読んでしまって、疲れてしまったのでした。
もう少し復調し体力がつくまで“おあずけ”にしておくべきでした。
『赤絵そうめん―とびきり屋見立て帖』 山本 兼一
『はだか嫁』 蜂谷 涼
『清談 佛々堂先生』『わらしべ長者、あるいは恋 清談 佛々堂先生』 服部 真澄
この連作は面白い。どんな作品を書いている作家かと思ったら、在勤時代に、最新の清明技術の理解の一環で読んだ『GMO』の著者。幅広~~~い★ あまりに幅広い分野にいずれも深く突っ込んだ勉強家ぶりに感嘆すると同時に、このシリーズもっと書いて欲しいんだけど・・・
『迷宮の美術―真贋のゆくえ』 瀬木 慎一
『深淵のガランス』『虚栄の肖像』 北森 鴻
『ほうらいの海翡翠 西原無量のレリック・ファイル』 桑原 水菜
『絵が殺した』 黒川 博行
『家元の女弟子』 戸板 康二
歌舞伎評論家 戸板康二氏、亡くなって何年くらい経ったことか。歌舞伎を熱心に見ていた頃はご存命だったか、その頃亡くなったのだったか。中村雅楽の推理シリーズを2~3冊楽しく読んだ記憶があり、実家の本棚にまだあったかも。久しぶりに中村雅楽モノを読んで、あらためて惜しい方だったと思い出しました。
そういえば今年は勘三郎さんが亡くなりました。
このところご病気が続いて休んでおられたのは知っていましたが、まさか、あのパワフルな人が舞台に戻ってこられないことになるとは、考えてもみませんでした。
毎月歌舞伎座に通っていたそのころ私も勘三郎(当時勘九郎)ファンでした。先代勘三郎が亡くなったのもその頃か、そのすぐ後か。勘三郎の舞台をほとんど観ることができなかったのを残念がったものでした。
当代勘三郎も、こんなに早く亡くなってしまうとは。仕事なんかしていないで観に行けばよかったかなぁ。「巨星落つ」「彼の果たしていた役割を替われる役者はいない」という新聞等の文字をみて、まさしくその通りと惜しんでいます。
藤沢 周平
『天保悪党伝』
『闇の歯車』
『春秋の檻』『風雪の檻』『愛憎の檻』『人間の檻』―獄医立花登手控え1~4
『たそがれ清兵衛』
『雪明かり』
『霜の朝』
『本所しぐれ町物語』
再読。
『鬼平犯科帳』(1~20) 池波 正太郎
ファン多く評価の高い藤沢周平。どんどん読めるものかと思って読み始めましたが、読んでみるとけっこう「重い」作品も多い。重いものが続いてしまうと他のものを読みたくなってしまい、思いのほか数が続かず。
一方、高校~大学時代からの愛読書、『鬼平犯科帳』を久しぶりに再・通読。これは相変わらず、引き込まれて次へ次へと。何回読み返してもハマって読んでしまう。
最初に読んでいた頃はまだ刊行中だったので、連載終盤のものは再読回数が少なく、けっこう新鮮に読んでしまいました。
『天地明察』(上下) 冲方 丁
『夏天の虹―みをつくし料理帖』 高田 郁
『神田堀八つ下がり―河岸の夕映え』 宇江佐 真理
『八つ花ごよみ』 山本 一力
『青雲はるかに』(上下) 宮城谷 昌光
『華栄の丘』 宮城谷 昌光
『萩を揺らす雨』『その日まで』―紅雲町珈琲屋こよみ 吉永 南央
『ツナグ』 辻村 深月
『先生の隠しごと―僕僕先生』 仁木 英之
『昔のきものに教えられたこと』 石川 あき
『きものが欲しい!』 群 ようこ
『きものとからだ』 三砂ちづる
『ベスト・エッセイ〈2012〉』 日本文藝家協会
『生存者 3.11 大槌町、津波てんでんこ』 根岸 康雄
東日本大震災1年を迎えて、あらためて記録の本もいろいろ出ました。
その中でぜひと思って買ったのがこの『生存者』。山下文男の本でも取り上げられていた、明治・昭和の津波以前からの三陸での口伝、津波のときはまず自分が逃げろという教訓「津波てんでんこ」。
今回の大槌町での聞き書きはリアルです。誰かを助けるのか、置いて逃げるか、それが現に背後に津波の壁が迫っているなら・・・。
人は、身近な人や困っている人を助けようとする本性がある、だからこそわざわざ、まず自分が逃げろという「津波てんでんこ」を教訓として言い継がなければいけなかったのではないか。
この考察は深いです。
また、「まず自分が絶対安全な高いところまで逃げて、そこから、みんな危ないからここまで逃げろ、と呼びかけろ。そうでなければ人は、あぁあのくらいで大丈夫なんだなーと油断して逃げないから」と教わったという教訓。
『「超」入門 失敗の法則』 鈴木 博毅
『凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩』 皆川 典久
TV「ぶらタモリ」に通じる、東京凸凹歩きの本。なるほど、いくつかの主要河川、そしてその支流が東京を縦横にというか複雑に、流れていたわけなんですね。
実に面白く、地図を見ながら歩いてみたりしてしまいました。読み終わってしまうのが惜しくて中断しながら、「読んだ」というより「楽しんだ」本。
上野、鶯谷、日暮里、王子、赤羽というのがあんな地形になっているのだったなんて。思ってもみなかった。
しかし一度知ってしまうと、京浜東北線や埼京線から見える景色はその地形の特徴以外の何ものでもなくなってしまった。
地と図の反転みたいなもの。
『100歳まで病気にならないスーパー免疫力』 ジョエル・ファーマン、 白澤 卓二
『医者の私ががんを消した食事法』 中野 重徳
2012は健康法面では、長生きする遺伝子-サーチュイン-があるという発表があって話題を席捲した年でした。
2011年の70冊はこちら
2010年の70冊はこちら
2009年の42冊はこちら
2008年の51冊はこちら
読みやすく数をかせげる『鬼平』シリーズを再読したこともあり、結果的には70冊を達成しましたが、数を意識しなかったおかげで深い本をゆっくり読むこともできました。
『耳庵 松永安左ェ門』(上下) 白崎 秀雄
『茶を楽しむ男たち』 樫崎 櫻舟
『男たちの数寄の魂』 井尻 千男
『できることから』 小堀 貴美子
『耳庵 松永安左ェ門』(上下)。読破するのはけっこうタイヘンで、かなり時間をかけて読みましたが、なにかしみじみと、あぁ、こういう人がいた時代、こういう茶があった時代があったんだなぁ・・・ とゆっくりと噛みしめて、印象に残った本。
できれば続けて『鈍翁』か『三渓』を読みたいと思ったのですが、なかなか続かなかった★ 来年の課題。
『数寄の織部』 永岡 慶之助
『信長の茶会』 永田 ガラ
『利休伝説殺人事件』 柏木 圭一郎
いずれも、できればもっと「茶」に深くコロンでいて欲しかったけれども、とはいえけっこう面白かった本。深くコロンで欲しいのは当方がもうコロンでいるからで、入門者や初心者には十分。
『木葉天目の謎』 原田 隆峰
『死にとうない―仙がい和尚伝』 堀 和久
『木葉天目の謎』は一気に読ませる勢いのある小説でした。面白そうかと思って入院の友に持っていったのですが、気になるので読み始めてしまい、まだ体調が本調子でないのにどんどん読んでしまって、疲れてしまったのでした。
もう少し復調し体力がつくまで“おあずけ”にしておくべきでした。
『赤絵そうめん―とびきり屋見立て帖』 山本 兼一
『はだか嫁』 蜂谷 涼
『清談 佛々堂先生』『わらしべ長者、あるいは恋 清談 佛々堂先生』 服部 真澄
この連作は面白い。どんな作品を書いている作家かと思ったら、在勤時代に、最新の清明技術の理解の一環で読んだ『GMO』の著者。幅広~~~い★ あまりに幅広い分野にいずれも深く突っ込んだ勉強家ぶりに感嘆すると同時に、このシリーズもっと書いて欲しいんだけど・・・
『迷宮の美術―真贋のゆくえ』 瀬木 慎一
『深淵のガランス』『虚栄の肖像』 北森 鴻
『ほうらいの海翡翠 西原無量のレリック・ファイル』 桑原 水菜
『絵が殺した』 黒川 博行
『家元の女弟子』 戸板 康二
歌舞伎評論家 戸板康二氏、亡くなって何年くらい経ったことか。歌舞伎を熱心に見ていた頃はご存命だったか、その頃亡くなったのだったか。中村雅楽の推理シリーズを2~3冊楽しく読んだ記憶があり、実家の本棚にまだあったかも。久しぶりに中村雅楽モノを読んで、あらためて惜しい方だったと思い出しました。
そういえば今年は勘三郎さんが亡くなりました。
このところご病気が続いて休んでおられたのは知っていましたが、まさか、あのパワフルな人が舞台に戻ってこられないことになるとは、考えてもみませんでした。
毎月歌舞伎座に通っていたそのころ私も勘三郎(当時勘九郎)ファンでした。先代勘三郎が亡くなったのもその頃か、そのすぐ後か。勘三郎の舞台をほとんど観ることができなかったのを残念がったものでした。
当代勘三郎も、こんなに早く亡くなってしまうとは。仕事なんかしていないで観に行けばよかったかなぁ。「巨星落つ」「彼の果たしていた役割を替われる役者はいない」という新聞等の文字をみて、まさしくその通りと惜しんでいます。
藤沢 周平
『天保悪党伝』
『闇の歯車』
『春秋の檻』『風雪の檻』『愛憎の檻』『人間の檻』―獄医立花登手控え1~4
『たそがれ清兵衛』
『雪明かり』
『霜の朝』
『本所しぐれ町物語』
再読。
『鬼平犯科帳』(1~20) 池波 正太郎
ファン多く評価の高い藤沢周平。どんどん読めるものかと思って読み始めましたが、読んでみるとけっこう「重い」作品も多い。重いものが続いてしまうと他のものを読みたくなってしまい、思いのほか数が続かず。
一方、高校~大学時代からの愛読書、『鬼平犯科帳』を久しぶりに再・通読。これは相変わらず、引き込まれて次へ次へと。何回読み返してもハマって読んでしまう。
最初に読んでいた頃はまだ刊行中だったので、連載終盤のものは再読回数が少なく、けっこう新鮮に読んでしまいました。
『天地明察』(上下) 冲方 丁
『夏天の虹―みをつくし料理帖』 高田 郁
『神田堀八つ下がり―河岸の夕映え』 宇江佐 真理
『八つ花ごよみ』 山本 一力
『青雲はるかに』(上下) 宮城谷 昌光
『華栄の丘』 宮城谷 昌光
『萩を揺らす雨』『その日まで』―紅雲町珈琲屋こよみ 吉永 南央
『ツナグ』 辻村 深月
『先生の隠しごと―僕僕先生』 仁木 英之
『昔のきものに教えられたこと』 石川 あき
『きものが欲しい!』 群 ようこ
『きものとからだ』 三砂ちづる
『ベスト・エッセイ〈2012〉』 日本文藝家協会
『生存者 3.11 大槌町、津波てんでんこ』 根岸 康雄
東日本大震災1年を迎えて、あらためて記録の本もいろいろ出ました。
その中でぜひと思って買ったのがこの『生存者』。山下文男の本でも取り上げられていた、明治・昭和の津波以前からの三陸での口伝、津波のときはまず自分が逃げろという教訓「津波てんでんこ」。
今回の大槌町での聞き書きはリアルです。誰かを助けるのか、置いて逃げるか、それが現に背後に津波の壁が迫っているなら・・・。
人は、身近な人や困っている人を助けようとする本性がある、だからこそわざわざ、まず自分が逃げろという「津波てんでんこ」を教訓として言い継がなければいけなかったのではないか。
この考察は深いです。
また、「まず自分が絶対安全な高いところまで逃げて、そこから、みんな危ないからここまで逃げろ、と呼びかけろ。そうでなければ人は、あぁあのくらいで大丈夫なんだなーと油断して逃げないから」と教わったという教訓。
『「超」入門 失敗の法則』 鈴木 博毅
『凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩』 皆川 典久
TV「ぶらタモリ」に通じる、東京凸凹歩きの本。なるほど、いくつかの主要河川、そしてその支流が東京を縦横にというか複雑に、流れていたわけなんですね。
実に面白く、地図を見ながら歩いてみたりしてしまいました。読み終わってしまうのが惜しくて中断しながら、「読んだ」というより「楽しんだ」本。
上野、鶯谷、日暮里、王子、赤羽というのがあんな地形になっているのだったなんて。思ってもみなかった。
しかし一度知ってしまうと、京浜東北線や埼京線から見える景色はその地形の特徴以外の何ものでもなくなってしまった。
地と図の反転みたいなもの。
『100歳まで病気にならないスーパー免疫力』 ジョエル・ファーマン、 白澤 卓二
『医者の私ががんを消した食事法』 中野 重徳
2012は健康法面では、長生きする遺伝子-サーチュイン-があるという発表があって話題を席捲した年でした。
2011年の70冊はこちら
2010年の70冊はこちら
2009年の42冊はこちら
2008年の51冊はこちら