Verdure 4F

茶道25年、ブログ19年! 家業を継いで13年。息子は10才。子育て、茶道、季節行事、料理、日記、読書の記録など。

美術商の100年

2006年02月22日 | art
東京美術倶楽部創立100周年記念「大いなる遺産 美の伝統展」に行って来ました。

平日の真昼間、きっとすいて・・・と思っていたらトンデモナイ! 会場内混雑のため入館制限で約10分待ち。
場所がわからなくて、かなり遠いところで道に迷ったりしていた私は、「早くくればよかった」と後悔。あんまり待つようならヤメちゃおっかと思いましたが、10分との表示なので、並ぶことに。

高名な画家の素晴らしい絵が多く、それも「あまり知られていない」「日本初公開」などらしきものもあって、とにかく来てよかった!! 短気起こしてヤメちゃわなくってよかった!!!

私が特に印象に残ったのは、
 橋本関雪「玄猿」
 川端龍子「四季好果之図」
 土田麦僊「甜瓜図」
 林 武「富士」(洋画)
 鈴木其一「四季草花図屏風」(屏風)
など。
鈴木其一は、琳派後期の人ですが、私は初期の宗達や光琳が好きで、其一はそれほどでもなかったのですが、今回観た「四季草花図屏風」はステキでした。宗達などと比べるとやはりダイナミックさは弱いですが、この屏風の草花は小さいけれども自由で伸びやかでした。

源氏物語絵巻など、国宝のものも展示されたりしていましたが、それはそれで、逆に観る機会があったり、実際、過去に観たことがあるものもいくつもあって、私的には、それよりも初めて観る「あまり知られていない」絵の方にもっぱらひかれました。
私は知識がなくて、これらの作品と「美術商」の関係がよく分からなかった(汗)のが少し残念。

絵そのもののほかにも素晴らしかったことは多くて、まず展示空間が広い。
これは施設の力かもしれませんが、大きい屏風を大空間に置いて、そうとうに距離をおいて全体を俯瞰できる、贅沢な展示でした。でも江戸時代のこういう屏風は、実際にそういう大広間に置いて使われたりもしたはずで、それが本当の展示。
他の絵も同じ。欲しい空間が充分確保されていました。

それから、絵に「解説」がない。解説板には、作者・タイトル・製作年・材料。
歴史の遺物などならともかく、絵画などは、観る人が観たいように観るものであって、どのへんが素晴らしいとかは、確かに余計なお世話といえば余計なお世話。あらためて解説のない展覧会で絵を観ると、左脳でなく右脳が活性化しているような気がしたりしました。
それでも高名な画家の作品が多いので、それなりに左脳も。少しは知識と、今までに観たことのある同じ画家の作品や、それを観に行ったときの思い出がちょっとよみがえったりしました。
先日のNHK「日曜美術館」で取り上げていた、バブル崩壊の倒産の危機を、その絵を売って免れた美人画などもありましたが、とにかくそんな説明は一切書いてない(笑)。
自分の知識と好みで最高級の絵を観る楽しみを、自分なりに満喫しました。

でも、観に来られている方は、すごい詳しい方が多かったようす。
だいたい客層が面白いし素晴らしい。
「有閑マダム」ふうのお仲間が一番多く、次が定年を迎えられた感じの男性、「有閑マダム」予備軍?、それからこれが不思議なんですが、現役であろう雰囲気の男性。これがそこそこ人数いらっしゃるんですが、それって、こういう筋の方なのかしら???
で、そういう方達なので、上品な毛皮のコートだったり、普段着に見えてもカメオのブローチをされていたり、髪がすごくきれいにされていたり、なかなかの感じ。

何より素晴らしかったのが観画態度でした。
お仲間同士のおしゃべりも非常に小声だし、絵を観るスピードや距離が人によって絵によって違うことが分かっていてムリに同じペースで観ることをしない、観ている人を追い越すときは後ろを回る、少し離れて観たい大きい油絵や屏風は、てきどに離れた場所に人の垣ができている・・・。

で、「土牛さんよ」「土牛さんね」とか「雅邦さんだわ」とか、「友達かいっ」とツッコミたくなるような(そんな年代のはずはないですが)囁き交わしが聞こえてくるのですが、「青邨さんの一番いいっておっしゃた絵ね」とか、とにかくお詳しい(笑)。

東京美術倶楽部なんて、私はそういう存在自体建物自体、初めて知ったようなレベルで、こういう展覧会は滅多にないのかもしれませんが、他の展覧会と変わらない入館料で、デパートの展覧会とかとまったく違う雰囲気で絵を堪能できて、とてもよかったです。

待つ間・帰る間にも、タクシーでおいでになるお客様もちらほら見受けられました。
出てきてコートを着たり荷物をまとめたりしていたら、すぐ脇で有閑マダム?のお3人連れが写真の撮りっこを始めようとされたので、「お撮りしましょうか?」 と、ココロ豊かに余裕ある真似事をしてみました。

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すごいのですねー (xiangrui)
2006-02-24 01:47:00
ぴんくこあらさん、こんにちは。

2月の始めにちゃんと書いて下さっていたのに、見逃していました。激混みだなんて、残り3日の開催では、行っても観れるのでしょうか。心配。しかも混みそうな時間帯にしか行けそうもありまません。

むかーーーし日本にモナリザがやって来て大騒ぎだった時、母が「諦めましょう」と言って帰ってしまった、上野での長い長い行列を思い出します。その頃私はまだわけもわからないチビでしたが、大人になって惜しいことをしたなどと思ったものでした。まっ見ていたとしても記憶ゼロだろうけど。そんな待つことのできない母を強引に誘ってみまーす。
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予備軍? (ぴんくこあら)
2006-02-24 15:44:08
xiangruiさん、ようこそ。



すてきなお母様ですね。見切りも大切。でも私が行った時は10分ていどでしたので、ぜひお出かけになってみてください。



有閑マダムとその予備軍という来場者が1組増えるのでしょうか☆

お楽しみになれますように。
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すてきでした (自由なランナー)
2006-02-28 21:46:57
はじめまして。

名品、傑作が揃っていて、ほんと見ごたえがありました。

伊東深水の「通り雨」にくらくらきてしまいました。

おっしゃると通り、メジャーな美術展でよく見かける美術ファンの方が多かったですね。

すてきな時間を過ごしました。
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貴重な展覧会でしたね (ぴんくこあら)
2006-03-01 12:46:51
自由なランナーさん、ようこそ。コメント&TB、ありがとうございます。

個々の美術館はその収蔵品がメイン、画家の企画展は目玉として傑作がいくつか、がふつうですけど、今回は、傑作ばかり、しかも個人蔵であまり美術館で拝見できない傑作が多くて、ほんとうに感動でした。

またこんな企画が待たれますね!
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見に行きたかったなぁ (tomomi-maru)
2006-03-03 10:21:01
日本ではこんな企画展もあるんですね。

今度日本に行く時は日本美術巡りしないと!

アートやってるくせにホント文化遺産級の芸術はおろか、岡本太郎ですらまともに作品見たのは最近。(それも写真で。)



見習わせていただきます。
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ぜひぜひ (ぴんくこあら)
2006-03-05 23:44:57
tomomi-maruさん、ようこそ。

コメントありがとうございます。

最近、いろいろな企画展が活発です。去年の秋なんか行きたい展覧会が目白押しで、とうとう全部は行かれませんでした。

でも、一般に日本より海外の方が、博物館の入館料が安いとか、いいものがたくさん公開されているとか、教育的配慮が深いとか、むかし聞いたような気がしますが、どうなんでしょうか。
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確かに・・・ (tomomi-maru)
2006-03-20 07:00:31
確かにただで見られる美術館は多いです。

国営はほとんどが無料です。一部有料でも学生だと無料になったり。



日本のをあまり見に行かなかったので規模的に比較がしにくいのですが、こっちのは大人で6~8ポンド(1500円前後)が主流ですね。



多分他人の土地の方が見えない分「優れているんでは?」て言う噂じゃないかな?



確かにイギリスの方がアートに対して受容的だとは思います。

アラーキーの写真展の規模は過去最大かもしれないですね。初めてただのエロオヤジじゃないんだ・・・って本気で感じました。



展示している国それぞれで同じ作家の物でも展示の仕方、傾向が違うのでそれを見て回るのも楽しいかもしれませんね。
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