この国の人はあまり勉強などしないかに見える。学校の休みは2月に9日間、5月に11日間、9月に9日間、11月に58日間、合計で87日間あり、これに普段の土日祝日が加わるのだから、日本に比べるとどれほど授業日数が少ないかが分かる。学習塾はほとんどなきに等しく、日本のように夜の10時まで子供が塾通いをしているなんて姿は想像もつかないことだ。放課後はみな遊び呆けてい、子供だけでなく大人も遊ぶこと食べること眠ることだけを考えて生きているといった風情である。働いている姿を見ても、日本の常識で考えれば遊んでいるとしか思えないほどのんびりとしている。スーパーのレジに並んでいても、いつ自分の番が回ってくるか確信がもてないのである。永遠に回ってこないこともあるのだ。どうした理由でか突然レジを閉めてしまうので、また別のラインへ並びなおさなければならないというわけである。その上レジのうち間違いを発見しても、たった一つの商品の差額50セントを返金してくれればよいところ、その訂正に30分もかかるという始末である。暗算が皆目できないので、個人商店などでは時につり銭を多くくれたりする。
日本人の目から見れば、こんなに怠惰な国民性は考えられない。ほとんど家で料理を作ることはなく、独身妻帯の区別なく大方が毎食を外で済ます。それもアパートからわずかに2百メートルほどのところへ食べに行くにも車を使用し、決して歩かない。車とリモコンと携帯電話で彼らはものの見事に運動をしない。若者を除けばほとんどが肥り気味で、ついに政府がマレーシア国民は食べすぎだという警告を発したほどである。近い将来にはアメリカ並みに風船玉のような肥満体が街にあふれるに違いない。すでにその兆候が現れてい、TVのコマーシャルでは盛んに減肥薬の宣伝をしている。
彼らの生活は100%車と携帯電話に依存している。以前は若者が高級車を乗り回している国は日本だけと思っていたが、認識を改めた。ここでは若者も所帯持ちも贅沢な車に乗ってい、ドイツの名車ベンツも大衆車かと見まがうほどに多い。何しろタクシーまでがベンツなのだから驚いてしまう。しかし、その運転マナーの悪いことは日本の比ではなく、ことに歩行者(きわめて少ない)には少しも敬意を表さない。どんな交差点も歩行者用信号がないくらいだから歩行者蔑視はこの国の政策に違いないと思われるほどだ。仮に信号機が合ったとしても横断歩道の上を歩いていても、道路の横断には決死の覚悟が必要である。
運転マナーだけでなく、ごみ処理についてもそのマナーは最低で、街はごみであふれかえっており、人々は平気で路上にごみを捨てる。近代的な病院のロビーに一組の家族がい、子供が平気でごみをフロアに捨てるので掃除婦が文句を言うと、その子供はごみを拾って勢いよく玄関を飛び出すと、玄関前に捨ててまた戻ってくるという始末だ。そばに両親がいてこの有様なのだ。
多くの人に公徳心がまったくなく、したがって清掃などのボランティア活動も皆無である。みな自分の家族だけを大切にしている。他民族に対しては一様に心の底では軽蔑感を抱いているのが話の端々に登場する。中国人はマレー人を怠惰と陰でののしり、マレー人は中国人を金の亡者、守銭奴と笑っているのである。これにインド人が加わるのでなかなか複雑である。
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