眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『ブランカとギター弾き』

2018-04-04 12:13:37 | 映画・本

書きにくくてモタモタになった「ひとこと感想」その8。(結末に触れます。ゴメンナサイ)

昨年秋に高知の自主上映関係イベント「シネマの食堂」が10周年を迎え、そのオープニングに上映された作品。

オトナは金で女が買える?ということをTVで知った少女は、孤児(多分)の自分もお金を貯めれば「おかあさんが買える!」と思い込む。そのためにまとまったお金を作ろうとする一方で、「おかあさん買います」というチラシを街中に貼って回ると、それを見た女が声をかけてきて・・・

監督は日本人、製作国はイタリア、マニラのスラムを舞台に、人々はタガログ語で話し、路上で歌い踊っている・・・この映画の不思議な雰囲気(ファンタジーのようなドキュメンタリーのような、フィクションなのになぜかリアルに見えてしまう、でも「問題」を「抉り出す」ようなことは決してしない)が、観ている間ずっと気になった。イヤだったという意味ではなくて、むしろ「とても優しくて温かい」眼差しで撮られていることに、自分がついていけてない気がした・・・というか。

これが長編デビュー作という監督は、さまざまな土地を旅してきたという人で、マニラのスラムにも馴染んでいるのが画面から伝わってくる。(何も知らずに観たら、監督・脚本が日本人とは気づかなかったと思う)

キャストも現地でオーディション(というか「発見!」)して選んだとのこと。盲目のギター弾きのおじさん(おじいさん?)は実際に路上でギターを弾いていた人。少女ブランカはYouTubeの投稿から見出され、他の少年たちも現実のスラムの住人だという。彼らが生き生きとして、しかもごく自然に見えることも、この映画の魅力になっている。

こういう「旅人」?の視線と、人間としての本質的な優しさ(だと思う)を兼ね備えた作り手は、この先どんな映画を作るのだろう。相性がいいかどうかは正直判らないけれど、それでも新作が来たら観にいくと思う。この先どうなるのか見届けたくなるモノを、この人は感じさせる。ソコハカトナイ「不安」も伴ってはいるけれど。

少女は最後、お母さんを買わなくてもいいことに気づく。この人の傍に居たい・・・と思える人に出会えたら、子どもはそれだけでも生きていけるのかもしれない。そんなささやかな幸せに、みんな出会ってもらいたいと、今の私は本気で願っている。



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2 コメント

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お久しぶりです (更年期)
2018-04-04 13:31:24
なにやら、周りがとっても忙しく
ムーマさんの映画感想に伺う事も出来ず
失礼をしております。
早速、予告編を見させて頂きました。
これは観てみたいです。
いつも素敵な映画をご紹介頂きありがとうございますm(_ _)m
今日は少し時間があるので
過去ブログもチェックさせて頂きますね〜〜( ´ ▽ ` )
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なんとも不思議な映画でした~(^^) (ムーマ)
2018-04-04 14:49:35
こちらこそご無沙汰してしまって、すみません。
忙しい時期に、こんな拙いブログを見にきて下さって
本当にありがとうございます。嬉しいデス。

フィリピンのスラムでたくましく生きている人たちへの
賛歌のような映画でした。
現実がどれほど大変でも、そこで人は日々生きてるし
笑ったり泣いたり怒ったりしてる・・・という風な。

更年期さんもオモシロイ映画があったら
どうぞおヒマなときにでも教えて下さい。
(私もこの頃は、映画はほとんど家で観てます)

来て下さって、書き込んで下さって
本当にありがとうございました(^^)。

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