むかし、むかし、インドのある村へお釈迦さまがお説法に出かけた時のお話です。
ありがたいお釈迦さまが村へこられるということで、朝から村中が大騒ぎでした。
そこで一人の村人が少しでも他の家よりも目立つように、油を買い求め、家の玄関に火をともしました。
それを見ていた村人たちは、負けてはいられないと少しでも大きな火をともそうと競いあいました。
ところが、一人のおばあさんは、お金が無く、油を買うことが出来ません。
それでもおばあさんは、お釈迦さまと会いたい一心で 大切な自分の髪を切り、油屋さんへ持って行きました。
白髪交じりの髪の毛では、とてもお金になりませんが、心をうたれた油屋さんは、おばあさんに、少しの油をわけてくれました。
おばあさんは、喜んで村へ帰り、油に火をともしました。
しかし、あたりを見渡すと 大きな大きな灯(ともしび)が光り輝き、おばあさんの小さな灯はまったく目立ちませんでした。
それでもおばあさんは、小さな灯の前で、お釈迦さまが来られるのを楽しみに 一生懸命、手を合わせて祈っていました。
その時突然、激しい風が吹きました。
びっくりしてあたりを見ると 村人たちの大きな灯は消え、村は、真っ暗になってしまいました。
ところが、不思議な事におばあさんの小さな火の灯だけは、激しい風にも消る事はありませんでした。
お釈迦さまは おばあさんの小さな灯を目印に 村にたどり着くことができました。
村人たちに お釈迦様は 教えてくれました。
見栄や見せかけは、長くは続かないもの、一方、真から願う素直な心は、永遠に光り輝き、正しい道を照らし続けるものだと・・・
私達の人生も同じ事ですよね。
見栄や執着に惑わされることなく、素直な心で一生懸命、しっかりと人生を歩まなければいけません。
おばあさんの心のこもった小さな強い灯のように・・・・
合掌 栄久山 妙善寺