第5回世界大学野球選手権の予選ラウンド第3戦が1日、神宮球場で行われ日本はキューバに7対12で敗れた。先発の藤岡貴裕(東洋大3年)が2被弾で3点を先制されると、その後も菅野智之(東海大3年)ら4投手をつぎ込んだものの、キューバ打線を止められず。16安打4本塁打を浴び12失点と打ち込まれた。
打線は2回、鈴木大地(東洋大3年)の3ランなどで4点を奪い一時は勝ち越し。9回にも相手エラーと4本のヒットで3点を返す粘りを見せたが、反撃も及ばなかった。
日本は予選ラウンドを2勝1敗で終え、B組2位が確定。準々決勝の相手と日程は、2日に決定する。
*********
悪い流れを止められなかった。7回、5番手でマウンドに上がった菅野だったが、先頭のディアスにいきなりバックスクリーン左に放り込まれた。続く8回にも、アブレウに2ランを浴びた。完全に詰まらせた当たり、しかも逆方向の打球だったにもかかわらず、打球はスタンドに飛び込んだ。
「キューバは球の勢いだけじゃ抑えられないと分かった」
3イニングを投げ被安打3・被本塁打2・失点3。全日本選手権以降、飛ぶ鳥を落とす勢いだった右腕に、世界の壁が立ちはだかった。
しかし、能力のいったんは垣間見せた。8回、相手4番のA・デスパイネの5球目だった。思い切りリリースされたボールが捕手のミットに収まると、電光掲示板には「157」の文字が浮かび上がった。今春、澤村拓一(中央大4年)が計測した神宮大学生最速に並ぶスピードボールに、スタンドからはどよめきが上がる。そして、衝撃を受けたのはキューバチームも同じだった。
「スガノ? スガノに関する質問か?」(と言っていたんだと思う)
そう言って興奮気味に話しだしたのは、サウラ監督だ。記者会見で菅野の印象を聞かれたのは、同席した選手たちだったが、通訳が「スガノ」と口にするや、勝手にマイクを持ってしゃべりだした。
「彼はものすごい才能を持っている。ただ、才能には人それぞれ熟するタイミングというのがある。彼はまだその時期ではなく、時間がかかるだろうが、将来はものすごい大物になると思う」
通訳の話をさえぎってまでそう語っただけに、その衝撃の大きさがうかがえる。
選手たちも指揮官の見立てに同調した。この日本塁打を含む3安打のセスペデスは、「彼はまだ大学生で若いし(セスペデスは1985年10月生まれの24歳)、経験をつめばすごい選手になると思う」。先制アーチのオリベラも「菅野の才能は感じた。監督やセスペデスが言うように、経験はもっと必要だけど、投手として大切なものはすでに持っていると思う」。WBCにも出場した両選手が、その潜在能力を認めたのである。
「最後の回にフォークを試したら、『見えてないな』と感じた。次に生かせると思う」
菅野は3者凡退に抑えた9回に手応えを感じた様子。“次”というのは、もちろん決勝トーナメントでの再戦だ。予選ラウンドの結果、再びキューバと当たるのは決勝となる。果たして世界一を懸けた大舞台で、その才能が輝かすことができるか。
打線は2回、鈴木大地(東洋大3年)の3ランなどで4点を奪い一時は勝ち越し。9回にも相手エラーと4本のヒットで3点を返す粘りを見せたが、反撃も及ばなかった。
日本は予選ラウンドを2勝1敗で終え、B組2位が確定。準々決勝の相手と日程は、2日に決定する。
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悪い流れを止められなかった。7回、5番手でマウンドに上がった菅野だったが、先頭のディアスにいきなりバックスクリーン左に放り込まれた。続く8回にも、アブレウに2ランを浴びた。完全に詰まらせた当たり、しかも逆方向の打球だったにもかかわらず、打球はスタンドに飛び込んだ。
「キューバは球の勢いだけじゃ抑えられないと分かった」
3イニングを投げ被安打3・被本塁打2・失点3。全日本選手権以降、飛ぶ鳥を落とす勢いだった右腕に、世界の壁が立ちはだかった。
しかし、能力のいったんは垣間見せた。8回、相手4番のA・デスパイネの5球目だった。思い切りリリースされたボールが捕手のミットに収まると、電光掲示板には「157」の文字が浮かび上がった。今春、澤村拓一(中央大4年)が計測した神宮大学生最速に並ぶスピードボールに、スタンドからはどよめきが上がる。そして、衝撃を受けたのはキューバチームも同じだった。
「スガノ? スガノに関する質問か?」(と言っていたんだと思う)
そう言って興奮気味に話しだしたのは、サウラ監督だ。記者会見で菅野の印象を聞かれたのは、同席した選手たちだったが、通訳が「スガノ」と口にするや、勝手にマイクを持ってしゃべりだした。
「彼はものすごい才能を持っている。ただ、才能には人それぞれ熟するタイミングというのがある。彼はまだその時期ではなく、時間がかかるだろうが、将来はものすごい大物になると思う」
通訳の話をさえぎってまでそう語っただけに、その衝撃の大きさがうかがえる。
選手たちも指揮官の見立てに同調した。この日本塁打を含む3安打のセスペデスは、「彼はまだ大学生で若いし(セスペデスは1985年10月生まれの24歳)、経験をつめばすごい選手になると思う」。先制アーチのオリベラも「菅野の才能は感じた。監督やセスペデスが言うように、経験はもっと必要だけど、投手として大切なものはすでに持っていると思う」。WBCにも出場した両選手が、その潜在能力を認めたのである。
「最後の回にフォークを試したら、『見えてないな』と感じた。次に生かせると思う」
菅野は3者凡退に抑えた9回に手応えを感じた様子。“次”というのは、もちろん決勝トーナメントでの再戦だ。予選ラウンドの結果、再びキューバと当たるのは決勝となる。果たして世界一を懸けた大舞台で、その才能が輝かすことができるか。