2018年8月11日(土)~8月13日(月) 剱岳 2泊3日テン泊
2日目バリルート8月12日(日)☁/☂小 剱岳別山尾根下り
夢の剱岳 バリルートの登竜門へ3 剱岳山頂からの続きです
漸く 一般道から帰れる
カニの横ばいを通り越せば
後はテント場まで下ればいい…
今日はご褒美に チチとビールで乾杯でもしましょうか…?
そんなことを考えて 剱岳に別れを告げました
剱岳山頂から別山尾根へ
別山尾根を下ります
本来ならば…
左側の眼下に 平蔵の頭や前劔を見て
向こうの遠景に 奥大日岳・中大日岳・大日岳と連なる
大日三山と称され 立山の前衛とも言われるお山の稜線が望めたはず…
しかし 灰白色のガスに包まれた尾根は
その壮大な景色を消し その代わり
切れた稜線の高度感も隠して
ただ只管歩く事に集中させてくれます
源次郎尾根に比べるとまだ歩き易い
そんな感触を得て 体力消耗した体ですが
まだ余裕を見せていました
ん… 十字架?
早月尾根の分岐を示す指導標
ガスった向こうに立つ標識が十字架に見え
ちょっと不思議な感じがした私ですが
そこは早月尾根の分岐でした
源次郎尾根が難しければ
早月尾根を歩こうかと考えていただけに
分岐に立つと不思議な気持ちになります
しかし…残念ながら 先の早月尾根はガスの中…
やはり自分の足で見においでと言う事なのでしょうか…
早月尾根に向かう人 登る人…
分岐の標識
人生の分かれ目の様に その道標は立てられています
早月尾根…ここもまたロングコース
馬場島の登山口から劔山頂まで 約9時間ほどかかると聞きます
いつかは歩いてみたいと思うものの
今の自分を見ると 難しいと感じるものもあります
源次郎尾根すら これが最後であろうと思えるほど
体力気力…使い果たした気持ちですから…
せめて下ってしまうまで…と
自分を奮い立たせている状態でしたから…
早月尾根を見送り下る
戯れた稜線ですが 人も少なくガスッている事もあり
何も考えずに歩けます
足は棒のようになっており 力が入りにくくなっているだけに
これ以上険しい岩場を歩く事に 自信を失いかけていました
しかし ここから別山尾根の核心部に向かうところ…
弱音を吐いてはいられません…
10番目の鎖場
カニの横ばいの取付き
取付きから少し下った所から右側にトラバースします
カニの様に横にゆっくりと進む形になりますが
さすがに写真を撮る余裕は この時の私にはありません
手の力も普段ほどありません…
普段は取り付きの鎖は余り頼らない方ですが
ここは思いっきり掴んでしまいました…
緊張すると不安も忘れます ただ必死!
下りに事故が多いのは
こうした疲れが 自分が感じる以上に力を奪っており
普段なら起こりえない事故を引き起こしてしまう
そんな戒めるような考えが常に沸き起こっています
一つ一つの行動が慎重になります
カニのヨコバイのトラバースへ入る1歩目は
そのスタンスがわかりにくく 迷いそうになります
しかし、赤のペンキで丁寧に 足の置き場や順路を印しており
鎖をしっかりと持って ペンキに沿って足を置けば大丈夫です
約5mほどのトラバースを越えれば
カニのヨコバイは終了です
ガスのおかげで 高度感は無く 恐怖は感じませんでした
カニのヨコバイから 更に約20mほどの鎖場があります
その鎖場を慎重に下っていくと その先に梯子が見えます
4mのステンレス制の梯子
チチが降り立ったのを見てから続きます
ほぼ垂直に掛けられているステンレス製の梯子は
しっかり取付けられており 安心して下っていけますが
腕の力がなくなってきている私には 緊張する所でもあります
ゆっくりゆっくり 確認しながら降りていきます
梯子を終えると またまた鎖があります
狭い岩の間に付けられた鎖が下に伸びていますが
高度感は然程無く 無理に鎖に頼る必要もなく
慎重に下れば フリーで下る事は出来ます
鎖場を振り返って
所々 濡れたところが滑りやすくなっており
ホールドはしっかりと確認する必要はあります
下っていく目の前に 小屋らしきものが…
近づくと 独特な臭いが…
小さな…老朽化したトイレ
平蔵避難小屋の遺址
鎖場から 平蔵のコルに降り立ちますと
田舎のおトイレの臭いがしてきます
下る時に見えていたのは 老朽化したおトイレでした
そしてそれを巻き込むように下ると
平蔵避難小屋があったと思われる遺址がありました
ここから平蔵の頭の基部までは
登りルートと下りルートが一緒になります
平蔵谷側のテラス状の道
平蔵谷側のテラス状になった道を進みます
前方は相変わらず灰色のガスで近くの岩稜しか見て取れません
とんがり帽子のような岩峰に近づくと
鎖場が見えてきます
11番目の鎖下り
平蔵のコルから平蔵の頭間のトラバース区間にある11番目鎖場
3メートルほどの鎖場を下る事になります
足元もガスに埋め尽くされ 本当に何も見えず
その先がどうなっているのかさえ 分からない状態です
コルらしき所に着いてから 少しの間
トラバース気味に歩く区間があります
平蔵の頭 12番目の鎖上り
平蔵の頭12番目鎖場の取り付き
下ったのに また上り返しです
登り返しというより 岩を登るといった感じ…
これが最後か…
まだまだアップダウンが続くのか…
取り付きから真直ぐ上に登り、
斜面の途中で岩棚を左側にトラバースします
それから再び 上に登って行きます
そのまま平蔵の頭のピークに登り、反対側に降ります
平蔵の頭 反対側の下り口
平蔵の頭から右巻きにトラバースしますが
ここも12番目鎖場の続きです
スタンスは豊富で、岩の間を降りる感じです
ガスも相まって高度感は感じません
次第に平坦な道となり 主稜線の上に出ます
本来ならば 前方に前剱が見え 後方には剱岳が見えるはずですが
今日のお山では 望むことはできません
ガスは濃くなっても薄くはならない感じですから…
ともすれば どの辺りを歩いてるのかすら
分からないほど 閉ざされた世界です…
平蔵谷側に寄りながら下ると、また、鎖場に出たもよう
前剱の門 13番目の鎖上り
鞍部の前剱の門まで やってきました
だけど…また の・ぼ・り…
鎖場を登り返さなければなりません…
大丈夫か?
チチが心配そうに声をかけてくれます…が
小さく頷くだけ…でした
チチは 普段以上に気にかけて
休めそうな所では細目に休憩と水分補給を促してくれます
しかし その水も残り少なくなってきています
約5リットルの水が足りない…?
これが炎天下だったらどうなるのでしょう
どれほどの水が必要となったことでしょう…
ある意味 このガスった天気が
幸運だったのかもしれません
13番目鎖場を登っていきます
ここを登り切ると稜線の右手側に出ます
前劔を巻く
稜線の右をトラバース
前剱への登り返しますが
途中で前剱を右に巻くように道が変わります
その道をトラバース気味に進みますが
谷側の傾斜は緩いものの 道幅は狭くなり
稜線からの落石にも 自身の落石にも注意が必要です
本来ならば 右手奥には大日岳から連なる稜線が見えるはず…
今見えるのは灰色の景色だけ…
もう これ以上登りがあると ギブアップかも…
自身でも怖いほど弱気な考えが生まれてきていることに驚きます
前劔を少し超えたところで
登り用ルートと下り用ルートの分岐に出ます
下りでは この辺りから武蔵のコルまでが
最も滑落事故が多い場所とされているようです
落石や浮き石の多いところでもあり
危険な所を過ぎて緊張がゆるみ 疲れも増して
足場の悪ここで足を取られるといったところでしょうか
まさに 私ではありませんか…
最期まで気を抜かずに歩くほかありません
前劔からの下り
3番目鎖場の長い岩場
左手に峻立する岩壁が前劔大岩
その前劔大岩脇のルンゼ状の岩溝を降りますが
濡れているところの岩場は
滑りやすい感じで注意が必要です
ですが…ホールドはしっかりしており
傾斜もさほどきつくないため 慎重に下れば
鎖に頼らなくても大丈夫の様な気はします
正直 鎖をつかむ力が すでに無くなってきています…
足で踏ん張って下るほかありません
その足も 踏ん張る力は弱くなっています
一歩一歩を確認しながら
落石 転倒に注意しながら下ります
武蔵のコル
武蔵谷より真砂沢を望む
武蔵谷には灰色のガスが未だ垂れ下がって
終始 閉店状態で景色が望めませんでした
そして武蔵のコルの終点?
一服劔への取付きに 漸く辿り着いたよう
武蔵のコル
一服劔
これが最後のピークだと言い聞かせます
ここまで来るのに 何度一服したことでしょう
もう登りは要らない…と思いながら歩いていくと
広がるガスの中から うっすらと浮かび上がるピークに
幾度 挫折しかかった事でしょう
登りは 前劔と一服劔の2峰だけと思っていましたが
実際は 大小合わせると
複数のピークを越えてきたように思います
ガスで視界を奪われている事もありますが
感覚が狂ってしまい アップダウンをしているうちに
ピークを勘違いすることも多々ありました…
チチがいて 確実にルーファイしてくれたお陰で
迷う事は有りませんでしたが
私一人では 道迷いをしていたかもしれません
今回の反省は…
体力を予想以上に消耗しているという事を自覚せず
いつもする地図確認すら 怠るほど疲れてしまい
登る事の基本を逸脱し チチ任せになっていた…と言う事
ただ…絶対に迷惑をかけない…
それだけは 守らなければ…
ヨレヨレになっても 最期まで自分の足で辿り着く!でした
そして 自分の限界を知る事…
山の神様は 私にその事を再確認させるために
今回 登るチャンスを与えてくれたのだと感じました
一服劔に着くと 色々と考えさせられました
一服劔山頂
一服劔からの下り
後はキャンプ場までの下り道です
…ですが まだ油断はできません
ガレ場の下り…力尽きた感じの今は
足を滑らせればタダでは済みそうもありません
もう…足に力は残っていない感じ…
同じルートを歩いた2パーティーとまた 一緒になり
お互い 足を庇う様に ゆっくりと下っていきます
ねぇ チチ? 今日はビールで乾杯は?
いいね~♪ ビール飲もうか…
剣山荘
このお天気では 物資が届いているか分かりません
チチに剣山荘に立ち寄ることを提案しますが
チチは ノンストップで下っていきます
剱山荘
小屋の中は登山客で賑わいを見せております
しかし 疲れた体で立ち寄る気力も湧かず
結局 私も チチの後を追います
しかし…
ここで立ち寄らなかったことを後悔することに…
別山と剱澤小屋
漸く 剣澤小屋が見えてきました
雪渓を渡り切れば もうすぐです
小屋への登りに青空が…
剣澤小屋のビューポイント
やっと剣澤小屋に辿り着き安堵します
ここまで来れば…
漸く 気持ちが緩むのを感じます
ビールを買うため 小屋の方向に急いで向かいます
ビール
び~る
び~る~
しかし…
今日も物資輸送のヘリは飛ばなかったそう…
ビールどころか…
購入できるものが 殆どありません
がっくり…
肩を落としてテン場へと向かおうとしたとき
先行パーティーの方と またまた出会います
ビール買ったよ!剣山荘で♪
嬉しそうに声をかけてくれます
やはりあの時 剣山荘によっておれば…と
チチの顔を見てしまいました
この時の私の顔…きっと山姥の様だったのでしょう…
チチが急に
買いに行こうか…剣山荘まで…
いい…後で何言われるか分からないから…
心にもない言葉が出てしまいますが
周りにははっきりと聞こえたよう
先行パーティーの方に呆れられるように
笑われてしまいました
沈…
テン場へ…
早くテン場に戻って コーヒーでも飲もう
はい♪
テン場へと 最後の力を振り絞って戻っていきました
源次郎 Ⅰ・Ⅱ峰
テン場に戻ると 源次郎がその姿を現してくれていました
あそこを懸垂したんだよ
まだ実感が湧かない私ですが
無事に戻って来れたことに感謝するばかり…
ただ 明日は 立山三山を周って帰ろうと話をしていましたが
その気力すら奪われていました
そして 自分の限界も知る事が出来
これから先の山歩きの基準が作られた感がしました
今日も早々に休むことに…
明日は もう帰りましょう…
チチに素直に言って眠りに着きました
2日目バリルート8月12日(日)☁/☂小 剱岳別山尾根下り
夢の剱岳 バリルートの登竜門へ3 剱岳山頂からの続きです
漸く 一般道から帰れる
カニの横ばいを通り越せば
後はテント場まで下ればいい…
今日はご褒美に チチとビールで乾杯でもしましょうか…?
そんなことを考えて 剱岳に別れを告げました
剱岳山頂から別山尾根へ
別山尾根を下ります
本来ならば…
左側の眼下に 平蔵の頭や前劔を見て
向こうの遠景に 奥大日岳・中大日岳・大日岳と連なる
大日三山と称され 立山の前衛とも言われるお山の稜線が望めたはず…
しかし 灰白色のガスに包まれた尾根は
その壮大な景色を消し その代わり
切れた稜線の高度感も隠して
ただ只管歩く事に集中させてくれます
源次郎尾根に比べるとまだ歩き易い
そんな感触を得て 体力消耗した体ですが
まだ余裕を見せていました
ん… 十字架?
早月尾根の分岐を示す指導標
ガスった向こうに立つ標識が十字架に見え
ちょっと不思議な感じがした私ですが
そこは早月尾根の分岐でした
源次郎尾根が難しければ
早月尾根を歩こうかと考えていただけに
分岐に立つと不思議な気持ちになります
しかし…残念ながら 先の早月尾根はガスの中…
やはり自分の足で見においでと言う事なのでしょうか…
早月尾根に向かう人 登る人…
分岐の標識
人生の分かれ目の様に その道標は立てられています
早月尾根…ここもまたロングコース
馬場島の登山口から劔山頂まで 約9時間ほどかかると聞きます
いつかは歩いてみたいと思うものの
今の自分を見ると 難しいと感じるものもあります
源次郎尾根すら これが最後であろうと思えるほど
体力気力…使い果たした気持ちですから…
せめて下ってしまうまで…と
自分を奮い立たせている状態でしたから…
早月尾根を見送り下る
戯れた稜線ですが 人も少なくガスッている事もあり
何も考えずに歩けます
足は棒のようになっており 力が入りにくくなっているだけに
これ以上険しい岩場を歩く事に 自信を失いかけていました
しかし ここから別山尾根の核心部に向かうところ…
弱音を吐いてはいられません…
10番目の鎖場
カニの横ばいの取付き
取付きから少し下った所から右側にトラバースします
カニの様に横にゆっくりと進む形になりますが
さすがに写真を撮る余裕は この時の私にはありません
手の力も普段ほどありません…
普段は取り付きの鎖は余り頼らない方ですが
ここは思いっきり掴んでしまいました…
緊張すると不安も忘れます ただ必死!
下りに事故が多いのは
こうした疲れが 自分が感じる以上に力を奪っており
普段なら起こりえない事故を引き起こしてしまう
そんな戒めるような考えが常に沸き起こっています
一つ一つの行動が慎重になります
カニのヨコバイのトラバースへ入る1歩目は
そのスタンスがわかりにくく 迷いそうになります
しかし、赤のペンキで丁寧に 足の置き場や順路を印しており
鎖をしっかりと持って ペンキに沿って足を置けば大丈夫です
約5mほどのトラバースを越えれば
カニのヨコバイは終了です
ガスのおかげで 高度感は無く 恐怖は感じませんでした
カニのヨコバイから 更に約20mほどの鎖場があります
その鎖場を慎重に下っていくと その先に梯子が見えます
4mのステンレス制の梯子
チチが降り立ったのを見てから続きます
ほぼ垂直に掛けられているステンレス製の梯子は
しっかり取付けられており 安心して下っていけますが
腕の力がなくなってきている私には 緊張する所でもあります
ゆっくりゆっくり 確認しながら降りていきます
梯子を終えると またまた鎖があります
狭い岩の間に付けられた鎖が下に伸びていますが
高度感は然程無く 無理に鎖に頼る必要もなく
慎重に下れば フリーで下る事は出来ます
鎖場を振り返って
所々 濡れたところが滑りやすくなっており
ホールドはしっかりと確認する必要はあります
下っていく目の前に 小屋らしきものが…
近づくと 独特な臭いが…
小さな…老朽化したトイレ
平蔵避難小屋の遺址
鎖場から 平蔵のコルに降り立ちますと
田舎のおトイレの臭いがしてきます
下る時に見えていたのは 老朽化したおトイレでした
そしてそれを巻き込むように下ると
平蔵避難小屋があったと思われる遺址がありました
ここから平蔵の頭の基部までは
登りルートと下りルートが一緒になります
平蔵谷側のテラス状の道
平蔵谷側のテラス状になった道を進みます
前方は相変わらず灰色のガスで近くの岩稜しか見て取れません
とんがり帽子のような岩峰に近づくと
鎖場が見えてきます
11番目の鎖下り
平蔵のコルから平蔵の頭間のトラバース区間にある11番目鎖場
3メートルほどの鎖場を下る事になります
足元もガスに埋め尽くされ 本当に何も見えず
その先がどうなっているのかさえ 分からない状態です
コルらしき所に着いてから 少しの間
トラバース気味に歩く区間があります
平蔵の頭 12番目の鎖上り
平蔵の頭12番目鎖場の取り付き
下ったのに また上り返しです
登り返しというより 岩を登るといった感じ…
これが最後か…
まだまだアップダウンが続くのか…
取り付きから真直ぐ上に登り、
斜面の途中で岩棚を左側にトラバースします
それから再び 上に登って行きます
そのまま平蔵の頭のピークに登り、反対側に降ります
平蔵の頭 反対側の下り口
平蔵の頭から右巻きにトラバースしますが
ここも12番目鎖場の続きです
スタンスは豊富で、岩の間を降りる感じです
ガスも相まって高度感は感じません
次第に平坦な道となり 主稜線の上に出ます
本来ならば 前方に前剱が見え 後方には剱岳が見えるはずですが
今日のお山では 望むことはできません
ガスは濃くなっても薄くはならない感じですから…
ともすれば どの辺りを歩いてるのかすら
分からないほど 閉ざされた世界です…
平蔵谷側に寄りながら下ると、また、鎖場に出たもよう
前剱の門 13番目の鎖上り
鞍部の前剱の門まで やってきました
だけど…また の・ぼ・り…
鎖場を登り返さなければなりません…
大丈夫か?
チチが心配そうに声をかけてくれます…が
小さく頷くだけ…でした
チチは 普段以上に気にかけて
休めそうな所では細目に休憩と水分補給を促してくれます
しかし その水も残り少なくなってきています
約5リットルの水が足りない…?
これが炎天下だったらどうなるのでしょう
どれほどの水が必要となったことでしょう…
ある意味 このガスった天気が
幸運だったのかもしれません
13番目鎖場を登っていきます
ここを登り切ると稜線の右手側に出ます
前劔を巻く
稜線の右をトラバース
前剱への登り返しますが
途中で前剱を右に巻くように道が変わります
その道をトラバース気味に進みますが
谷側の傾斜は緩いものの 道幅は狭くなり
稜線からの落石にも 自身の落石にも注意が必要です
本来ならば 右手奥には大日岳から連なる稜線が見えるはず…
今見えるのは灰色の景色だけ…
もう これ以上登りがあると ギブアップかも…
自身でも怖いほど弱気な考えが生まれてきていることに驚きます
前劔を少し超えたところで
登り用ルートと下り用ルートの分岐に出ます
下りでは この辺りから武蔵のコルまでが
最も滑落事故が多い場所とされているようです
落石や浮き石の多いところでもあり
危険な所を過ぎて緊張がゆるみ 疲れも増して
足場の悪ここで足を取られるといったところでしょうか
まさに 私ではありませんか…
最期まで気を抜かずに歩くほかありません
前劔からの下り
3番目鎖場の長い岩場
左手に峻立する岩壁が前劔大岩
その前劔大岩脇のルンゼ状の岩溝を降りますが
濡れているところの岩場は
滑りやすい感じで注意が必要です
ですが…ホールドはしっかりしており
傾斜もさほどきつくないため 慎重に下れば
鎖に頼らなくても大丈夫の様な気はします
正直 鎖をつかむ力が すでに無くなってきています…
足で踏ん張って下るほかありません
その足も 踏ん張る力は弱くなっています
一歩一歩を確認しながら
落石 転倒に注意しながら下ります
武蔵のコル
武蔵谷より真砂沢を望む
武蔵谷には灰色のガスが未だ垂れ下がって
終始 閉店状態で景色が望めませんでした
そして武蔵のコルの終点?
一服劔への取付きに 漸く辿り着いたよう
武蔵のコル
一服劔
これが最後のピークだと言い聞かせます
ここまで来るのに 何度一服したことでしょう
もう登りは要らない…と思いながら歩いていくと
広がるガスの中から うっすらと浮かび上がるピークに
幾度 挫折しかかった事でしょう
登りは 前劔と一服劔の2峰だけと思っていましたが
実際は 大小合わせると
複数のピークを越えてきたように思います
ガスで視界を奪われている事もありますが
感覚が狂ってしまい アップダウンをしているうちに
ピークを勘違いすることも多々ありました…
チチがいて 確実にルーファイしてくれたお陰で
迷う事は有りませんでしたが
私一人では 道迷いをしていたかもしれません
今回の反省は…
体力を予想以上に消耗しているという事を自覚せず
いつもする地図確認すら 怠るほど疲れてしまい
登る事の基本を逸脱し チチ任せになっていた…と言う事
ただ…絶対に迷惑をかけない…
それだけは 守らなければ…
ヨレヨレになっても 最期まで自分の足で辿り着く!でした
そして 自分の限界を知る事…
山の神様は 私にその事を再確認させるために
今回 登るチャンスを与えてくれたのだと感じました
一服劔に着くと 色々と考えさせられました
一服劔山頂
一服劔からの下り
後はキャンプ場までの下り道です
…ですが まだ油断はできません
ガレ場の下り…力尽きた感じの今は
足を滑らせればタダでは済みそうもありません
もう…足に力は残っていない感じ…
同じルートを歩いた2パーティーとまた 一緒になり
お互い 足を庇う様に ゆっくりと下っていきます
ねぇ チチ? 今日はビールで乾杯は?
いいね~♪ ビール飲もうか…
剣山荘
このお天気では 物資が届いているか分かりません
チチに剣山荘に立ち寄ることを提案しますが
チチは ノンストップで下っていきます
剱山荘
小屋の中は登山客で賑わいを見せております
しかし 疲れた体で立ち寄る気力も湧かず
結局 私も チチの後を追います
しかし…
ここで立ち寄らなかったことを後悔することに…
別山と剱澤小屋
漸く 剣澤小屋が見えてきました
雪渓を渡り切れば もうすぐです
小屋への登りに青空が…
剣澤小屋のビューポイント
やっと剣澤小屋に辿り着き安堵します
ここまで来れば…
漸く 気持ちが緩むのを感じます
ビールを買うため 小屋の方向に急いで向かいます
ビール
び~る
び~る~
しかし…
今日も物資輸送のヘリは飛ばなかったそう…
ビールどころか…
購入できるものが 殆どありません
がっくり…
肩を落としてテン場へと向かおうとしたとき
先行パーティーの方と またまた出会います
ビール買ったよ!剣山荘で♪
嬉しそうに声をかけてくれます
やはりあの時 剣山荘によっておれば…と
チチの顔を見てしまいました
この時の私の顔…きっと山姥の様だったのでしょう…
チチが急に
買いに行こうか…剣山荘まで…
いい…後で何言われるか分からないから…
心にもない言葉が出てしまいますが
周りにははっきりと聞こえたよう
先行パーティーの方に呆れられるように
笑われてしまいました
沈…
テン場へ…
早くテン場に戻って コーヒーでも飲もう
はい♪
テン場へと 最後の力を振り絞って戻っていきました
源次郎 Ⅰ・Ⅱ峰
テン場に戻ると 源次郎がその姿を現してくれていました
あそこを懸垂したんだよ
まだ実感が湧かない私ですが
無事に戻って来れたことに感謝するばかり…
ただ 明日は 立山三山を周って帰ろうと話をしていましたが
その気力すら奪われていました
そして 自分の限界も知る事が出来
これから先の山歩きの基準が作られた感がしました
今日も早々に休むことに…
明日は もう帰りましょう…
チチに素直に言って眠りに着きました
梅の剱岳 バリルートの登竜門
終
終
剣岳、それもバリルートの源次郎尾根を歩かれた
なんて、何とアッパレ、凄いの一言です。
それも3lの水を背負ってですから~
本当にお疲れ様でした~下山後、ビールをいただ
けなかったのは残念でしたが、無事上れて良かっ
たですね。
ルートファインデングが必要な落石もあるルー
ト、ここで良く写真を撮られたことと感心しま
した。
チチさんは、本当に凄い方ですね。
私達には縁のない剣岳ですが、レポを楽しませ
ていただきました。
ちょっと恥ずかしいですが、ずっと憧れて来たお山で
源次郎尾根は登ってみたかったルートです
縁がなく この歳になって漸く縁あって登る事が出来ました
チチ様に感謝です 本当に♪
もう二度と登る事は出来ないかもしれませんので
必死で写真に納めました(笑)
景色は愉しめませんでしたが
やはり私にとっては 剣岳そのものでした
長いブログを 根気よく読んで下さって有難うございます
コメントも頂けて とても嬉しく思います
本当にありがとうございます♪
リーダーに恵まれていたとはいえ、あれだけのルートを歩ききったことはすごいです。
山屋には「穂高党」と「剣党」がいると聞いたことがあります。
その面ではタカ長は「穂高党」で、剣岳に登ったことはありません。
穂高には行きましたが一般ルートを歩いただけです。
アルキニストを自任していたタカ長なので、そのような山歴に悔いはありません。
「処女峰アンナプルナ」の著者モーリス・エルゾーグは「認定の生活には、他のアンナプルナがある、、、」と書いています。
これからの登山や生活で今回の登山経験が貴女の「心の杖」になるとしたら、今回の剣岳は貴女の「アンナプルナ」ということです。
あれくらいは「朝飯前」だったら非礼をおわびしますが、もし、そうでなかったら今回の登山で「アンナプルナ」をゲットされたことをお祝いしたいと思います。
パソコンの調子が悪くて、思い通りのコメントが書けません。
失礼しました。
まさにタカ長様の言う通りです
以前は穂高などジャンも含めて西穂高にも上ったことはありますが
やはり思いは劔でした
しかし 劔はどうしても縁遠く 諦めかけていた時の事で
今回の登山はタカ長様のお言葉をお借りすると
アンナプルナをゲットした 心の杖になりました
ヒトには人のアンナプルナ…なのでしょう
素敵なコメント 何度も読み返し 胸が熱くなりました
漸く剱岳に登れた感動を頂いた気持ちです
これからも登りたいお山に 登れる間登るでしょうが
この剱岳が本当に支えとなってくれそうです
私の心を表現してくれたコメント
心から感謝いたします
有難うございます
拝見しただけで、恐怖が先にたちました。
よく、写真をとる余裕がありましたね。
我々にとっては、剱岳は夢の山です。
この歳になって 漸くあこがれの劔に登る事が出来ました
40年以上 かかりました…
ずっと拒み続けられましたから…
そして 後にも先にも
この機会無くして登れないと思い 行ってきました
なので なるべく残しておきたくて
写真も撮れるところで頑張りました(笑)
またいつもの様に のんびりと登れる間に
好きな山を登ってみようと思います
コメントを有難うございます♪