甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

キングオブコント2014決勝戦の裏話をまとめてみた

2014-11-15 02:16:20 | お笑い全般
決勝戦の本放送からもう一ヶ月経つというのに、私は一体KOCのことだけでいくつブログを更新するつもりなんでしょうか(笑)
すみません、今回のでさすがに今年の感想は最後にする予定です(笑)
今日は何をやろうと思っているかというと。
現在は様々なメディアがあり、色々な芸人さんがネット配信を通して、自分達だけの情報を発信することが出来ます。
特にこういう風に、大きな大会の後の裏話を聴けるのは、とてもわくわくするものです。
そこで今回は、今年のKOCについて、芸人さん達がそれぞれ語っていた様々な裏話を集めてみました。
公式でアップされているものは、リンクも一緒に貼ってみます。
(ただ、これを読んで、元の映像が見たい、音声が聴きたいと思われた方は…
 あまり大きな声では言えませんが…ありがたくも某所にアップしてくださった方もいらっしゃいますので…
 そういうところを…検索してみるのは…いかがでしょうか…(小声))

まずは、10月最初の犬の心のよしログから。

★10/1 犬の心のよしログ
始めに、「よしログ」とは、吉本の芸人さんが不定期・日替わりでトークをする、ネット配信番組のことです。
1組の芸人さんにつき、45分か90分の持ち時間があり、その中で特に面白かったトーク、盛り上がったトークは、
「アーカイブ」と呼ばれる、公式がアップする無料の映像集に残されます。
そして、その再生回数が如実に数字として表れ、ランクづけされるので、
芸人さん達は、そこに採用されるよう色々な話を考えていきます。
……ただ、いちお笑いファンとしての個人的な感想を言うと、
アーカイブに残るものって、「お笑いファン向け」の話ではないんですよ。
一般の方が、喋っている芸人は知らなくても、アーカイブ映像につけられたタイトルを見てその動画を再生する。
つまり、「タイトルで釣れる」映像を残していくんですよね(笑)
ちなみに、これはKOC全然関係ありませんが、こういう感じのタイトルで釣るわけです(苦笑) あはは(苦笑)

  よしログ さらば青春の光の「あの件」に先輩芸人が説教したら…(リンクをクリックすると映像ページに飛びます)

すみません、前置きが長くなってしまいました。
つまり、何が言いたいかというと、一般層が釣れそうな話を集めているので、
「お笑いファン」的に好きな話、これをアーカイブに残してほしい!と思う話ほど、
意外と残らなかったりするものなんですよね。ファン以外には需要ないからね。
ということで、犬さんの10月1日のアーカイブはこんな感じ。

 よしログ 苦節17年KOC決勝進出! その時妻は?
 よしログ KOC決勝進出に千原せいじからのガサツすぎるサプライズ

もちろんこれらの話も面白いのですが、それ以上にお笑いファン、KOCファン的にぐっと来た話は
アーカイブに残ってなかったので、それをちょこっと書き起こし。

KOCの会場で、いつも他の芸人さんのネタを見れる?という話に。
いけやさんは、自分の出番前に、お客さんがどれだけ笑うのか、客席のMAXの笑い声の音量はどれくらいなのかを確認するため、必ず2,3組のネタは見に行くそう。
でも押見さんは、KOCの出番前は、他の人のネタを見ていたら緊張しちゃうので見れないそう。
そんな中。KOC準決勝の犬の心の出番が終わり、舞台裏にハケて、押見さんが例年よりは手応えがあると思っていたところ、
廊下の端からすごい勢いで走って、押見さんに駆け寄ってくる人がいたという。
それは、同じ日に準決勝の出番があった、鬼ヶ島の野田さん。
 押見「野田くんは袖で見てたらしいの。結構な距離を走ってきて、オレに向かって、『犬さん面白かったよー!!』って言ってくれて」
いけや「あっはっはっはは」
 押見「『あそこであんな展開しますかねー!!』って。いや、嬉しいけどさ、野田くん出番この後でしょ、よく見れるねって」
いけや「オレも全く一緒」
押見さんと同じように、帰ろうとして階段を下りていたところ、
いけや「上からガタガタガタって音が聞こえてきて。なんだろうなと思ったら、野田くんが(追いかけてきて)、『いけやさん!!おーもしろかったっすー!!』って」(笑)

いけやさんは、この野田さんの反応を見た時に「あ、これ(自分達の決勝進出が)あるかもしれないぞ」と思ったそうです。
正直ね、私も犬さんの準決勝を見ていましたが、会場のウケ的には、そこまで爆発したわけではなかったんですよ。
でも、この時点であの手品のネタのポテンシャルに気付いていた野田さん、すごいなぁ。



★10/1 Skyrocket Company (ゲスト:犬の心)
マンボウやしろさんがパーソナリティを務めるラジオ番組、スカイロケットカンパニー。
KOC決勝進出をきっかけに初めて呼ばれていました。
放送で話した内容の大筋はこちらのブログにアップされています。ありがたい。
やしろさんが、本当に純粋な思いで犬の心に夢を乗せてる感じは、一緒に歩んできた年月を感じさせられてぐっときました。
ブログに上がっていないところから一つだけ。
やしろさんが、二人に尋ねます。
やしろ「今まで、ノーチャンスの段階で17年目に突入してたわけじゃないですか。それを支えたものって何だったんですか?」
それに対する押見さんの答え。
 押見「お客さんがね、笑わなかったら辞めてるんですよ。
    長くやってる芸人の共通項として、『めちゃめちゃウケた経験がある』っていうのが絶対あると思うんです。
    それがあるから、やめなくてもいいかっていうか、自信というかね。あんだけウケたことあるんだから、またあるだろうって」



★10/13 デイリーよしもと(シソンヌ)
ここでいきなり本放送後の話になってしまいますが。シソンヌの決勝終了直後のインタビュー。
すごいなこれ。衣装が決勝直後のままだ。マジですぐにインタビューしてるんだ。

キングオブコント優勝シソンヌ「1000万円は貰えないんじゃ…」




★10/14 デイリーよしもと(バンビーノ)
同じくデイリーよしもとから、バンビーノへのインタビュー。
舞台の広さの話は面白かったなぁ。
確かに、KOCの舞台って結構せまいんだよね(笑)

バンビーノ キングオブコント敗因は舞台の広さ




★10/15 天狗のよしログ
天狗は審査員席にいなかったけれど、後輩の「うるとらブギーズ」の佐々木さんから、裏話を聞いたそう。
そうそうたるメンバーの中で、最後にウケた芸人さんとは…。

 よしログ キングオブコント放送終了後に最も爆笑をとった芸人とは?

しまぞうさんの話は、別のところでライスもしてました。
ずっとスタンバイしていたのに全然振られなかったそう(笑) 残念(笑)
ライスはキャベツ確認中のすぐ前の席にいて、声が聞こえていたのですが、しまぞうさんは後半ずっと「トイレ行きたい…」と言っていたとか(笑)



★10/17 シソンヌのよしログ
決勝後初めて、シソンヌがゆっくり話せる場だったよしログ。
この話が一番好きでした。
 
 よしログ キングオブコント優勝の裏側にM-1王者の助言が!

もう一つ、これもアーカイブには残っていませんが、印象的だった話は、
長谷川さんが、「優勝できて嬉しいけれど、来年2本作らなくてもいいことも嬉しい」というニュアンスのことを言っていたことです。
毎年、6月7月くらいになると、「あー今年もまた2本作らなきゃ。4分ネタないなー」と思い始める、
それから解放されるのが嬉しいという感じの話。
コント師のみなさんは、毎年こうやって仕上げていくんだなぁ。



★10/17 ラブレターズのオールナイトニッポンZERO
犬の心に94対7で負けるという、人々の記憶に残る鮮烈の負けっぷりを見せてくれたラブレターズ(笑)
その決勝直後の自分達のラジオ。最高に面白かった。
決勝当日までの過ごし方、ラジオのスタッフさん達との裏話、そしてラジオがあってよかったという二人。
これは、公式で音声をアップしてくれています。嬉しい!ありがたい!心おきなくリンク貼れます。

2014.10.17 FRI ラブレターズのオールナイトニッポン0(ZERO)


この一個前の枠でやっているアルピーが、ラブレのラジオに乱入するという場面も。
この動画で言うと、5分40秒くらいから。
登場してからずっと、散々ラブレをいじったアルピー。
最後に溜口さんに、「犬の心さんと僕らと、どちらに点数入れたんですか」と核心の質問を聞かれ、
 平子「なんか、この感じで言うと…変な感じになっちゃうよねぇ」
ラブレ「えっ?うそ?変な感じになるってことは…」
 平子「じゃあ、二人でせーので言おうか。せーの、」
平子・酒井『犬の心』
ラブレ「っざっけんなよ!!」(笑)



★10/18 デブッタンテ (うしろシティ)
うしろシティとハライチのラジオ、デブッタンテ。
TBSラジオで土曜の深夜に放送されていますが、生放送ではなく、同じ週の火曜か水曜に収録されることが多いそう。
この回は、10/14(火)、つまりKOC決勝の翌日に収録したということで、うしろシティの二人も興奮冷めやらぬ様子で話してくれました。
金子さんは、もちろん真剣に審査するけど、と前置きした上で、審査員のつらさについてこう語っていました。

 金子「今年ね、途中でトイレにいった時に、しずるの池田君としゃべってて。
   もう途中から、接戦になればなるほど、ちょっとの差でつけてるんだけど、すっごい票差が開いていくの。」
阿諏訪「そう、そう」
 金子「で、こんな、『人の運命を握ることを人にやらせてはいけない』って話になって。『これはもう神の仕事だよ』っていう」
阿諏訪「ホントそうなんだよね(笑)」
 金子「人で、しかも、そいつらに負けたヤツらが、何を審査員ヅラして。
    『どれどれ?』みたいな感じでやってるんじゃないよっていう気持ちに、どんどん自分達でなっていくよね」
阿諏訪「審査員席で、隣がしずるの池田だったんだけど、途中からそわそわしだして。
    たまにオレに話しかけるんだけど、もう言葉になってないの。
    『おい、ちょっと、これ、なんだよぉ~』っていうね(笑)」


「神の仕事」っていうワードセンスが金子さん&池田さんっぽくってすごく好きです(笑)
池田さんの言葉にならない言葉もめっちゃイメージできる。
さらに、ラジオにおたよりをくれたリスナー(RN:スペシャルウィークさん)に、「犬の心とラブレターズの対戦ではどちらに入れたのか」と聞かれるうしろシティ。

阿諏訪「ラジオネーム・スペシャルウィークが、こう聞いてきてくれたわけだからさ」
 金子「これはさ、スペシャルウィークに、直接メールで返信するんじゃダメなの?みんなに聞かせる必要もないと思うんだよね(笑)」
という金子さんの反論もむなしく(笑)、なぜかこの対戦だけ、どちらに入れたか言う流れになる。
アルピーの時とおんなじ(笑)
阿諏訪「じゃあ言いましょうか。せーの、」
 金子「ラブレターズ!!」/阿諏訪「犬の心!!」

……なんでこの対戦の結果だけ、やたら電波に乗るんでしょうか(笑)



★10/20 東京03のスクールナイン (ゲスト:ラバーガール大水さん)
東京03のラジオに、ラバーガール大水さんがゲストとして呼ばれていました。(飛永さんは他のお仕事)
番組開始早々、リスナーからのおたよりで、「KOC2015への意気込みをお願いします!」と求められた大水さん、
大水「2015?来年?また出んのかよーーーーー!!」
一同爆笑(笑)
飯塚「言っちゃったねぇ(笑)もうそういう気持ちになってるの?」
大水「なりますよー、もう終わってまっさきに思いました。
   また来年までに2本作るのかーって思ったら、それが一番……」
やっぱみんな、それが本当に大変なんだなぁ。
その後も、KOC当日の舞台裏の話を、もろもろ贅沢にお話してくれたのですが、一番印象的だったのはネタ選びについて。
リスナーの、「どのネタをやるのかを決めたのは、大水さん飛永さんどちらですか?」という質問に答える形。
今年、1本目のネタは、全組準決勝でやったネタをやってくださいと指定されていたそう。
そして、2本目のネタを最終的に選んだのは大水さん。

大水「今回はもう、2本とも同じテイストのネタで行こうって。
   前回、2010年に出た時は、1本目と2本目違う感じのやつやって、あんまりハマらなかったんですよ。
   だから今回は同じやつやって、それ以上にハマる人がいたらもうしょうがないっていうことで」
飯塚「…おんなじ過ぎたんじゃない?テイストが」
大水「あのー、それは、親にも言われました」
一同爆笑(笑)
大水「やっぱり、優勝・1000万を勝ち取るには、もうちょっと2本目に違う、最後のひと押しが必要だったんじゃないかって――」
飯塚「それ、親に言われたの!?すげー的確じゃんか、親!!」



★10/31 犬の心のよしログ
10月のよしログは、犬の心に始まり、犬の心に終わりました。というわけで、記事の最後もこれで。
決勝後の放送となったこの回は、10/1の回を自分達で思い出しながら、
「あの頃はキラキラしてたのにな…」「浮かれてたな…」と言ってしまう二人(笑)
アーカイブに残っているのはこんな感じ。

 よしログ KOCセット裏でつぶやいた切実な一言

ここでも言われる、「来年も出なきゃいけないのが嫌だ」「来年までにまた2本仕上げなきゃ」という話。
ここでも出てくる、ラバーガール。本当に嫌だったんだろうなぁ(笑)
そして、私が一番好きだった話アーカイブに残ってました。こちら。
あの「リバーシブルかよっ」の奇跡の裏話。

 よしログ 芸人が感謝!! 衣装さんが選んだ服が生んだ奇跡

16年間、ひたむきにコントを追求してきた押見さんが、やっと進出できた大舞台。
その結論が、「お笑いってわからないねー」なんだから面白い(笑)
押見「オレ、未だになんであんなにリバーシブルがウケたのかわかんない。システムがわかんないよ。
   何が面白いんだよリバーシブル、って思う」
衝撃発言連発(笑)




ということで、色々なメディアからの裏話をまとめてみました。
こういう裏話が聞けるの本当に楽しい。
そして、各方面の話を聞くたびに、みんながこの舞台へどれほど熱を持って挑んでいるのかというのがわかります。
だから、来年も見たいな。どうぞよろしくお願いします。
改めまして、KOC2014に関わった全ての皆さん、本当にお疲れさまでした。


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よしもとアール・アンド・シー



キングオブコント2014 総括

2014-11-02 01:12:00 | お笑い全般
いつものことながら、だいぶ本放送から時間が経ってしまっていますが、毎年恒例、今年のキングオブコント全体総括をやらせて頂きます。
本当は、こんなに恒例行事にするつもりはなかったのですが、気がついたらどうしても、毎年、KOCを見た後は色々と考えてしまうので。
2011年のテーマは、「ライブシーンとテレビの差」
2012年では、「芸人と一般人の好みは違うのか」
2013年では、「そのコンビらしさとは何か」
という感じでやってまいりました。
そして今年は、もうこれしかないでしょ。
『今回の採点ルール改正は正しかったのか』

これを考える前に、まず少し私の話からさせて頂こうかと思います。



突然ですが、私、フジテレビの番組・バイキングが見れないんです。
嫌いとか、つまらないとか、そういうことではなくて、
バイキングを長い時間見ていることが出来ないんです。

私は現在、時々平日休みが入ることがある職場になりました。
平日休みの日には、だらだらと10時くらいに起きて、朝ごはんを食べて洗濯機を回し、一息ついて、
ちょうど12時ぐらいから落ち着いて、テレビをつけることが多いです。
で、その時、4月の初めごろには、バイキングにチャンネルを合わせていたこともあったのですが、
なんだかいつも、バイキングを見ていると、落ち着かなくて、胸がざわざわしてしまって、すぐにチャンネルを変えてしまうんです。
もう最近は、ほとんどヒルナンデス見ています(笑)
でも、そのバイキングが、嫌いとかつまらないって思っている訳ではないんです。
上手く言えないのですが、「笑いが起こっていない時間を待っていることができない」という感じかなぁ。
その理由が自分でもわからないと思っていた時に、たまたまこのような記事を拝見しまして。

   生放送お笑い番組の完全終焉と今になって思ういいとも増刊号の役割

これを読んで、あぁこれだ、私が感じていた不穏な気持ちはこれだ、と納得しました。
バイキングとヒルナンデスは、どちらも生放送ですが、その構成は結構異なります。
ヒルナンデスは生放送の体を成していますが、放送時間内のほとんどがVTR。
テロップや効果音も多用され、笑いどころもわかりやすい。
スベったり微妙な空気になったりするところはカットされているから、ハラハラするようなところもない。
そして、VTRが終わって、「おりる」部分、つまりスタジオでトークするところなんて30秒くらい(笑)
面白い・面白くないとか以前に、スベるすきを与えない(笑)
だから視聴者も、安心してチャンネルを合わせていられる部分はあるんではないかと思います。
対して、バイキングはVTRも使いますが、スタジオでその場でやりとりをしていく場面が多い。
それを見ていると、ちょっと不安になってきてしまうんです。
もちろん台本はあるだろうし、ある程度の流れは決まっているだろうけど、
それでもやはりウケない場面や、微妙な空気になる場面はどうしても出てきてしまう。
私はそういうのを見ているのが、どうしても耐えられなくて。
例えば、これがライブだったら、私の感覚も少し違ってきます。
ライブっていうのは、その芸人さん達が好きなお客さん達が集まっている場だから、客と演者の双方に信頼関係があって、
スベってもこれを後で何とかしてくれるだろう、そして、最後に取り返せばお客さんも笑ってくれるだろうって思うことが出来る。
でも、テレビって、最初からそういう温かい目で見ている人ばかりではないから、
「何だこれ、つまらない」って思ったら、その瞬間にチャンネルを変えてしまう。
芸人さんにとっては、後から取り返すチャンスもない。
さらに今は、すぐにネット上で拡散されちゃうから、
「○○スベってる」「生放送で放送事故www」みたいな話題ばかりが先行する。
そういう状況が、怖いなぁって思っちゃって。
だから私は、生放送のバラエティ番組が苦手で、
それを見る体力も気力も無くなっちゃったんだなぁってことに、つい最近気付きました。

私ほど極端に生放送でハラハラする人は少ないだろうけど、
でも、世の中全体として、生放送に耐えられる人が少なくなってるんじゃないかっていうことは、最近すごく感じるんです。
細かい理由は違うけれど、私も生放送で笑いが起こっていない時間が耐えられないから。
だから、今回のKOCのルール改正は、そういう世の中の流れを汲んでいるんじゃないかと思うんです。
出場芸人がコントをやってる時間は、生放送でも持ちこたえる事ができる。
みんなその4分を練り上げて、命かけて笑いどころ詰め込んでいるからね。
でも、ネタが終わった時、芸人審査員が採点して、点数出て、コメント言うっていう時間が、
今の視聴者には耐えられない時間だと。
そこを短縮しようとしたのではないかと思うのです。

昨年までの従来の採点方式は、8組が2本ネタを披露する形式だったので、ネタ数としては16本。
そして今年からは、10組が出場し、そのうち5組がファイナルステージ進出ということで、ネタ数は15本。
だから、ネタ数に大きな違いはない。
じゃあ何が変わったかと言ったら、芸人審査員が採点する回数です。
従来は一組ずつ全ネタ採点していたから16回やっていたけれど、
今年の方式なら、採点する回数は9回で済む。
どうしても採点の時に生まれてしまう間や、グダグダ感、マンネリ感を防ぐことが出来る。
そして、「この二組の中でどちらが面白かったか?」というわかりやすさで、
最初から見ていなくても、途中からでも番組に参加することができる。

私個人の感想としては、従来の、8組×2本に戻してほしいという気持ちは、正直あります。
みんな2本できるっていうことで、1本目と全く違う魅力を見せてくれるコンビもいる。
2本目で大逆転を狙うことが出来るコンビもいる。
そういう可能性をつぶしてしまうのは残念だから。
それに、今回のラブレターズvs犬の心のように(笑)、
いい勝負でも結局は大差がついてしまって、「面白くない」という烙印を押されてしまうのはさすがに可哀想だ。
けれども、やはり、生放送のお笑い番組が絶滅危惧となっている今の流れとして、このルール改正は仕方ないと思うし、
KOCという大会自体が消滅しないようにするためには、受け入れるしかないよなと思っていました。
正しいと思っていました。
……今年の視聴率が出るまでは。



今年の視聴率が、前年をさらに割り、8.3%だと知った時、もう心が凍るような思いでした。
まずね、番組編成上、色々言いたいところもあるんですよ。
この日、他局の番組が、軒並み19時からの2時間スペシャル番組とかをやっている中で、KOCだけ20時スタートだった。
そしたら、お笑いによっぽど興味ある人以外は、わざわざ19時から見ていた番組をやめて、20時になったらチャンネル変えようとは思わないでしょうよ。
だから、KOCだけの責任にされるのも、ちょっとどうなの? という思いも少しあるのですが、
まあその問題は置いておいて。

……ここまでやってもダメか。
ルール改正して、グダグダする時間減らして、一騎討ちっていうわかりやすいシステムにして、
お笑いフリークじゃない、「一般視聴者」に寄せたのに、
ここまでやってもダメか。
みんな、毎月新ネタライブやったり、自分のライブに他事務所の芸人を呼んだりして、
命を削るような思いで、死ぬ気で一年間ネタを磨いているのに、
こんなにも、一般視聴者には届かないものなのか。
数字という結果は出ないものなのか。

もう、テレビって、芸人に温かくできるシステムではなくなってしまったのかな?
今回も、各所で感想を見ていた時に、「知らん奴ばっかりで面白いわけがない」みたいなことを言っている方も多くいて。
そういう人には、ぜひ準決勝を見に行って頂きたいよ。
バラエティ番組で活躍しているような芸人達でも苦戦するような場で、無名の芸人が爆笑取って決勝決めるところを見て頂きたいよ。
だいたいさぁ、そういう人達の多くって、無名な芸人には「こんな知らん奴面白いわけがない」って言うし、
かと言って有名な芸人がファイナル決めたら「こんなのやらせだ」って言うんじゃない?
誰ならいいんだよ。
私はもう3年前になりますが、お笑いファンが作ったweb上の雑誌『fan*fun』の制作に参加させて頂き、寄稿したことがありました。
そこで、「新時代のリーダー選び」というタイトルで、KOCの審査の魅力について書いたんです。
芸人審査員には賛否あるだろうけど、自分達で、自分達の世代のリーダーを決めることができるというのは、
これまでの賞レースにはなかったことじゃないか、私はそれがいいと思う、という主旨のことを。
よろしければ、ご興味のある方は、こちらからお読みになってみてください。無料で読めます。
(ちなみに自分で久しぶりに読み返してみましたが、なんか…。文章力にあまりにも成長がなくて引いています…笑)

   fan*fun ファンによるファンのためのお笑い雑誌 vol.3.5 KOC直前緊急特別号

……で、リンクまで貼っておいてなんなのですが、この時に私が感じていたこととも、現状はちょっと違って来ているような気がしています。
「芸人」というジャンル自体が、下に見られているような。
Twitterとかの台頭で、目立ちやすい芸人が叩かれるようになってしまったのも一因じゃないかと思っているのですが。
やはり未だに、「芸人同士で審査するなんておかしい。慣れ合いだ」みたいなこと言う人いるしね。
でも、じゃあ、芸人じゃない「文化人」みたいな人達が決める賞レースばかりでいいのか?
私は、「今」のお笑いをほとんど見ていない、「漫才」と「コント」の違いもわからないような、パフォーマーや、映画監督や、文化人気取りの人達よりも、
今の時代のお笑いというフィールドで、一緒に戦っている芸人の審査の方が、よっぽど信頼できると思うけどね。


はぁ…すみません…。
こんなに毒づくつもりではなかったのですが…(笑)
私は、ハッキリ言って、自分の好きな芸人さんをこれからも見続けることが出来れば、それで満足です。
だから、「お笑い界の今後」とか「芸人の幸せな未来とは」みたいなこと、本当は考えたくない。
考えたところで、私にはどうにもできないし(笑)
でも、好きな人達をこれからも見続けるためには、その方々が活躍できる場がないといけないから。
みんな、毎月新ネタライブやったり、自分のライブに他事務所の芸人を呼んだりして、
命を削るような思いで、死ぬ気で一年間ネタを磨いているのに、
その目標とする場まで無くなってしまったら、もう本当に夢がなくなってしまうから。
だから、どうにか、TBSさんお願いします。持ちこたえてください。
来年もKOCが見たいです。


お笑いはマニアックなジャンルです。
でも、そこに「一般層」もついて行ける余裕がないと、そのジャンルは廃れる。
だから、ルール改正が直接いい結果を生んだかどうかはわからないけど、
私は、その方向性は、正しかったと信じます。
今後数年間が、勝負だと思います。
コントは、芸人は、生放送のお笑い番組は、
一般層もついて行ける、メジャーな存在になれるだろうか。
今年のKOCは、そんなことを考えさせられる結末となりました。


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