農薬やカビに汚染された輸入米を食用に不正に流通させ、もちや赤飯、和菓子などに使った輸入汚染米事件から4年。
いままで目に触れることがなかった輸入米が、大手スーパーの店頭に並び、回転寿司や牛丼の店でも使われています。
なぜいま!? 輸入米が急増!!
消費者のニーズ? とんでもない! TPP参加への地ならし?
「 ”売れ行き好調”とマスコミは、販売店広報部の言葉をそのまま紹介していたけど、店頭で見た限りはそんなに売れていないなと思った。
三日前に問い合わせたときと同じ量の米が残っていたもの」
「私なら、国内の一番安い米と5キロで380円しか違わないなら買わない。日本中の産地からあれだけの品揃えがあるのに、何で中国産米? 違和感があった」
3月から中国(吉林省)産米を売り出した西友の店舗での、消費者の感想です。
”中国の東北地方の米”などと、日本の米どころと重ねたキャッチコピーですが、食べたら別物。
炊きたてでも国産米のような粘りやふっくら感がありません。
”残留農薬検査に合格したお米”と袋に書かれていても、汚染米事件、野菜の農薬問題などを考えると、不安はぬぐえません。
牛丼店「松屋」は、2月から7割の店でオーストラリア産米と国産米をブレンドして使用し、
回転寿司チェーン「かっぱ寿司」は、4月から埼玉県内の数店舗でアメリカ産米を扱っていることが報道されました。
子どもが大好きで家族連れでにぎわう回転ずしがなぜ外国産米を使うのか、
消費者の思いを伝えたいと懇談を申し入れたところ、忙しいことを理由に断られました。
電話口で、「日本を代表する食文化になぜ?」と質問すると、
震災後コストが上がったことから、国産米が安定価格で供給されなくなった場合にも備えるためと答えていました。
米を大量に使う外食産業で輸入米を使うことが、日本の農業を破壊し国産米の安定供給を阻害することは分かっていないようです。
試験的といいながら継続期間は「未定」、客からの苦情は全くないとのこと。
しかし、店のドアに貼ってあった食材の原産国表示の印刷物の文字が、あまりにも小さく、感想を求めるべき”お客様”の目にどれだけとまるだろうかと思いました。
すしはシャリがいのち。ネタと酢の味でごまかされそうですが、あのポロポロ感はいけません。日本の伝統食ですからやはり国産米で。
消費者は安ければ何でもいいとは思っていません。
(新婦人しんぶん 2012年7月12日号 ※木曜発行)
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つづき。
近頃の米事情
「この背景には、もともと米の需給がギリギリであったため大震災以降、米が業者に行きわたらず、市場価格が上昇し、特に業務用の安い米が手に入りにくくなったことがあります」と、農民連常任委員の横山昭三さん。
また、汚染米事件を経た消費者の運動の結果、米トレーサビリティ法(米トレサ法)が施行され、昨年7月1日からはご飯や米を原料とする加工品の販売・提供にあたっては原産国の表示や産地情報の伝達をしなければならなくなりました。
「日本は、ミニマムアクセス米を毎年77万トン輸入して、そのうち10万トンを主食向けとしています。
消費者は知らずに外食などで食べていたことに。
しかし、米トレサ法の試行で業者はいっせいに輸入米から手を引いていた。ところが今年は、低価格の国産米がない。
そこで西友は、消費者の放射能汚染の不安を捉えて中国産を”安全””日本と同じ種類の米”と売り出した。
西友は、TPP推進の主役であるアメリカのウォルマートという企業に買収された企業。こんなもうけのためなら手段を選ばないやり方を放置すれば、国産米の崩壊にもなりかねません」
2日、神出泉副会長ら新婦人の代表は、西友本社と懇談しました。
「ご理解を頂きたい」との西友側に、「日本の食糧需給、農業を守るだけでなく食糧危機が問題になっている世界の食料を守るためにも、安いからといって輸入米を販売するようなことはやめてほしい」
「日本の米を守りたいと思うなら、放射能検査をきちんとやり、安全な米として売っていただきたい」と要望しました。
「もともと米はないんです」と横山さん。
「過剰過剰と宣伝して政府は減反を強化してきたが、昨年6月末の主食用米の繰り越しは9月20日までの消費量分しかなかった。
今年の春以降、業者の間で米不足が表面化したため、政府は不作のときのみ出す備蓄米、それも2~4年前の超古米4万トンをこのたび市場に放出した。
輸入米と超古米の出回りで、消費者は外食やお弁当を買うとき、どんな米が使われているか、いっそう気になります。
震災の教訓は、米は国民の命をつなぐ貴重な食料だということ。米を市場任せにせず、国が需給と価格の安定に責任を持つことです。 日本の農業を破壊するTPPの参加などとんでもない」。
---------
この横の記事より
TPPの正体
強欲企業のやりたい放題協定
(前略)『異常な契約ーTPPの仮面を剥ぐ』の著者でもあるニュージーランド・オークランド大学教授のジェーン・ケルシーさんは、秘密裏にすすめられているTPP交渉の真実を紹介。
外国企業や投資家が損害を被った場合、相手国の政府を訴えることができるISD条項があり、反対しているのはオーストラリアだけだ、と。
すでに福島原発事故を受けて脱原発に転換したドイツ政府を訴えたスイス企業や、
タバコの害のパッケージ表示についてタバコメーカー、フィリップ・モリスとウルグアイ、オーストラリアとの論争が起きています。
なりふりかまわずもうけを追求する巨大企業のために、国民を売り渡すようなことが、医療、郵便貯金、農業、食料の安全(BSE、残留農薬、遺伝子組み換え表示)、労働、地域経済などあらゆる分野ですすめられるのがTPP。
2年前「農業のために99%を犠牲にしていいのか」と
TPPへの参加を明言した前原元外務大臣の言葉はまったくウソでした。
アメリカから、またBSEの感染牛がみつかりました。ずさんな飼料規制のためBSEに似た症状の牛が毎年大量発生していることもあきらかなのに、日本政府は、感染牛の輸入を防ぐための輸入制限を緩和(20ヵ月齢以下を30ヵ月齢以下に)しようとしています。
いままで目に触れることがなかった輸入米が、大手スーパーの店頭に並び、回転寿司や牛丼の店でも使われています。
なぜいま!? 輸入米が急増!!
消費者のニーズ? とんでもない! TPP参加への地ならし?
「 ”売れ行き好調”とマスコミは、販売店広報部の言葉をそのまま紹介していたけど、店頭で見た限りはそんなに売れていないなと思った。
三日前に問い合わせたときと同じ量の米が残っていたもの」
「私なら、国内の一番安い米と5キロで380円しか違わないなら買わない。日本中の産地からあれだけの品揃えがあるのに、何で中国産米? 違和感があった」
3月から中国(吉林省)産米を売り出した西友の店舗での、消費者の感想です。
”中国の東北地方の米”などと、日本の米どころと重ねたキャッチコピーですが、食べたら別物。
炊きたてでも国産米のような粘りやふっくら感がありません。
”残留農薬検査に合格したお米”と袋に書かれていても、汚染米事件、野菜の農薬問題などを考えると、不安はぬぐえません。
牛丼店「松屋」は、2月から7割の店でオーストラリア産米と国産米をブレンドして使用し、
回転寿司チェーン「かっぱ寿司」は、4月から埼玉県内の数店舗でアメリカ産米を扱っていることが報道されました。
子どもが大好きで家族連れでにぎわう回転ずしがなぜ外国産米を使うのか、
消費者の思いを伝えたいと懇談を申し入れたところ、忙しいことを理由に断られました。
電話口で、「日本を代表する食文化になぜ?」と質問すると、
震災後コストが上がったことから、国産米が安定価格で供給されなくなった場合にも備えるためと答えていました。
米を大量に使う外食産業で輸入米を使うことが、日本の農業を破壊し国産米の安定供給を阻害することは分かっていないようです。
試験的といいながら継続期間は「未定」、客からの苦情は全くないとのこと。
しかし、店のドアに貼ってあった食材の原産国表示の印刷物の文字が、あまりにも小さく、感想を求めるべき”お客様”の目にどれだけとまるだろうかと思いました。
すしはシャリがいのち。ネタと酢の味でごまかされそうですが、あのポロポロ感はいけません。日本の伝統食ですからやはり国産米で。
消費者は安ければ何でもいいとは思っていません。
(新婦人しんぶん 2012年7月12日号 ※木曜発行)
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つづき。
近頃の米事情
「この背景には、もともと米の需給がギリギリであったため大震災以降、米が業者に行きわたらず、市場価格が上昇し、特に業務用の安い米が手に入りにくくなったことがあります」と、農民連常任委員の横山昭三さん。
また、汚染米事件を経た消費者の運動の結果、米トレーサビリティ法(米トレサ法)が施行され、昨年7月1日からはご飯や米を原料とする加工品の販売・提供にあたっては原産国の表示や産地情報の伝達をしなければならなくなりました。
「日本は、ミニマムアクセス米を毎年77万トン輸入して、そのうち10万トンを主食向けとしています。
消費者は知らずに外食などで食べていたことに。
しかし、米トレサ法の試行で業者はいっせいに輸入米から手を引いていた。ところが今年は、低価格の国産米がない。
そこで西友は、消費者の放射能汚染の不安を捉えて中国産を”安全””日本と同じ種類の米”と売り出した。
西友は、TPP推進の主役であるアメリカのウォルマートという企業に買収された企業。こんなもうけのためなら手段を選ばないやり方を放置すれば、国産米の崩壊にもなりかねません」
2日、神出泉副会長ら新婦人の代表は、西友本社と懇談しました。
「ご理解を頂きたい」との西友側に、「日本の食糧需給、農業を守るだけでなく食糧危機が問題になっている世界の食料を守るためにも、安いからといって輸入米を販売するようなことはやめてほしい」
「日本の米を守りたいと思うなら、放射能検査をきちんとやり、安全な米として売っていただきたい」と要望しました。
「もともと米はないんです」と横山さん。
「過剰過剰と宣伝して政府は減反を強化してきたが、昨年6月末の主食用米の繰り越しは9月20日までの消費量分しかなかった。
今年の春以降、業者の間で米不足が表面化したため、政府は不作のときのみ出す備蓄米、それも2~4年前の超古米4万トンをこのたび市場に放出した。
輸入米と超古米の出回りで、消費者は外食やお弁当を買うとき、どんな米が使われているか、いっそう気になります。
震災の教訓は、米は国民の命をつなぐ貴重な食料だということ。米を市場任せにせず、国が需給と価格の安定に責任を持つことです。 日本の農業を破壊するTPPの参加などとんでもない」。
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この横の記事より
TPPの正体
強欲企業のやりたい放題協定
(前略)『異常な契約ーTPPの仮面を剥ぐ』の著者でもあるニュージーランド・オークランド大学教授のジェーン・ケルシーさんは、秘密裏にすすめられているTPP交渉の真実を紹介。
外国企業や投資家が損害を被った場合、相手国の政府を訴えることができるISD条項があり、反対しているのはオーストラリアだけだ、と。
すでに福島原発事故を受けて脱原発に転換したドイツ政府を訴えたスイス企業や、
タバコの害のパッケージ表示についてタバコメーカー、フィリップ・モリスとウルグアイ、オーストラリアとの論争が起きています。
なりふりかまわずもうけを追求する巨大企業のために、国民を売り渡すようなことが、医療、郵便貯金、農業、食料の安全(BSE、残留農薬、遺伝子組み換え表示)、労働、地域経済などあらゆる分野ですすめられるのがTPP。
2年前「農業のために99%を犠牲にしていいのか」と
TPPへの参加を明言した前原元外務大臣の言葉はまったくウソでした。
アメリカから、またBSEの感染牛がみつかりました。ずさんな飼料規制のためBSEに似た症状の牛が毎年大量発生していることもあきらかなのに、日本政府は、感染牛の輸入を防ぐための輸入制限を緩和(20ヵ月齢以下を30ヵ月齢以下に)しようとしています。