枝に止まった雄のケツァール
ブルーに輝き、1メートルもの長い尾は樹間を流れる風に美しくたなびいていた
「火の鳥」のモデル ケツァール しんぶん赤旗 日曜版7月26日号より
動物たちの楽園 浅尾省五
およそ10年前、アメリカのフロリダにあるディズニーワールドを訪れたことがある。
広大な敷地の一画で、いろいろな動物たちをアトラクションや展示の形で紹介していた。
飼育員の肩に小鳥がとまっていた。見たこともない緑の小鳥だった。
なんともかわいい顔をしたその鳥は、ケツァールの幼鳥だった。
気品のある美しさに私は釘付けになった。
後日、世界一美しい鳥で、幻の鳥ともいわれていることを知った。
いつか野生の姿をとりたい、それは私の夢の一つとなった。
今年の5月、中米コスタリカに行った。ケツァールを撮りたい。それだけが今回の旅の目的だった。
首都サンホセから東南方向に車でおよそ3時間。海抜3千メートルのこの辺りは広大な熱帯雲霧林で、高い湿度のため森の木々はコケで覆われ、深い緑の自然が保たれていた。
ケツァールはアボカドの木の実が好きなのだ。まずは木を探した。
ドングリほどの実をつけた1本のアボカドの木の下で、待つこと数時間。疲れ果てた頃、突然目の前に緑色の鳥が飛んできた。
赤い胸、1メートルもある長い尾、ケツァールだ。
私は夢中でシャッターを押し続けていた。長年の夢がかなった瞬間であった。
その美しさから神の使いとあがめられ、昔から聖職者や国王だけにその羽を身につけることが許されたという。
手塚治虫の漫画、火の鳥のモデルとしても知られる。
その羽毛は金属的な光沢があり、見る角度や光線状態によって緑色から青色にまで変化し、実に美しく優雅で、高貴なイメージさえ感じさせられる。
ケツァールはメキシコ南部からパナマの森林地帯に分布する。
ケツァールも例外なくその生息数は減少し、本当に幻の鳥になってしまう危機にある。
自然の森を守れば、そこにすむ多くの動物たちが安心して暮らすことができる。豊かな森を守ってあげたい。
(あさお・しょうご)
好物のアボカドの実を食べに来たケツァール。
雄は美しい緑色の頭部で長い尾があるが、メスの頭部は地味な茶色で、長い尾はない
http://www.rakuensanka.com
(しんぶん赤旗(HP毎日更新)日曜版・2009年7月26日号)
昔は赤旗に、手塚治虫が連載をしていて、赤旗の締め切りを優先して描いてくれていたとかいう話は有名ですが、
この↑の記事の裏の33面には、
「キャノン偽装請負告発」涙ながらに陳述 の記事と、
「Canonは偽装請負を謝罪し正社員にしろ!」 キャノン非正規労働者組合
という、原告団の持つ旗看板の写真が載っています。
08年4月の、パナソニックプラズマディスプレイ大阪高裁判決ではプラズマの雇用責任を認める判決が出たこと、
そして労組の違いを超えて2009年3月に結成され、労働者支援活動する非正規ネット栃木の紹介も。
シンポジウムや平和コンサートなども開かれ、記事現在には、非正規ネット栃木を「支える会」もつくりられていると。
同日号の3面には、 作家 あさのあつこ さんのインタビューが。
赤旗日曜版に連載している(2009当時)「グラウンドの空」完結インタビュー。
抜粋。
10代に魅かれる理由
おとなにはわからなくたって きちんと生きようとしている
おとなが閉塞感にあえぎ、社会の不安を子どもたちも認識している。
子どもたちが何を考えているのかは、わかる方が心配。自分にさえわからない自分がいる。それが人間性の厚みになっていくのだと思います。
私もわが子が考えていることがわからず、イライラしました。その裏には、子どもをコントロールしたいという気持ちや期待や欲があるんですね。
作家としての私自身も、若い人の気持ちがわかると思ったとたん、書けなくなる気がします。
(作品では)おとなの不幸に子どもたちが巻き込まれています。学校を中退しなくてはならなかったり、家庭がばらばらになったり。
でも社会に対して子どもは無力。参政権もないし、働いてお金をかせぐ事もできない。
社会を変えていく力というのは、圧倒的におとなが強い。ほんとうにしっかりしなければなりません。
「グラウンドの空」では少年たちだけでなく、おとなの力も書きたいと思いました。それが瑞希の母親や野球部の監督、透哉の祖母たちです。
―日曜版に一言。
私も長い読者です。信念・信条がある新聞だと思います。
共産党というと難しい、堅いというイメージがあるかもしれませんが、言っていることは、私たち庶民が幸せに暮らせる社会をどう作るか、ということですよね。
難しくないです。そのことを多くの人に伝えるのが日曜版ですね。信念を曲げず、更なる進化・発展を期待しています。
理不尽な苦しみにさらされるこの国の子どもたちが、幸せに生きられるように。
あさの・あつこ
1954年、岡山県生まれ。『バッテリー』シリーズ全6巻で野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞など受賞。
時代小説やSF作品も手掛ける。最新刊は『朝のこどもの玩具箱』(文芸春秋)
(しんぶん赤旗(HPも毎日更新)2009年7月26日号)
SF作品は読んでみたいですにゃ。